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投資は税金知識がない人ほど損 各税率や繰越控除など3つのポイント

 以下は,マネーの達人提供記事(執筆者:元税務署職員 平井 拓 )のほぼほぼコピペです。

 株式やFX,仮想通貨取引など,お金を増やす手段はいくつも存在します。

 投資方法についてはよく耳にしますが,投資で得た利益に対する税金の扱いについてまで説明しているケースはあまり多くありません。

 そこで本記事では,投資を行う際に知っておくべき税金知識について解説します。

税金について知っておこう

  1. 投資する手段が違えば課される税金の額は変わる

 投資は利益を出せるかも大事ですが,利益に対して課される税率にも注目してください。

 利益の額が小さくても,差し引かれる税額が少なければ,手元には多くの金額が残ることになります。

 たとえば100万円の利益を出した場合,税率が40%なら手元に残るのは60万円(100万円 – 100万円 × 40%)です。

 一方,利益が80万円でもあっても,課される税率が税率20%であれば手元には64万円(80万円 – 80万円 × 20%)が残ります。

 はじめて投資を始める際,NISAがオススメされることがありますが,NISAは利益に対する税金が非課税である点が大きな魅力です。

 極端な例ですが,NISAを利用して1億円の利益を生み出したとしても非課税ですので,1億円をそのまま手元に残すことができます。

  1. 仮想通貨に対する税率が高い理由

 仮想通貨は数年前から一気に価値が上昇しており,「億り人」と言われる1億円以上の利益を出した人も話題になりました。

 しかし仮想通貨の利益は所得税の「総合雑所得」に分類され,最大45.945(復興特別所得税を含む)%の所得税が課されることになり,地方税も合わせると税率は55.945%と,利益の半分以上は税金として支払うことになります。

 それ対し株式売買による利益は「分離譲渡所得」に分類され,税率は一律20.315%(国税15.315,地方税5%)です。

 株式譲渡所得のポイントは,利益の額に関係なく税率が一律である点で,利益を多く出したとしても約80%は手元に残るので,大きな金額を動かす場合には株式や投資信託の方が投資に向いているとされています。

 またFXの利益は雑所得の対象ですが,こちらは分離課税の雑所得なので税率は一律20.315%(国税15.315,地方税5%)です。

 将来的に仮想通貨も分離課税になるかもしれませんが,現時点においては利益が多くなるほど税率が上がる仕組みですのでご注意ください。

 ちなみに定期預金に預けている場合も実は税金が引かれており差し,利息に対しては利子税(20.315%)がかかっています。

 利益に対して税金が課されないものはほとんど存在しませんので,利益に対する税金を支払いたくない場合は,NISAを活用することも検討してください。

仮想通貨市場

  1. 損失の繰越制度の有無も投資する際のポイント

 投資は資産を増やす手段である反面,資産が減るリスクも存在します。

投資に対する税金は利益に対して課されるので,損失が発生した年分については税金の支払いはありません。

 ただ株式やFXについては,一定の要件を満たすことで,最大3年間損失金額を繰り越すことが可能です。

 たとえば株式で10万円の損失が発生し,翌年40万円の利益が出た場合,損失を繰り越ししていれば損失10万円と利益40万円を相殺できますので,相殺後の30万円に対しての税金を支払うことになります。

 また損失の額が大きく,相殺しきれなかった金額につきましては,最大3年間繰り越せるため,投資方法を選ぶ際は繰越制度が存在しているかも判断材料です。

 

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長期金利が上がると,なぜ株価や債券価格が下がるの?

 以下は,All About提供記事(文:井上 陽一)のほぼほぼコピペです。

 長期金利が上昇すると,どうして株価や債券価格が下落するかを知るために,金利と株価,債券の関係をまとめてみました。

株価と債券価格は需給のバランスで決まる

 まず前提として,株式や債券の価格は,将来の予想に基づいて変化をするということです。将来儲けが増えると予想される株式や債券は,買いたい人が多くなります。買いたい人が多くなると価格は上がります。反対に売りたい人が多くなると価格は下がります。

               株価・債券の価格の変化

長期金利が上昇すると株価が下がる理由

 では次に,長期金利が上昇すると,株価にどのような変化が起こるのかを見ていきましょう。長期金利が上昇すると,長期借入の金利が上がります。

 借入の金利が上がると,企業は設備投資を控え,家計は住宅購入を見送るなど,お金の巡りが悪くなります。その結果,業績や景気が悪くなると予想され,株式を売りたいと思う人が増えるため,株価は下がります。簡単にまとめると以下のようになります。

長期金利が上昇⇒借入の金利が上昇⇒借入を控える⇒設備投資・住宅購入などを控える⇒景気が悪化⇒株価下落

 また,長期金利が上昇すると,金利の上がった債券や預金など,安全資産に乗り換える人が増える(株が売られる)ことも,株価が下がる原因です。

長期金利が上昇すると債券価格が下がる理由

 債券は償還までに受け取れる金額(元本と利回り)が決まっています。よって,金利より債券の利率が高ければ買いたい人が集まり,債券価格は上がりますが,金利より債券の利率が低い場合は,売りたい人が増え,債券価格は下がります。

 例えば,利率1%の債券があるとします。金利が2%に上場すると,債券を持っているより銀行にお金を預けた方がよいため,債券を手放す人が増え,結果的に債券価格が下がることになります。

 反対に金利が0.5%に下がると,銀行にお金を預けているより,債券を持っていた方がお得になるため,債券を買う人が増えて価格が上がります。

 長期金利と株価,債券価格の関係を簡潔にまとめてみました。理論上は金利が上がると,株価と債券価格は下がるのですが,現実の価格(特に株価)はさまざまな要因が影響しあって変化します。

井上 陽一(ファイナンシャルプランナー):大学卒業後,保険・不動産・会計業界を経て「金融商品や保険等の販売をしないファイナンシャルプランナー事務所を作ろう」と独立。福岡県を拠点に,実務経験に裏付けられた提案力で,家計や企業経営の改善を行う。

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国民年金は所得保障と死亡保障が付いた,約10年で元が取れる終身年金!

 以下は,マネーの達人提供記事(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 公的年金国民年金,厚生年金保険など)の一種である国民年金の,保障を受けられる被保険者は,次のような3種類に分かれております。

保障を受けられる 被保険者は3種類

国民年金の第1号被保険者】

 日本に住んでいる20歳以上60歳未満のうち,第2号被保険者や第3号被保険者に該当しない,自営業者,農業者,フリーランス,学生,無職の方などは,第1号被保険者になります。この第1号被保険者は納付書や口座振替などにより,各自が国民年金の保険料を納付します。

国民年金の第2号被保険者】

 厚生年金保険に加入している会社員や公務員などは,65歳以上で老齢年金(老齢基礎年金,老齢厚生年金など)の受給権がある方を除き,第2号被保険者になります。このように第2号被保険者になる年齢には,上限はあっても下限はないため,例えば高校を卒業した後に就職し,厚生年金保険に加入した場合には,20歳になる前から国民年金に加入します。

 また第2号被保険者の国民年金の保険料は,給与から控除された厚生年金保険の保険料から賄われているため,各自が国民年金の保険料を納付しなくても,納付したという取り扱いになるのです。

国民年金の第3号被保険者】

 第2号被保険者に扶養されている,20歳以上60歳未満の配偶者のうち,年収が原則として130万円未満の方は,所定の届出をすると第3号被保険者になります。この第3号被保険者の国民年金の保険料も,第2号被保険者の給与から控除された厚生年金保険の保険料から賄われているため,各自が国民年金の保険料を納付しなくても,納付したという取り扱いになるのです。

老齢基礎年金と国民年金の保険料は毎年4月に改定される

 公的年金の保険料を納付した期間,国民年金の保険料の納付を免除または猶予された期間などの合計が,原則10年以上ある場合,受給資格期間を満たすため,65歳になると国民年金から老齢基礎年金が支給されます。

 また20歳以上60歳未満の間に,国民年金の保険料の納付を免除または猶予された期間,国民年金の保険料の未納期間などが,1か月もなかった場合,満額の老齢基礎年金が支給されます。

 この満額の老齢基礎年金や,第1号被保険者が納付する国民年金の保険料は,賃金や物価の変動に合わせて,毎年4月に改定されるため,年度ごとに金額が変わる場合が多いのです。

 2022年度の満額の老齢基礎年金は,77万7,800円(月6万4,816円)になりました。

 また第1号被保険者が納付する国民年金の保険料は,月1万6,590円になりました。

 前者の満額の老齢基礎年金は前年度より3,100円ほど,金額が少なくなっておりますが,後者の国民年金の保険料は前年度より20円ほど,負担が軽くなっております。

国民年金は約10年で元が取れる終身年金

 月1万6,590円と いう国民年金の保険料を,20歳から60歳までの40年間に渡って,一度も欠かさずに納付した場合,合計は796万3,200円(1万6,590円×12か月×40年)になります。

 この金額を満額の老齢基礎年金である77万7,800円で割ってみると,次のようになるため,65歳で老齢基礎年金の受給を始めから,約10年で元が取れるのです。

796万3,200円÷77万7,800円=10.238…

 また老齢基礎年金は終身年金のため,その後は長生きするほど,お得になっていくのです。

 このように約10年で元が取れる理由のひとつは,老齢基礎年金の財源の「2分の1」は税金だからです。

 そのため20歳から60歳までの40年間に渡って,国民年金の保険料の全額免除を受けた場合,一度も保険料を納付しなくても,38万8,900円(77万7,800円の2分の1)の老齢基礎年金を受給できます。

 一方で免除の手続きを行わず,国民年金の保険料の未納を続け,原則10年の受給資格期間を満たせなくなった場合,老齢基礎年金を受給できなくなります。

 そうなると納付した税金を,取り戻す機会を失ってしまうため,もったいないと思うのです。

 なお老齢基礎年金の支給開始年齢は,国民年金が全面的に始まった1961年4月から,ずっと65歳になっておりますが,将来的には引き上げされるかもしれません。

 ただ日本人の平均寿命(2020年は男性が81.56歳,女性が87.71歳)から考えると,70歳くらいまでの引き上げなら,なんとか元が取れると思うのです。

国民年金には障害基礎年金という所得保障がある

 国民年金が全面的に始まった当初,大学生などの20歳以上の学生や,会社員などに扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は,強制加入ではなかったため,国民年金に加入したい方だけが,任意加入していたのです。

 しかし学生は1991年4月から,また会社員などの配偶者は1986年4月から,国民年金に強制加入するようになったのです。

 その理由のひとつは病気やケガで障害を負った当時に,国民年金に任意加入していなかったため,障害基礎年金を受給できなかった方が,沢山いたからです。

 ただ強制加入といっても学生であれば,申請によって学生納付特例を受けると,20歳になってから卒業するまで,国民年金の保険料を納付する必要はありません。

 また会社員などの配偶者であれば,届出によって第3号被保険者になると,国民年金の保険料を納付する必要はありません。

 それでも所定の障害状態になった時には国民年金から,障害基礎年金という所得保障を受けられるため,病気やケガによる収入の減少をカバーできるのです。

国民年金の保険料の掛け捨てを防ぐ「死亡一時金」

 国民年金の被保険者などが亡くなった時に,所定の受給要件を満たす場合には,その親族に遺族基礎年金が支給されるため,国民年金には死亡保障の機能もあるのです。

 ただ遺族基礎年金を受給できる親族は,次のいずれかになっているため,例えば高校を卒業する年齢までの子がいない夫婦は,納付した国民年金の保険料が,掛け捨てになる可能性があります。

・ 子(18歳到達年度の末日までの間にある,または20歳未満で1級か2級の障害状態)のある配偶者

・ 子(同様の要件を満たしている)

 そこで保険料のすべてが掛け捨てにならないようにするため,次のような要件を満たす第1号被保険者が亡くなった場合には,国民年金から死亡一時金が支給されるのです。

・ 亡くなった日の前日において,第1号被保険者として国民年金の保険料を納付した月数が,合計で36月以上ある

・ 亡くなった方が老齢基礎年金と障害基礎年金の,いずれも受給していない

 また死亡一時金を受給できるのは,亡くなった当時に生計を同じくしていた親族であり,その順位は「配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹」になるため,例えば配偶者が受給すると,他の方は受給できません。

 なお原則10年の受給資格期間を満たしている,第1号被保険者の夫との婚姻期間が,原則として10年以上あるなどの,所定の受給要件を満たす妻は,60歳から65歳までの間に,寡婦年金を受給できる場合があります。

 この寡婦年金と死亡一時金の,どちらも受給できる妻の場合,選択した一方のみが支給されるため,両者の金額を比較したうえで,金額の多い方を選んだ方が良いのです。

≪こんなにいい国民年金,ぜひ続いて欲しいですね。現役世代には,たいへん申し訳ないのですが……≫

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国民年金保険料の未納を放置した場合には?

 以下は,MONEY PLUS提供記事のほぼほぼコピペです。

 国民年金は,保険料(国民年金保険料)を支払うことで,老後を迎えたときや障害・死亡といったもしものときに年金を受け取れる制度です。でも,中には国民年金保険料を「未納」つまり,支払わないでいる人もいます。

 今回は,国民年金保険料を未納にしている人に起こりうる「3つのこと」を紹介します。

国民年金保険料が未納になるのはどんな人?

 日本の公的年金には,20歳から60歳までのすべての人が加入する国民年金と,会社員や公務員が勤務先を通じて加入する厚生年金の2つがあります。

 このうち,国民年金は加入している人を働き方などによって大きく3つに分類しています。

・第1号被保険者:自営業・フリーランス・学生・無職の人など

・第2号被保険者:会社員・公務員など

・第3号被保険者:会社員・公務員など(第2号被保険者)に扶養されている配偶者

 「年金」というと,老後にもらう年金(老齢年金)をイメージする方がほとんどでしょう。第1号被保険者と第3号被保険者は,原則65歳から国民年金(老齢基礎年金)を受け取れます。第2号被保険者は,国民年金に加えて厚生年金(老齢厚生年金)も受け取ることができます。

 このうち,国民年金保険料を自分で納める必要があるのは,第1号被保険者だけです。

 第2号被保険者の国民年金保険料は厚生年金保険料と一緒に給与から天引きされます。また,第3号被保険者の国民年金保険料は第2号被保険者の保険料から負担されます。しかし,第1号被保険者の保険料は,自分で納めなくてはなりません。したがって,そもそも国民年金保険料が未納になる可能性があるのは,第1号被保険者だけです。

 厚生労働省の調査によると,2020年(令和2年)の第1号被保険者約1,450万人のうち,未納者(国民年金保険料を24か月未納にしている人)は約115万人となっています。

  厚生労働省「令和2年度の国民年金の加入・保険料納付状況について」 より引用

 

 グラフでみると,この5年間で未納者は減っているものの,それでも第1号被保険者の7.9%が国民年金保険料を未納にしています。第2号被保険者・第3号被保険者も含めた国民年金の加入者全体の合計に占める未納者の割合は1.7%ほどとわかります。

 また,厚生労働省の別の調査によると,国民年金保険料を未納にする理由は「保険料が高く,経済的に支払うのが困難」が76%と,圧倒的に多くなっています。

    厚生労働省「令和2年国民年金被保険者実態調査」 より引用

国民年金保険料を未納にするとどうなる?

 国民年金保険料を未納にしている約115万人の方には,次の3つのことが起こる,または起こる可能性があります。

1:老後の年金が減る

 国民年金保険料を40年間(480か月)納付すると,原則65歳から満額の老齢基礎年金がもらえます。老齢基礎年金の満額は年77万7800円(2022年度)です。しかし,未納の期間があれば,その分減額されてしまいます。

 仮に国民年金保険料を1年間未納にすると,受け取れる年金額は2万円近く減ります。さらに,老齢基礎年金の受給資格は,国民年金保険料の納付期間が10年以上あることが条件なので,ずっと未納の場合,年金がゼロになってしまいます。

2:障害年金や遺族年金がもらえない可能性

 国民年金には,老齢基礎年金のほかに,病気やケガで障害を負ったときに受け取れる「障害基礎年金」,亡くなったときに遺族に支払われる「遺族基礎年金」もあります。障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取るには,全加入期間の3分の2以上の納付済期間が必要です(2026年3月末までは,直近1年の保険料が納められていれば受け取れる特例あり)。国民年金保険料を未納にすると,これらも受け取れなくなる可能性があります。

3:財産を差し押さえられる

 国民年金の加入は「義務」です。したがって,国民年金保険料を支払わないと最終的には財産の差し押さえが行われます。

 国民年金保険料を支払わないでいると,まず「納付勧奨」といって,はがき(国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状))で保険料支払いのお知らせが届きます。ここで手元の納付書を使って納めればまだいいのですが,払わないでいると電話や個別訪問での催促も行われます。

 さらに払わないでいると,「特別催告状」「最終催告状」「督促状」と,徐々に強い警告の封書が届きます。督促状で指定する期限よりも後に国民年金保険料を支払う場合には,所定の延滞金も発生します。

 そして,督促状にも従わずに支払いをしなかった場合,「強制徴収」が行われます。年金機構職員が銀行口座,有価証券,自動車などの財産を調査・差し押さえ,強制的に保険料を徴収するのです。

 強制徴収は所得300万円以上,未納月数7か月以上の方が対象です。2020年度は新型コロナウイルスの関係で強制徴収の手続きや個別訪問が停止されていましたが,2019年度は督促状が8万9,615件送られ,財産差し押さえが2万590件発生しています。

国民年金保険料は未納のまま放置しない!

 国民年金保険料の納付が厳しい場合は,申請することで国民年金保険料の免除や納付猶予が受けられます。国民年金保険料の免除や納付猶予を受けると,国民年金保険料の「未納」の扱いにはならず,国民年金の受給資格期間に加算されます。また免除を受けた場合,全額納付したときほどではありませんが,年金額が増加します。仮に「全額免除」となった場合でも全額納付時の2分の1の年金が受給できます。

 国民年金保険料は,後から納めること(追納)ができます。追納すれば,本来の年金額が受け取れるようになります。免除や納付猶予を利用せずに国民年金保険料を未納にした場合,追納できるのは過去2年以内です。しかし,免除や納付猶予を利用していれば,過去10年以内の国民年金保険料を追納することができます。

 20歳時点で学生だった方は「学生納付特例」を利用していることも多いでしょう。学生納付特例を利用すると,学生の間の国民年金保険料の納付が猶予されます。しかし,あくまで「猶予」であって「免除」ではありません。追納しないと将来の年金額が減ってしまいます。学生納付特例の期間の健康保険料も,10年以内であれば追納できますので,忘れずに納付するようにしましょう。

 なお,すでに2年(10年)以上経過して追納できない国民年金保険料も,60歳から65歳の間に国民年金に任意加入することで納付できます。

 追納・任意加入で国民年金保険料を納付すれば,その分老後の年金が増えますので,支払っていない国民年金保険料があるならば,積極的に納付しましょう。

 国民年金保険料の未納に,いいことは何一つありません。将来もらえる年金が減る(なくなる)どころか,財産を差し押さえされる可能性もあります。ですから,国民年金保険料はきちんと納めましょう。どうしても支払いが厳しいという場合は,未納のまま放置せず,免除や納付猶予を利用できないか,お住まいの自治体に相談してみましょう。

 

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日本生命が確定給付企業年金の利率引き下げの衝撃 会社任せでは老後資金作れぬ時代

 以下は,マネーポストWEB 提供記事(週刊ポスト2022年5月6・13日号)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 この先,医療の進歩によって人生100年どころか,「人生120年時代」が到来する――そんな予測が専門家の間で語られるようになった。

 すでに「超超高齢社会」に向けて,様々な制度改革が進みつつある。医療費は2022年10月から,75歳以上の後期高齢者で「一定の所得がある人」(年金などの収入合計が単身で年200万円以上,夫婦で320万円以上など)は自己負担割合が1割から2割に上がる。

 そうしたなか,最大の不安要素は「老後資金の確保」だろう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2021年)」によると,60代で預貯金などの金融資産が500万円未満の世帯は4割に迫る(39.5%)。

 2019年には「(公的年金の収入だけでは)老後20~30年間で約1300万~2000万円が不足する」という「老後資金2000万円不足問題」が物議を醸した。「人生120年時代」となればこの金額では済まなくなる。家計の見直し相談センター代表・藤川太氏が語る。

「今年4月から公的年金の支給額が0.4%減額されています。今回は現役世代の賃金が減ったことが原因ですが,この先も年金が目減りし続けるのは必至です」

 別掲のキャッシュフロー表は,ある平均的なサラリーマン世帯の老後資金の推移について藤川氏が試算したものだ。

「50歳で預貯金が500万円あっても,何もしなければ貯蓄を取り崩すばかりで,80歳を迎える頃には預貯金は200万円まで減り,89歳で底をついて『老後破産』に陥ってしまう」(藤川氏)

 そうした不安が渦巻くなか,最近,経済誌などで“理想の老後像”の表現として登場したのが「プラチナ世代」というフレーズだ。作家の故・渡辺淳一氏が用いた造語で,シルバーほど地味でもなく,色あせず輝き続けるという意味だという。“長い老後”をプラチナにできるか,それとも「老後破産」で“ブラック”に転落するのか――。

「会社任せ」は危険

 多くの会社員にとって,老後資金の柱となるのが「退職金」や「企業年金」だ。だが,その“常識”を覆すニュースが飛び込んできた。

 生保最大手の日本生命が4月5日,企業から資金を預かって運用する確定給付型(DB)の企業年金の予定利率を2023年4月に現行の1.25%から0.5%に引き下げると発表したのだ。

 長引く超低金利下で運用が難しくなっていることが理由とはいえ,運用時に約束する予定利率が引き下げられると,企業が年金支給額を維持するためには掛け金を増やさなくてはならず,それができなければ金額を減らさざるを得ない。日生と契約する企業は全国で約5200社に上るため,影響は大きい。多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏が言う。

「昨年10月の第一生命に続き,業界トップの日生が引き下げに踏み切ったことで,ほかの大手も相次いで引き下げる可能性があります。

 日生と契約するある食品メーカーでは『掛け金の積み増しをせざるを得ないが,従業員が多いので負担は数百億円規模になる見通しだ』と嘆いていました。企業には強烈なインパクトです。余裕がある企業は足りなくなる掛け金を増額できますが,難しい企業も多いはず。そうなれば給付額を下げるなど痛みを伴うことになります」

 公的年金に続いて企業年金まで減額となっては,会社員はたまったものではない。企業年金には社員への支給額が決まっているDBのほか,会社が負担する掛け金の額だけ決めて運用先は社員が自ら選択する「確定拠出型(DC)」があり,両方を併用している企業もある。

「もはやDBで会社任せにするのではなく,DCで自ら備えなくてはならない時代になっている。日生の利率引き下げは,そうした発想の転換を促す強烈なメッセージといえます」(真壁氏)

 企業年金を取り巻く制度改正も進む。現在,企業型DCの掛け金の限度額(DBと併用の場合)は月額2万7500円だが,2024年10月からはDBの掛け金(相当額)との合計が月額5万5000円までとなり,DBの割合が少なければ,その分DCを増やすことも可能となる。

「退職金もあるし,老後資金は会社任せでどうにかなるはず」といった考えは今後通用しなくなる。年金は自ら運用しなければ増えない時代が迫りつつあるのだ。

「DCだけでなく,『iDeCo(個人型確定拠出年金)』や『つみたてNISA(少額投資非課税制度)』といった税制優遇のある制度にも目を向けることが,プラチナ老後へとつながる方法といえるでしょう」(藤川氏)

 前述の試算では運用をしていない場合,89歳で「老後破産」に陥るが,年1%運用していれば200万円,年3%運用なら1000万円以上の資産が残る計算となる。人生120年時代の老後生活が“何色”になるかは,あなた次第だ。

≪日本の根本的課題の一つは,定年退職後の生活です。この解決なくして,日本経済の成長?はあり得ません。第二次世界大戦で敗戦国となった日本は不動産以外の資産(預貯金を含む)はほとんどが紙クズ同然になったにも拘わらず,日本人を預貯金に駆り立てているのは,高齢社会に対する無策にほかなりません≫

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老後の親は子供の扶養に入れたほうがいい?税の軽減は?扶養の仕組みや注意点

 以下は,MONEY PLUS提供記事のほぼほぼコピペです。

 バリバリ働く40~50代になると,親が現役を引退して年金生活に入っています。「親を自分の扶養に入れた方が良いのかな」「税金がお得になるって聞いたことがあるな」と考える人もいるのではないでしょうか。

 実際に私自身も「親を扶養に入れた方が良いのか」という相談を受けたこともあります。

 しかし,扶養にする条件や受けられる控除額など具体的な内容はあまり知らない場合がほとんど。そこで2種類ある扶養の適用条件,控除額を含めた詳細を確認し,親を扶養に入れる際の注意点などを解説していきましょう。

扶養の種類は2つ

1.税制上の扶養

 税制上のメリットとしてまず挙げられるのが「扶養控除」です。

 所得税,住民税からそれぞれ控除(その分の所得をなかったことにしてもよい)することで,結果的に税金を下げる効果があります。それぞれ,親の年齢と同居・別居で控除額が異なります。

 もちろん,ただ扶養に入れることはできません。条件もしっかり確認しましょう。

【扶養に入れるための条件】

・納税者である子と生計を一にしている※1

・年金などの年間合計所得金額(収入ではありません)が48万円以下である

・ただし,所得が給与のみの場合は給与収入が103万円以下である

青色申告者の事業専従者として,その年間は1度も給与を受け取っていない,または白色申告者の事業専従者でない

※親と同居していなくても,子が親に定期的に仕送りをして生計を支えている場合は,「生計を一にしている」とみなされます。

 ただし,単純に仕送りをしていればよいわけではなく,下記3項目を満たした仕送りをしている必要があります。

1,毎月の仕送りであること(仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類があること)

2,対象となる被扶養者(親)の所得合計以上の金額の仕送り額であること

3,被扶養者(親)は日本国内に住民票があること

2.健康保険上の扶養

 税制上の扶養と異なり,親が同居しているか否かで条件が変わってきますので,どちらに当てはまるのか確認してみましょう。

 それぞれ1つ目の条件は同じですが,二つ目の収入要件が微妙に異なる点は注意したいポイントです。

 親を健康保険の扶養に入れた場合,「親の」社会保険料の支払い義務がなくなります。子の勤務先の健康保険によって,親の保険料までカバーされるためです。子自身に税軽減効果はありません。ここが税制上の扶養とは異なる点です。

親が遺族年金を受け取っていても,扶養に入れることは可能

 すでに片方の親がなくなっていて,もう片方が遺族年金を受け取っている場合はどうでしょう。このケースでは税制上の扶養と健康保険の扶養で入れるかどうかが異なってきます。

1.税制上の扶養の場合

 子の扶養に入ることができます。

 適用条件は「年間の合計所得金額が48万円以下である」ことです。遺族年金は非課税所得のため,所得金額として計算されません。つまり,年間の合計所得金額は0円として扱われ,税制上の扶養の適用条件を満たすので子の扶養とすることができるのです。

2.健康保険の扶養の場合

 子の扶養となることが難しい場合が多いです。

 適用条件は「年間収入が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)」です。この「収入」には税制上の扶養の場合と異なり,遺族年金も含まれます。遺族年金と老齢年金をあわせて受給している場合は,規定の年間収入を超えてしまいがちです。必ず扶養には入れないというわけではないのですが,なかなか入れないのが現状ではないでしょうか。

「注意!親の介護保険の負担金が大きくなる可能性も

 ここで一つ注意してほしいことがあります。親を自分の扶養に入れると,親の介護費用の負担が大きくなる可能性があります。

 介護保険制度は,低所得であるほど金銭的負担が軽減される仕組みに設計されていますが,この「所得」は個人所得だけではなく,世帯所得も対象となっています。親を扶養に入れていない状態なら,親だけの所得で判断されて負担軽減措置の対象になり得ます。

 しかし,子の扶養(子と同じ世帯)の場合は,親だけではなく子の収入もカウントされてしまうため,所得が高くなり負担軽減措置から外れてしまうこともあります。

 結果として,自己負担額が増えてしまうことも想定されるので,「扶養に入り健康保険料も払わなくてよくなったから一安心」とは必ずしもならないので気を付けましょう。

 親を扶養に入れることによって,税軽減効果を得られる反面,世帯所得によっては扶養にいれた親の介護保険が高くなってしまう可能性もあります。それぞれの条件や,メリット・デメリットなども知ったうえで扶養制度を賢く活用できるといいですね。

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制度を知らずに手続きをすると大損することも!定年前の確定拠出年金

 以下は,東洋経済ONLINE提供記事(山中 伸枝 :ファイナンシャルプランナー(CFP®))のほぼほぼコピペです。

 定年が近づくといろいろと考えなければならないことが増えてきます。59歳のAさんは,最近お疲れ気味。妻との会話はもっぱら老後のお金のことばかりで,これまでの疲れがどっとでてきたような気がします。Aさんは冗談交じりに「このままだと少ないお小遣いで死ぬまで働かされそうなのでなんとかなりませんか」と,ファイナンシャルプランナーである筆者の元に相談に来られました。

■60歳の定年後もiDeCoへの再加入が可能に

 最も気になるのは,会社の確定拠出年金をどうするかです。Aさんの会社では「企業型」確定拠出年金退職金の一部として導入しており,これまでは会社が掛け金を拠出してくれていましたが,定年と同時に加入資格を失うので,その後のことを自分で考えなければなりません。  

これまで企業型確定拠出年金は,定年時に資金を一括で引き出して終了する方が大半でした。しかし法律が改正され,2022年からは定年後も確定拠出年金に延長加入ができるようになりました。

 実は「企業型」確定拠出年金は,法律上65歳まで加入可能なのですが,対象とする加入者の年齢は会社の規約によるので,Aさんには定年後に会社の企業型へ継続加入する選択肢はありません(この5月からは企業型確定拠出年金の加入可能年齢は70歳までに引き上げられましたが,実際の対象年齢は会社の規約により定められます)。

するとAさんの検討事項は個人型をどうするのかということになります。「個人型」確定拠出年金iDeCoというニックネームで親しまれていますからご存じの方も多いでしょう。企業型と異なり,加入者自身が掛け金を拠出するのですが,この掛け金は全額所得控除になるので,その分税金が得になると,近年人気が高まっています。

 今年になってiDeCoの加入可能年齢は60歳から65歳までに引き上げられました。例えばAさんが定年後も会社員として継続して働くのであれば,企業型を終了後,iDeCoに再加入することが可能です。  

 「定年後も会社員として働くのであれば」と申し上げましたが,加入可能年齢の引き上げはすべての人が該当するわけではありません。iDeCoは「国民年金の被保険者」であることが加入条件なので,60歳以降の身の振り方によってiDeCoが継続加入できるかどうかが分かれるのです。

 国民年金と聞くと,自営業の方が加入する制度と思われがちですが,Aさんのような会社員は,国民年金に加入し,さらに厚生年金に加入しています。したがって,60歳以降会社員として働き続けると,国民年金の被保険者となります。

 Aさんは,継続雇用での給与を35万円程度と見込んでいます。もし仮にiDeCoの掛け金上限額である月2万3000円を積み立てると,所得税と住民税合わせ年間5万5200円の税制メリットが享受できそうです。

 ではiDeCoに継続加入できない人はどういうケースでしょうか?  

 例えば5歳年下の扶養の奥様は,Aさんが会社員でいる限り,これまでどおり第3号被保険者のままでいられます。しかし,第3号被保険者は59歳までなので60歳以降は国民年金被保険者ではなくなります。

 これは第1号被保険者,例えば自営業の方も同じです。国民年金の加入義務は59歳まで,60歳以降は「任意加入」となります。任意加入は過去の未払い保険料等を後払いするための制度ですから,20歳から60歳までの40年間,しっかり保険料を払った方は国民年金被保険者にはならず,したがってiDeCoへの加入もできません。

iDeCoを継続する場合の「2つの選択肢」とは? 

 さて,Aさんの確定拠出年金の話にもどりましょう。少しでも老後のゆとりを増やすためにiDeCoは継続したいAさんですが,その場合2つの選択肢があります。①会社の企業型確定拠出年金の資金をいったん受け取ってしまってiDeCoに改めて新規で加入する。②これまで積み立てた企業型確定拠出年金の資金をiDeCoに移し,そのうえで積み立てを継続する方法です。

 Aさんの確定拠出年金の状況を拝見すると,「なんとなくよさそうだから」と選んだバランスファンドが好調で結構な利益がでています。筆者は,定年時に退職金と確定拠出年金の資金を一緒に受け取るケースと,確定拠出年金の資金を65歳以降に退職金とは別に受け取るケースの税金の違いをご説明しました。

 前者の場合,退職金と確定拠出年金が合算され,会社の勤続年数によって計算された退職所得控除を差し引きます。37年間勤めあげて退職するAさんの退職所得控除は1990万円です。Aさんに伺うと,その合算額はちょうどこの控除の枠内におさまりそうなので,課税されることなく受け取れそうだとわかりました。

 一方で,企業型の資金をiDeCoに移し,65歳まで積み立てを継続した後で資金を受け取ると,使える退職所得控除は60歳以降の加入期間,すなわち5年分のみとなります(わかりやすいように細かい条件は省きます)。  

 なぜなら,60歳時点で退職金を受け取った際に使った退職所得控除の枠は使用済みとなっているからです。試算するとAさんの場合,企業型の資金をiDeCoに合算すると,5年分の退職所得控除200万円を上回り課税されてしまうことがわかりました。税金のことを考えると,企業型の資金は「老齢給付」として定年時に退職金と一緒に受け取ってしまったほうがよさそうです。

 実は「老齢給付」を受け取ってからiDeCoに再加入することが認められるのは,Aさんのように企業型を終了した方の特権です。もしAさんが定年まで加入していた確定拠出年金が企業型ではなく,iDeCoでその老齢給付を受け取ると60歳以降iDeCoへ加入ができなくなるという決まりがあります。しかし企業型とiDeCoは別物なので,いったん企業型を終了しても新しいiDeCoに再加入するのは問題がないのです。  

 逆に,定年後に企業型確定拠出年金制度がある会社に再就職する場合,いったん企業型確定拠出年金から老齢給付を受け取ってしまうと企業型への再加入ができないので注意が必要です。

■「受け取り」か「資金移換」の実行前に運用見直しを  

 さて,Aさんが老齢給付としていったん資金を受け取るにしろ,iDeCoに資金移換をするにしろ,今から取り組むべきことがあります。それは運用商品の見直しです。  

 老齢給付の受け取りもiDeCoへの移換も,現在の企業型確定拠出年金の箱からお金を取り出すという行為になります。このとき,運用商品はすべて売却され現金化するという決まりがあります。つまり,なにも対策を講じずそのままにしていると,金融機関の手続きのタイミングで事務的に商品が売却,現金化されてしまうため,思わぬ損失を被ることもありうるのです。

 確定拠出年金は資金を企業型から企業型,企業型から個人型へ持ち運びができる「ポータビリティー」があることが特徴として挙げられますが,この際の「現金化」処理については,あまり知られていません。  

 機械的に運用商品が売却されることで,想定外の損失を被るリスクを回避するためには,自分の意思で運用商品を定期預金など値動きのない商品に預け替えしていく必要があります。例えばAさんが保有しているバランスファンドは株式への投資比率が高いので,少しずつ投資信託を売却して,元本確保型にスイッチングしていけば,仮に老齢給付受取直前に株式市場が大暴落といった場合であっても,資金が目減りすることなく予定どおりの金額を受け取ることができます。

 ここまでをおさらいをすると,Aさんの企業型確定拠出年金は,定年時に「老齢給付金」として一括で受取り,その後iDeCoに再加入するというのが良さそうということになりました。もちろん,これからの生活設計には今後の働き方や退職金や老齢年金,その他貯蓄等も含め考えていく必要がありますので,それらは次回,改めてお話しすることにします。  

 「確定拠出年金はメリットばかりをイメージしていましたが,意外と注意点もありますね」とおっしゃるAさん。特に今回の法改正で選択肢が増えた分,さらに複雑になった感はあります。やはり必要に応じて,専門家に相談されたほうがいいと考えます。

 

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所得税と住民税とは?給料から天引きされる二つの税金

 以下は,All About提供記事(文:福一 由紀)のほぼほぼコピペです。

 「所得税」と「住民税」,2種類の税金が毎月の給料から引かれていることはご存じでしょうか。どうして2つも引かれるの? 違いは? それぞれの税率や計算方法は?という問いにお答えします。

所得税と住民税の2種類の税金とは

 給与明細を見ると,給料から「所得税」と「住民税」の2種類の税金が引かれていることに気づくはずです。どうして2つに分かれているの? 2つの違いは?という疑問が出てきますね。

 この違いを知っておかないと,退職後に住民税がかかった時にびっくりしたりすることになります。今回は,所得税と住民税の違いを解説します。

税金には直接税と間接税がある

 税金には,自分自身で税金を納めている「直接税」と,直接納めていない「間接税」の2種類があります。

 直接税は,所得税や住民税,法人税などです。間接税には,酒税やたばこ税,消費税などがあります。モノやサービスの上乗せ分として負担をしているものですね。

 このように,私たちはさまざまな形で税負担をしているわけですが,所得税や住民税は,個人の所得に対して直接税金を納めているものになります。

国税所得税地方税の住民税

 また,税金は納付先によって国税地方税に分けられます。国税は国に納める税金で税務署の管轄。また,地方税都道府県や市町村などの地方自治体に納める税金です。

 個人の所得に関する税金のうち,所得税国税で住民税は地方税となります。

 同じ所得に対しても2つの税金がかかるというのは,この国税地方税があるということからきているのですね。

所得税は「源泉徴収」で天引きされる

 サラリーマンや公務員の人は,給与明細で「所得税」と「住民税」の2種類の税金が天引きされていることがわかります。この所得税は,「源泉徴収」という方法で天引きされています。

 源泉徴収というのは,あらかじめ予想される税金を差し引いて納める方法。1年間の収入が決まった時点で正式に税金が計算され,すでに源泉徴収されていたものを精算して,納税が終了します。この計算は「年末調整」と呼ばれています。

 一般的にはこの「年末調整」で,所得税の計算や納付は終了です。ただ,医療費控除や住宅ローン控除などがある場合(住宅ローン控除の場合は1年目のみ),確定申告をすることになります。この場合は,この確定申告で所得税が最終的に決まります。

住民税は前年の収入で決まる

 所得税はその年(1月から12月)の所得に対して,その年に納税しています。一方,住民税は所得税とは違い,翌年度に税金がかかってきます。

 所得税が確定した後,その情報を元に住民税が計算されます。この新たな住民税は6月から適用されます。前年の所得に対して,翌年の6月から住民税がかかるということですね。

 新入社員に住民税がかからないのは,住民税が前年の所得に対してかかるからです。同様に,退職して収入がないにもかかわらず住民税がかかるということもあります。

所得税と住民税で控除額は異なる

 所得税と住民税の計算方法は少し違うのでご紹介しておきます。

 税金の額は,収入からさまざまな「控除」を差し引いて計算されます。この「控除」というのは,配偶者控除や扶養控除,生命保険料控除や医療費控除など。納税者それぞれの事情を考慮しようというものです。

 この控除額が,所得税と住民税では変わってきます。

 例えば,誰でも受けられる「基礎控除」。控除額は,所得税48万円,住民税43万円です(合計所得金額2400万円以下の時)。同様に,「配偶者控除」は所得税38万円,住民税33万円(合計所得金額900万円以下の場合。合計所得金額1000万円までは控除額が減額,合計所得金額1000万円を超えると配偶者控除は受けられない)。

 「生命保険料控除」は所得税が最高12万円が控除されるのに対して,住民税は7万円となっています(生命保険料,介護医療保険料および個人年金保険料控除あわせて)。

所得税率は所得が多いほど高くなる

 最後に税率を見ておきましょう。所得税は所得金額によって5%から45%の範囲で決まります。所得が多いほど税率が上がる「累進課税」です。また,住民税は一律10%です。

 所得税と住民税の税額が異なり,疑問に思う人もいるでしょう。自分の所得税税率を知っておくと,税負担が具体的に感じられるかもしれませんね。

 いかがでしたか? 給与明細から天引きされている所得税と住民税。税額をチェックするのはもちろんですが,この2つの税金の意味なども知っておくといいですね。退職後に住民税の請求でびっくり!ということのないようにしましょう。

福一 由紀(ファイナンシャルプランナー

 大学卒業後システムエンジニアとして勤務。2人の子どもを出産し退職後FP資格を取得。女性のFP仲間とともに会社を設立し,セミナー,執筆,各種メディアへの企画監修,コンサルティングなどを行っている。

 

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大学時代に国民年金「未加入」だった残念な50代の会社員は,年金を「満額」ではもらえない1!

 以下は,東洋経済オンライン提供記事のほぼほぼコピペです。

 現在50代の会社員は,学生時代に国民年金に未加入だった人が多いため,老齢基礎年金を満額では受け取れない。

 毎年1回,自分の誕生月に届く「ねんきん定期便」。ここで久しぶりに年金の存在に気付く人も多いだろう。

 ねんきん定期便には,これまでの年金加入期間や保険料納付額,さらに老齢年金の種類と見込み額などが記されている。会社員で50歳以上であれば,現在の加入条件のまま60歳定年まで継続した前提で,65歳でもらえる老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み金額が書いてある。

 そこで今,50代半ばの会社員であれば,ひとつ,気付く人もいるはずだ。「老齢基礎年金が満額に足りない」とだ――。

1991年4月から学生も国民年金に強制加入

 新卒で会社に入社してから,厚生年金の保険料を納めてきた(=給与から天引きされてきた)のに,なぜこんなことが起こるのか。

 それは大学生時代,国民年金(基礎年金)への加入が任意だったため,多くの人が保険料を納めていないからだ。未加入であり,未納とは異なる。

 国民年金は現在,20歳以上60歳未満のすべての人に,加入する義務がある。学生も同じで保険料を納めなければならない。ところが,国民年金の”強制加入”の制度がスタートしたのは,1991年4月から。つまり,それ以前に学生時代を過ごした人は,任意加入であった。保険料を納めていないことが,60歳になっても,満額の40年間(480カ月間)に足りない原因となったのである。

 ちなみに強制加入となった現在では,収入が少ない大学生などの場合,学生納付特例制度を使えば,納付が猶予される。猶予を受けると,10年以内に追納すると,将来の年金には影響ない。

 実例を挙げよう。強制加入が始まった1991年4月,新卒の22歳で入社した社会人は,今年54歳。制度改正前の20歳から大学卒業までの2年間,国民年金に未加入だった場合,60歳定年まで保険料を納めても,38年間(456カ月間)にしかならず,40年間(480カ月間)には24カ月分足りない。

 年金額は毎年改定されるが,2022年度の老齢基礎年金額は,40年間保険料を納めた場合,満額(1人分)で年77万7800円だ。国民年金保険料を1年間支払うと年金は約2万円増えるので,保険料が2年分不足する場合,年金は年約74万円となり,満額より4万円近く少ないのである。

 制度上,生まれた年で差が付くのは,割に合わない。では,何か方策はないのか。

 まず考えられるのは国民年金への「任意加入」制度だ。

 加入期間が満たず,老齢基礎年金を満額もらえない人は,60歳以上65歳未満の間,最長5年間か480カ月間に達するまで,任意に加入して未納の保険料を納め,国民年金を満額まで増やせる。納める保険料は月1万6590円(2022年度)で,納付は口座振替。24カ月分なら,計約40万円の保険料を納めると,65歳から満額の年77万7800円の老齢基礎年金を毎年もらえる。

 また満額に近づけるものではないが,「付加年金」で年金を増やすやり方もある。

 毎月の保険料に加え,月400円の付加保険料を納めると,国民年金プラス付加年金を受け取ることができる。例えば,付加保険料は60歳から月400円を5年間(60カ月間),計2万4000円を納付すると,65歳から年1万2000円(200円×納付月数60カ月)の付加年金を毎年もらえる。2年目で,元手の2万4000円を受け取る計算になり,3年目から純増に転じる。

 ただし,難点がある。これらは厚生年金には加入していないことが利用する条件だ。ここが会社員にはつらいところだろう。

定年後も働き,厚生年金に加入し続ける

 現実的な解として取りうるのは,同じ会社で定年後も再雇用されて嘱託社員などで働き続け,「厚生年金に加入し続けること」。会社員の場合,最長70歳になるまで厚生年金に加入でき,「経過的加算額」が老齢厚生年金に上乗せされる。

 経過的加算額の計算式は,単価などかなり複雑なので,ここでは省く。端的に言えば,60歳以降に納めた厚生年金保険料は,老齢基礎年金には直接反映されないものの,その分が老齢厚生年金に加算される。基礎年金の満額年77万7800円に足りない分を埋めてくれるわけだ。

 いずれにしても,現在50代の会社員は,大学時代に未加入だった国民年金(基礎年金)の足りない分について,「今さら間に合わない」などとあきらめることはない。以上のような方策を活用すれば,年金を少しでも増やすことができる。

 

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年金を「75歳」から繰り下げ受給すると,逆に「大損」?

 以下は,現代ビジネス提供記事(森永 卓郎(経済アナリスト))のほぼほぼコピペです。

 そう遠くない将来,夫婦の年金受給額が「月額13万円」にまで減る――経済アナリストの森永卓郎氏はこのように予測します。そうなった場合,すでにカツカツな高齢者はどうやって生活していけばいいのでしょうか? 向こう30年間活きる「お金の知恵」をまとめた角川新書『長生き地獄』から,年金繰り下げ受給にまつわる「見えないワナ」について解説します。

 繰り下げ受給の「落とし穴」

 公的年金の繰り下げ受給の上限年齢を70歳から75歳に引き上げることを含む年金制度改革関連法が国会で成立したことにより,2022年4月から公的年金の受給開始を75歳に繰り下げることが可能になった。  

 本来の65歳受給開始を70歳から受給に繰り延べれば,年金月額は42%増加し,75歳受給開始に繰り延べれば,84%も増えることになる。  

 つまり,年金の受給開始時期を10年間遅らせれば,年金月額が13万円まで下がった時代でも,受給額が84%増えるので,夫婦の年金月額を23万9200円にまで増やすことができるのだ。  

 しかし,このやり方には,思わぬ落とし穴があることが,年金制度改革関連法案の国会審議で明らかになった。日本共産党の宮本徹議員が,75歳受給を選んだ場合,手取りで考えると大きな損失が発生することを明らかにして,政府を追及したのだ。  

 政府の説明は,平均余命で亡くなれば,何歳から受給を開始しても損得はないというものだった。ところが,75歳受給開始を選ぶと,年金が84%増えるために,負担する税金や社会保険料が大きく増えてしまうのだ。  

 例えば,65歳から月額15万円の年金を受給した場合の税・社会保険料負担は月額5800円だが,75歳から84%増の27.6万円の年金を受け取ると,負担が月額3.6万円と6倍以上に増えてしまうという。税も社会保険料も,所得が増えると累進的に負担が増えるからだ。平均余命の87歳まで生きるとすると,生涯で受け取る年金の手取り収入は,総額で370万円も減ってしまうのだ。

実は,手取りが400万円以上も減る

 同様のことを今回の設定で,再検証してみよう。話が複雑になるので,ここでは年金受給者に妻はおらず,単身世帯だと仮定している。  

 まずは年金の給付水準が現状通りだとする。現状は夫の厚生年金が月額14万6162円だから,年収では175万4000円となる。住民税と国民健康保険の保険料は,東京都世田谷区のものを使って計算すると,税・社会保険料負担は年間で17万1000円だ。  

 一方,年金受給開始を75歳からにすると,年金収入は322万7000円と,147万3000円増える。しかし,税金と社会保険の負担が52万7000円と3倍以上に増えるから,手取りは111万7000円増にとどまってしまうのだ。  

 それでも受給開始年齢の繰り下げで,手取り収入が大きく増えるのだから,よいのではないかと思われるかもしれない。しかし,10年間の繰り下げを選ぶということは,65歳から75歳まで一切年金を受け取らないということだ。  

 65歳男性の平均余命は19.93年だから,65歳受給開始なら20年間,75歳受給開始だと10年間が平均的な年金受給期間となる。そこで,生涯の年金手取り収入を計算すると,65歳受給開始の場合は3166万円であるのに対して,75歳受給開始の場合は2700万円と,466万円も生涯の年金手取り額が減ってしまうのだ。  

 このことの原因として,分かりやすいのは,表に示した税社保比率の欄の数字だ。これは,年収に占める税金と社会保険料負担の比率だが,65歳受給開始を選べば9.7%にとどまるのに対して,75歳受給開始を選ぶと16.3%と,負担率が7割も高くなってしまうのだ。

 「年金13万円時代」になった場合

 一方,30年後に夫婦の年金月額が13万円となる時代は,夫の年金月額は9万3000円となる。年収で111万6000円だから,所得税や住民税は一切かからない。税・社会保険料負担比率も8.0%にとどまる。  

 そして,75歳から受給開始を選んでも,税・社会保険料負担比率は11.7%と,それほど高いレベルにはならない。それでも,生涯の年金手取り額は,65歳受給開始が2054万円に対して75歳受給開始は1814万円となるから,年金受給開始を10年繰り下げると240万円減少してしまう。  

 また表では,健康保険料を一律に国民健康保険の保険料で計算しているが,実際には,75歳からは,後期高齢者医療制度が適用される。後期高齢者医療制度のほうが,所得による累進性が大きい。  

 後期高齢者医療制度では,将来年金の111万6000円の場合のように,課税所得がゼロとなる場合は,後期高齢者医療の保険料の所得割はかからず,年額4万4100円の均等割も最大の7割軽減が適用される(東京都世田谷区の場合)。そのため,年間の医療保険負担はたった1万3200円で済むのだ。  

 ところが75歳からの年金受給開始を選ぶと,年金月額が84%増え,所得税と住民税がかかってくる。医療保険の所得割もかかるようになり,減免もなくなるから,医療保険の負担は7倍近くになってしまうのだ。

最大の問題は「住民税」

 しかも問題は,税金や社会保険料だけではない。一番大きな問題は,住民税が非課税でなくなると,さまざまな負担が降りかかってくるということだ。例えば,住民税が非課税だと,介護保険料が軽減されたり,高額療養費の自己負担上限が低くなったり,自治体からのさまざまな補助の対象になる。住民税非課税世帯ではなくなった途端にこれらのメリットは消失してしまうのだ。  

 現行の平均的な厚生年金の受給額は175万円だから,単身者の場合,公的年金等控除の110万円と住民税の基礎控除の43万円,社会保険料控除15万8000円の合計168万8000円を超えるので,年金だけで住民税非課税ではなくなってしまう。一方,扶養配偶者がいる場合は,扶養控除の33万円が加わるので,住民税は非課税になる。  

 ただ厳密に言うと,住民税が非課税となる年金収入の年額は,居住する自治体によって微妙に異なるが,東京23区内の場合,単身者は155万円以下,扶養配偶者がいる場合は211万円以下となっている。そのため,夫が元サラリーマンの場合でも,国民年金の配偶者がいる場合は,住民税非課税の地位を手にできるのだ。  

 さらに,年金収入が住民税非課税の水準を超えそうな人にも手はある。年金を繰り上げ受給すればよいのだ。受け取り開始を65歳より前に早める「繰り上げ受給」の場合,2022年4月からは,減額率が1カ月当たり0.4%に圧縮される(それまでは,0.5%)。  

 だから175万円の厚生年金を受け取る予定の単身者が,住民税非課税になろうと思ったら,年金を30カ月,つまり2年6カ月早めに受給すればよいのだ。62歳で引退すれば,体力のあるうちに「老後」が手に入るから,人生を謳歌する時間を延ばすことができる。私は重要な選択肢だと思う。  

 ただ,もちろん問題はある。まず,年金受給額が12.0%減の状態が生涯続くということだ。しかも,今後の年金水準の減少を考えると,そこからさらに4割程度減の年金額が想定される。最終的に夫婦で11万3000円の年金で暮らせる態勢を整えないといけない。不可能ではないと思うが,ライフスタイルの大きな転換が必要だ。  

 また,1961年4月1日までに生まれた人には特別支給の厚生年金が支給されるから,65歳になるまでは,年金受給開始を繰り上げても,必ずしも住民税非課税とはならない。 

 さらに公的年金等控除の最低保障額も,65歳未満の場合は,60万円しかないから,年金の繰り上げ請求をしたとしても,65歳までは税金や社会保険料を払わないといけないのだ。  ただ,長い人生を考えれば,65歳までの数年間の負担は我慢できるのではないだろうか。

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「繰り下げても年金が増えないなんて」 4月“年金大改正”の思わぬ落とし穴

 以下は,マネーポストWEB 提供記事のほぼほぼコピペです。

 政府・与党内で検討が進められていた年金生活者への「一律5000円給付」が,世論からの激しい批判を受けて,白紙に戻される方向だ。自民党高市早苗政調会長は「もうこの話はなくなった」と明言。その一方で,新年度の4月分から,年金の支給額は0.4%引き下げられる。やってくる年金減額時代にどう対応するか。今年4月からの年金大改正による新ルールを活用する方法も注目されているが,そこには思わぬ“落とし穴”も存在する。

 そもそもなぜ年金支給額が引き下げられるのか。年金支給額は毎年,物価と賃金の変動に応じて改定される仕組みとなっている。現役世代の賃金が伸び悩んだこともあり,新年度から減額されることとなった。高齢化の進む日本では,年金受給世代を支える現役世代の負担軽減が急務となっており,今後も年金減額の流れはなかなか止まらないことが懸念されている。

 そうしたなかで,注目を集めるのが今年4月からスタートする年金の新ルールだ。たとえば60~64歳が年金を受給しながら働く際,「月給+年金月額」が合計28万円を超えると,超過分の半額がカットされていた「在職老齢年金の支給停止」の基準が,65歳以上と同様に合計47万円まではカットされないように緩和される。この制度変更により,シニア世代の就労促進が期待されている。

 今年の年金改正では他にも複数のルール変更があるが,“年金を増やせる手段”として注目されているのが,「繰り下げ受給の見直し」だ。大手紙経済部記者が言う。

「『繰り下げ受給』とは,本来は65歳からの年金受給開始を遅らせることで,割増し年金を受け取れる仕組みのことです。1か月遅らせるごとに月毎の受給額は0.7%増となる(受給開始は66歳以降)。これまでは最大で70歳まで受給開始を繰り下げられ,その場合の年金額は42%増。それが新制度のもとでは75歳まで繰り下げられることになり,最大限繰り下げると年金額が84%増となる。それゆえ,“年金が約2倍に増やせる”と注目を集めているのです」

稼げば稼ぐほど,メリットがなくなっていく

 ただし,この繰り下げ受給には注意点もある。そもそも,受給開始を先延ばしにして65歳以降も年金なしで生活するためには,それ以外の安定収入が必要となる。しかし,給料の収入が多いと,今度は繰り下げ受給の恩恵を受けられない可能性が出てくるのだ。それは,前述の「在職老齢年金」が関係してくるからだ。ベテラン社会保険労務士がこう言う。

「65歳以降に厚生年金に加入して働く場合,『月給+年金月額』が合計47万円を超えると,超過分の半額の年金がカットされます。ポイントは,この在職老齢年金の仕組みでカット対象となる部分は,“繰り下げしても割増しを受けられない仕組み”になっていることです。繰り下げている間に一生懸命働いて稼ぐと,どんどん繰り下げのメリットがなくなるという現象が起きることがあるのです」

 そもそも,サラリーマンの年金は「基礎年金」と「厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てとなっており,それぞれ別々に繰り下げるかどうかを選べる。基礎年金は働きながら受給しても年金カットの対象外で,繰り下げ受給すれば確実に割増しを受けられる。

 問題は「報酬比例部分」のほうである。こちらを繰り下げた場合,その間にいくら給与収入を得ているかで,繰り下げによる増額の幅が変わってくるのだ。

「たとえば65歳時点で『報酬比例部分が月額10万円』の人が繰り下げを選んだ場合について考えましょう。その人が65歳以降に『月給37万円』で働く場合,繰り下げた10万円との合計は47万円で,カット基準を超えない。そうしたケースでは,70歳まで繰り下げると42%増の月額14.2万円の報酬比例部分が受け取れます。

 ところが,それが『月給47万円』になると繰り下げた年金との合計は57万円。基準を10万円オーバーして,5万円分の年金がカット対象になる。その部分はたとえ年金を繰り下げても割増しを受けられない。そのため,70歳まで繰り下げても5万円分はそのまま,残りの5万円分だけが42%増(7.1万円)となり,報酬比例部分は月額12.1万円にしかならなない。さらに,『月給57万円』の場合は,報酬比例部分の年金10万円が全額カット対象になるため,70歳繰り下げを選んでも年金額は一切増えず10万円のままなのです」(前出・ベテラン社労士)

 さかんに“お得”と喧伝される繰り下げ受給だが,人によっては繰り下げても一切増えないケースがあるというのだ。年金制度は複雑極まりなく,性別や生年月日によって恩恵が受けられるか変わってくる制度もある。

 3月28日に発売された『週刊ポストGOLD 新 得する年金』では,専門家の解説をもとに数多くにシミュレーションを提示するなどして,多様な対応策を紹介している。また,今回の制度改正の内容も詳しく解説。自ら制度を学んで,老後資産をしっかり守っていきたい。

 

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年金大改正で,「60歳から繰上げ受給」を考えている人がハマりがちな落とし穴 ,「損益分岐点」

 以下は,現代ビジネス提供記事のほぼほぼコピペです。

メディアの情報に正解はない

 2022年4月に行われた年金改正は,多くの方の関心を集めメディアでも大きく取り上げられています。しかし人生100年時代に個々人が公的年金をいかに活用するかは,メディアで語られるストーリーと異なることも多く,とても注意が必要です。

 今回は,「年金は早くもらわなきゃ損」とファイナンシャルプランナーである筆者にご相談をお申込みになった松田さん(仮名 59歳 会社員男性)のお話をご紹介します。

 松田さんがFP相談に申し込まれた理由は,4月から年金を繰上げした際の減額率が減り,受け取れる年金の損益分岐点が大幅に後ろ倒しになったので,これからは繰上げが圧倒的に有利だという週刊誌の記事を読まれたからだそうです。定年後の生活をどうするか考えていたところ,この記事はまさしく朗報だ!と飛びついたそうです。

 とはいえ,独身の松田さん。老後頼れる人もいないので,一度今後のことを相談した方が良いと思い筆者の元に来てくださいました。

 メディアの報道は,そのまま個人のライフプランに当てはめることは難しいことも多いため,まずは相談の発端となった年金の繰上げについて,改めてご説明をさせていただきました。

 公的年金の受け取りには,「支給開始年齢」と「受給開始年齢」という2種類の年齢があります。前者は法律が定めた国が年金を支給し始める年齢で,これは65歳と決まっています。

 一方後者は,年金加入者のオプションで,希望により受取開始時期を早めたり,遅らせたりすることができる年齢の幅を指します。年金の受け取りを早めることを繰上げと言い,遅らすことを繰下げと言います。

 今年3月までは60歳から70歳の10年間が受給開始年齢の選択幅でしたが,4月からは75歳までに拡大しました。

繰上げと繰下げの「決定的な違い」

 繰上げ,繰下げは老齢年金の受け取り開始時期のオプションですが,決定的に違うことがあります。繰上げは,申し込みをしたら取り消しができないが,繰下げはそもそも申込みが不要だという点です。

 年金は受給したいという意思表示をして受け取ります。該当年齢に達したら,国が勝手に自分の口座にお金を振り込んでくれるわけではなく,受け取りをするには所定の手続きが必要です。

 従って,繰上げは「何歳から受け取り始めたいです」という申し出を国に対して行います。そしてその後は取り消しがききません。

 一方繰下げは,受け取りを希望しないわけですから,手続きは不要です。繰下げは,受給するタイミングを待機しているだけなので,いつまで遅らすという予定や計画を国に予め意思表示する必要はないのです。

 つまり,繰上げと繰下げでは,繰上げの方がよっぽど慎重に考えなければならないということです。また繰上げは本来なら65歳から受け取る年金額を基準に,1ヵ月早める毎に一定の減額率で減らされ,その減額率は一生涯継続します。

 例えば,65歳からの年金が100万円だとします。1ヵ月の減額率は0.4%ですから,64歳から受け取ると4.8%減額するので95.2万円です。63歳なら,9.6%減額なので90.4万円,62歳なら14.4%減の85.6万円,61歳なら19.2%減の80.8万円,60歳なら24%減の76万円です。

 この1ヵ月あたりの減額率は,3月まで0.5%でしたから,確かにこの数字だけを見ると繰上げが有利になったとも言えます。またこの改正が適用になるのは昭和37年4月2日以降に生まれた人が対象となるため,松田さんはこの情報に飛びついた訳です。

損益分岐点で得するのは,平均より早く一生を終えるということ

 特に松田さんが週刊誌の記事で気になったのが「損益分岐点」という言葉です。

記事では,従来の減額率1ヵ月あたり0.5%で計算すると76歳8ヵ月が損益分岐点だったが,改正により減額率が0.4%になったことで,80歳10ヵ月と4年ほど後ろ倒しになったので,お得だと書いてあったとのことです。

 確かに早く受け取りを始めても,金額そのものが減るのですからどこかで本来支給である65歳から受け取る年金の総額の方が大きくなります。

 うさぎと亀ではありませんが,年金額の多い本来支給の年金が亀で,減額された繰上げの年金がうさぎだとすると,4年も長くうさぎがリードできるのは良い話に聞こえます。

 でもこの80歳10ヵ月という年齢は,逆にいうと「年金で得をするために推奨される死亡年齢」ということになります。損得を気にして繰上げをするのは,得なうちに亡くならなければならないという前提に立った話です。

 うさぎと亀のお話では,途中でうさぎが自分の力を過信して居眠りをしたことで結果亀が競争に勝つのですが,年金は計算上,必ず亀がうさぎを追い抜きます。もしゴールという死亡の時期が80歳より前にあればうさぎが逃げ切りますが,死亡というゴールがそれより後であれば勝負は必ず亀の勝ちです。

 厚生労働省のデータによると現在59歳男性の平均余命は約25年だそうです。平均的に84歳までは生きるということですから,うさぎが勝つ条件は平均よりだいぶ早くに一生を終える必要があります。

 とはいえ,人の一生は予測がつきませんし,何歳まで生きたら損だ,得だなんて言い方はとても不謹慎です。

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公的年金の「繰上げ受給」と「繰下げ受給」は、結局お得なの?

  以下は,All About提供記事(文:川手 康義(ファイナンシャルプランナー))のほぼほぼコピペです。

 老後の中心となる公的年金ですが、「繰上げ受給」と「繰下げ受給」が得なのかを考えてみたいと思います。老後の中心となる公的年金ですが、本来の受け取り開始年齢より早く受け取る「繰上げ受給」、遅く受け取る「繰下げ受給」が選べるのはご存じでしょうか。

 今回はこの「繰上げ受給」と「繰下げ受給」が、得なのかどうかを考えてみたいと思います。

公的年金の繰上げ受給とは

 公的年金の受け取り開始年齢は本来65歳ですが、本人が希望すれば開始年齢を前倒しできる制度、これが「公的年金の繰上げ受給」制度です。受け取る年齢は60歳~65歳の間から月単位で選べます。

 それならば早くから受け取る方が得かといえばそうとも限りません。なぜならば繰上げ受け取りを開始した時点(月単位)に応じて年金額は減額され、その減額率は一生変わらないためです。

 令和4年4月以降に60歳になる人の減額率は1カ月あたり0.4%ですので、仮に60歳から受け取りを開始した場合、5年(60カ月)分である24%(0.4%×60カ月分)減額された額、つまり本来の年金額の76%を60歳から受け取ることになります。

 令和4年以降の繰上げ受給による減額率は0.4%です(出典:日本年金機構

 なお昭和37年4月1日以前生まれの人は、以前の減額率である0.5%が適用されますので、最大の減額率は30%です。

公的年金の繰下げ受給とは

 本来の受け取り開始年齢である65歳よりも受け取りを遅くできる制度が「公的年金の繰下げ受給」制度です。

 受け取る年齢は66歳~75歳(*1)の間から月単位で選ぶことができ、受け取りを遅らせた月数に応じて年金額は増額され、増額率は1カ月あたり0.7%です。

 繰下げ受給による最大増額率は84%です(出典:日本年金機構

 仮に75歳から受け取りを開始した場合、10年(120カ月)分である84%(0.7%×120カ月分)増額された額、つまり本来の年金に加え84%加算された年金額を、75歳から受け取ることになります(*2)。

(*1)65歳0カ月~65歳11カ月までの間は繰上げできません

(*2)昭和27年4月1日以前生まれの人は、繰下げ上限年齢が70歳までですので、増額率は最大で42%となります

繰上げ受給は得なの?損なの?

 皆さんが気になるのは、「繰上げ受給」や「繰下げ受給」を選んだ場合の受給額が、本来の受け取り年齢65歳からの受給額と比べてどうなのか、ではないでしょうか。

 図は各年齢で繰上げ受給した場合と、本来の65歳から受け取りした場合との累計を比較したものです。

 繰り上げにより減額された年金額は一生変わりません。

 例えば60歳受け取り開始を選んだ場合、毎年の年金は本来受け取りの76%相当です。当初は65歳から受け取るよりも累計が多いのですが、80歳満了※以降は本来の65歳から受け取る総額が多くなるのが分かります。

 ※満了とは……80歳満了とは、80歳になってから81歳になる前の日を指します

 同じように61歳で受給開始の場合は81歳、62歳で受給開始の場合は82歳、63歳で受給開始の場合は83歳、64歳で受給開始の場合は84歳以降、それぞれの年齢を満了したときに本来の65歳で受け取り開始した場合の総額が多くなるのがわかります(図内の黄色い枠)。

 逆に考えると、その年齢までは繰上げ受給している方が受け取り総額は多いわけです。

繰下げ受給は得なの?損なの?

 次に「繰下げ受給」を選んだ場合はどうでしょうか。

図は各繰下げ受給と、本来の65歳から受け取りした場合との累計を比較したものです。

 繰下げ受給で増額された年金額は一生変わりません。

 仮に66歳から受け取り開始を選んだ場合、当初は受け取り総額が少ないですが、77歳満了以降は本来の65歳受け取り総額より多くなることが分かります。

 同じように67歳から受給開始の場合は78歳、68歳から受給開始の場合は79歳、引き下げ可能年齢の上限である75歳での受け取りを選択した場合は、86歳以降、それぞれの年齢を満了したときに、本来の65歳受給より受け取り総額が多くなることがわかります(図内の黄色い枠)。

 なお「繰上げ受給」や「繰下げ受給」を選ぶ場合、年金額以外にも制度上の制約がありますので次にまとめてみます。

繰上げ受給を選ぶ際の注意点

 繰上げ受給を選ぶ際には次のような注意点があります。

・原則として老齢基礎年金、老齢厚生年金の両方同時に繰り上げなければならない

国民年金への任意加入や保険料の追納ができなくなる

・繰上げ受給中に障害状態となっても障害年金はもらえない

寡婦年金がもらえない(寡婦年金とは国民年金保険料を10年以上払った夫と10年以上結婚している65歳未満の妻が、夫死亡の場合に夫が受け取るはずだった年金額の3/4が受け取れる年金のこと)

・65歳になるまで遺族厚生年金を併給できない(繰上げ受給中に配偶者が亡くなった場合、65歳になるまでは「繰上げ受給している年金」か「遺族厚生年金」どちらかを選択しなければならないという意味です。65歳以降は併給可能です)

・65歳までの間、失業保険や高年齢雇用継続給付が支給される場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる

繰下げ受給を選ぶ際の注意点

 繰下げ受給を選ぶ際には以下のような注意点があります。

・老齢基礎年金、老齢厚生年金はどちらか一方を繰り下げることが可能

・繰下げの選択は66歳以降(65歳0カ月~65歳11カ月までの間は繰下げ不可)

・65歳~66歳の間に他の年金の受給権が発生した場合は、繰下げができない

・66歳以降、他の年金の受給権が発生した場合は、その時点で増額率が固定される

・加給年金は増額されず、待機期間は支給されない(加給年金とは厚生年金に20年以上入っている方が年金を受け取る際、配偶者が65歳になるまで加算される家族手当のようなもの:条件あり)

繰上げ、繰下げの選択は総合的に判断すべき

 いかがでしたでしょうか。

 早くからもらえるから「繰上げ受給」を、年金額が増えるから「繰下げ受給」を、と安直に選んでしまうのはあまりおすすめしません。なぜなら前項で述べたように、繰上げ・繰下げ受給により、年金額以外にも本来なら受けられたはずの制度が制約されることもあるからです。

 繰上げ受給、繰下げ受給を選ぶ際には、自分の健康や家族の状況、収入や資産状況などを踏まえたうえで総合的に判断する必要があるかと思います。

《参考》日本年金機構

川手 康義

 CFP・1級FP技能士。製薬会社に勤務し、お金にも詳しいMR(医薬情報担当者)として活躍。日本FP協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営活動にもボランティアとしてかかわる。

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給与明細の確認は最低年4回!

 以下は,CHANTO web提供記事(取材・文/酒井明子)のほぼほぼコピペです。

 給与明細には知っておくと役に立つ,見ておいたほうがいいタイミングや,差し引かれた理由があります。給与明細の正しい見方を,ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが教えてくれました。

給与明細をきちんと確認したいのは年4回

 毎月会社から振り込まれる給与は,「手取り」と呼ばれるお金です。基本給や残業代などを足した合計金額,いわゆる「額面」から,社会保険料や税金などが差し引かれています。

 振り込まれる金額,差し引かれる金額に変化がある以下のタイミングは特に,給与明細をしっかり確認したほうがいいでしょう。

1.給与が変わることのある年度の切り替えの4月

2.1年間の住民税の支払い金額が変わる6月

3.1年間の社会保険料の支払い金額が変わる9月

4.年末調整の12月

 特にふるさと納税をした場合,翌年の住民税が控除されるため,きちんと反映されているか,6月の明細で確認したほうが良いでしょう。

「給与明細の確認は最低年4回」とお金のプロが語る訳

 また,年末調整ではお金が戻ってくる場合があります。戻ってくるお金のひとつが,給与から毎月差し引かれている「所得税」です。

 所得税は1年間の所得の合計額によって決まりますが,1〜11月の間は正確な合計額がまだわかりません。そのため毎月の所得税は,月々の給与から大まかに算出される金額(源泉徴収税額表)が差し引かれています。実際は差し引かれすぎていることが多く,その分が12月に年末調整されて戻ってくることがあるのです。

 また1〜4とは別に,支給額が間違っていることもあるので注意。残業代,資格,役職手当がある人は,きちんと支給されているか確認してみましょう。

なぜ額面と手取りにこんなにも金額差が!?

 会社員は一般的に給与から,「税金(所得税,住民税)」,「社会保険料(厚生年金保険,健康保険,雇用保険など)」が差し引かれます。

 手取りは額面から保険料や税金が差し引かれた金額のため,給与明細でその金額を見ると「こんなに損をしている」と感じてしまいそうですが,決してそうではありません。払うことでさまざまな恩恵を受けているのです。

 例えば「厚生年金保険料」。老後に備える保険だと思って,毎月大きな金額を支払うことを不満に思う人もいるかもしれません。また少子高齢化で年金の恩恵が減ったと言われており,本当に払うことに意味があるのかと思う人も。

 しかし厚生年金保険のすごいところは,原則65歳(受給開始は60〜75歳から選べます)から老齢年金として「生涯にわたって」支給されるところです。

 ずっと支払っているため損をしているように感じるかもしれませんが,実は会社員の場合,約7年で支払った金額を回収できる計算になることも多いです。しかもそこからどんなに長生きをしても,終身でもらうことができます。

 また厚生年金保険には,「障害年金」と「遺族年金」などの保障が含まれています。

障害年金」は病気や怪我で障がいをおったときに受けられる年金,「遺族年金」は加入している人が亡くなったときに生計を支えられていた遺族に支給される年金です。

 「健康保険料」についても,毎月支払うことで,病気や怪我をした際に健康保険証を提示して,3割負担で治療を受けることができます。ひと月の医療費の自己負担額が9万円程度などと上限が定められる「高額療養費制度」が利用できるのも,健康保険料を支払っているからです。

 「雇用保険」に関しても,失業したときに失業手当(正しくは雇用保険の基本手当)をもらえたり,「教育訓練給付」など働いている間のキャリアアップのための給付金が受けられることもあります。

 しかも会社員の場合,月々の社会保険料は会社が半分(雇用保険については会社が半分より多く)負担してくれているので,支払う金額に対して得られる保障は手厚いと考えられます。

 社会保険料は4〜6月の給与を基に9月から支払う金額が決まります。そのため,残業などによりこの期間の収入が多いと,9月から社会保険料が高くなります。一方で保険料が高い場合,老齢年金や障害年金など,受給する際の金額も多くなるため,一概に損になるとも言えないですね。

給与明細は最低2年間保管しよう

 昨年同月と見比べて手当の有無や保険料の変化をチェックしやすくなったり,残業代の計算ミスなどに対する証拠になるなど,いざというときに給与明細は役に立ちます。ある程度の期間,保管することをおすすめします。

 給与明細は紙かデータのいずれかで渡されます。ずっと保管しておくのは大変だと思いますが,比較しながら確認できるという意味で2年間分は保管するのがおすすめです。

 最近ではデータの給与明細が増えていますが,その場合は自分のパソコンにダウンロードして保管すると,もし会社を辞めても確認ができます。紙の給与明細の場合も,スキャンしてパソコンに取り込むなどし,一定期間は保管をしておきましょう。

ファイナンシャルプランナー風呂内亜矢先生

 1級ファイナンシャル・プランニング技能士,CFP®認定者。「つみたてNISAの教科書(ナツメ社)」など約20冊の書籍のほか,テレビ,ラジオ,雑誌などのメディアで「お金に関する情報」を発信している。YouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」では日常の記録にお金のTipsを交えた動画を更新。

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給与明細には重要な情報が詰まっている

 以下は,いまどきウォッチング提供記事(著作権は日本FP協会に帰属)のほぼほぼコピペです。

給与明細から自分の商品価値を知る

 毎月の給与明細をきちんと確認している会社員は,あまり多くないといわれています。

 新社会人にとっては初めての給与は印象深いものですが,給与明細よりも使い道が気になる人のほうが多いのではないでしょうか。

 給与明細は給与の内訳を記したものという表面的な解釈をしている顧客には,まずその読み方を説明することから始めましょう。

 給与明細は「勤怠・支給・控除」の3部構成となっています。

 勤怠の項目でのポイントは「締め日」と「支給日」です。

いつからいつまで働いた分が,いつ支払われるのかを知ることは,給与は自身が提供した労働の対価だという意識付けにつながります。

 所定労働時間(企業によって異なる)を超えて働くと残業となり,法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えて働いた残業代は1時間当たりの賃金の25%割り増しで支払われます。

 休日出勤や深夜まで残業をすると,さらに割り増しとなります。

 とはいえ,フレックスタイム制が導入されている会社や,職種によっては裁量労働制となっている場合もあり,会社との雇用条件をきちんと理解しておく必要があります。

 新卒で入社した場合は,採用された会社の状況しか知らないため,自分の置かれた環境がどのような位置付けなのかわからないものです。

 そのため,就業規則や労働者の権利を知ることの重要性を伝えることも大切です。

 働くことで得られる対価とは,すなわち自分の商品価値であり,その価値を高めていくために自分自身への投資も必要であるというアドバイスも重要です。

いかに収入を得るかは,これからの人生設計において最も基本となる部分です。

各種手当は福利厚生制度と合わせて確認を

 支給の項目には,基本給,残業手当,役職手当や通勤手当などが並びます。

 かつては家族手当を支給する会社も多くありましたが,最近では,多様化するライフスタイルを反映し,見直す企業も増えています。

 また,コロナ禍でテレワークが増えたことにより通勤手当を見直し,在宅勤務手当という新しいタイプの手当に切り替えるところもあります。

 基本給以外の各種手当は,多くの場合,自らが勤務先に申告することで手当の対象となりますので,福利厚生制度と合わせて確認しておきたい情報です。

 ほかにも資格を取得することで受けられる手当や,業務内容により異なる手当が支給される場合もあります。

 収入アップにつながることへ積極的に取り組む姿勢の重要性についても伝えましょう。

 支給欄に退職金に関わる情報が載っている場合もあります。

 例えば,企業型確定拠出年金制度の選択制を導入している会社での「前払い退職金」という記載は,確定拠出年金の事業主掛金をあえて給与として受け取っているという意味です。

 本来このお金は,従業員の老後の生活のためにと会社が負担し,それを従業員自らが確定拠出年金として運用するものです。

 確定拠出年金の掛金の場合,給与と異なり所得税・住民税・社会保険料を引かれることなく将来の資産形成に振り向けられることがメリットなのですが,確定拠出年金の掛金として拠出すると60歳まで引き出しができない制約も生じます。

 そこで,前払い退職金として給与に合算して受け取ることを選択できる会社もあります。

 この場合は給与と同等の扱いですから当然に税金と社会保険が控除され,手取り額は減ってしまいます。

 選択する際はそれぞれの受け取り方の違いを熟考するべきなのですが,よく内容を知らないまま安易に前払い退職金を選んでいるケースも散見されます。

控除欄から社会の担い手であることを伝える

 控除欄には,健康保険料・介護保険料・雇用保険料・厚生年金保険料・所得税・住民税があります。

 まずチェックしたいのは,勤務先の社会保険が「協会けんぽ」か「組合健保」かということです。

 前者の保険料は標準報酬月額を用いた等級により決まり,労使折半されますが,後者の多くは事業主側がより多く負担する場合があります。

 また,協会けんぽの保険料率は都道府県によって異なり,組合健保には高額療養費に加えて付加給付があることが少なくない,といった制度の違いがあります。

 できれば,保険者が運営するWEBサイトを一緒に見ながら,負担する保険料の成り立ちやどんなときにどんな給付が受けられるかを解説するとよいでしょう。

 その際は,今後転職などを経験することも視野に,勤務先や勤務形態が変わると給付内容が変わる場合もあることを伝えます。

 例えば,傷病手当金と出産手当金は被用者の健康保険からは支給されますが,国民健康保険の制度にはありません。

 雇用保険は,仕事を辞めたとき以外にも教育訓練を受けたときに給付金が得られることなども伝えたいポイントです。

 また,働き続けることを支援するために,育児休業給付金や介護休業給付金など,雇用保険から支給されていることも付け加えましょう。

 厚生年金は,新社会人など若い世代には関心を持ちにくいところかもしれません。

 しかし年金は保険である,もらうものではなく自らが作るものであるという点は伝えたいポイントです。

 老齢年金を語る際,多くのメディアは損得勘定で発信しますが,年金は貯蓄ではなく保険料を払った人同士で助け合う長生き保険であることを理解すべきです。

 そのうえで,働けなくなった場合の所得補償である障害年金,家族が亡くなった際の生命保険である遺族年金と3つの保険のパッケージであるという認識をしっかり持ちたいところです。

 保険だという理解が進めば,保険料の支払いの義務を負っているから給付を受ける権利があるのだという点もわかりやすくなりますし,相互扶助の仕組みだと理解できれば,社会の担い手であるという認識が芽生えるのではないでしょうか。

 なお,老齢年金は現役世代が年金受給世代を支える賦課方式のため,少子高齢化によって大勢で1人を支える「おみこし型」から1~2人で1人を支える「肩車型」へ変化する中で,特に若年層にしわ寄せがいくと思われています。

 しかし,実際に働いている人口を分母に,年金受給者を分子とすると1970年代からそれほど比率は変化していないということがわかっています。

 自分が受給できる年金額は支払った保険料に連動するものであり,今後年収を増やすことが,すなわち将来の年金を増やすのだということはしっかりと伝えたい事実です。

 将来の年金額の計算の元となる標準報酬月額はねんきん定期便での確認がお勧めです。

 給与明細で天引きされた厚生年金保険料がねんきん定期便にも反映されていますから,毎月の給与と等級の関係性もイメージしやすくなります。

 老齢厚生年金を算出する公式も併せて示すとよいでしょう。

源泉徴収票は会社員の決算書

 給与明細には,たくさん重要な項目が記載されていますが,一度の説明ですべてを理解するのは困難です。

 できれば時間を分散し,角度を変えて説明の機会を持ちたいものです。

 例えば1年間の給与明細とともに,会社員にとっての決算書ともいえる源泉徴収票も含めてお金の流れを総括するのもお勧めです。

 給与所得控除は給与収入に応じ領収書不要で経費として控除されるもの,社会保険料控除や生命保険料控除は所得控除,といったことにまで知識が広がれば,収入と所得,課税所得の違いがしっかり理解できるようになります。

 また,年収が増えても,控除額が増えると所得税を抑えることができます。

 医療費控除は家族の誰が医療費を負担するのが最も効率的か,iDeCoの掛け金が控除されると子どもの保育料にどう影響するのか,年末調整で提出した生命保険や医療保険地震保険などの証明書は控除額にどのように反映されているのかなど,控除を活用することのメリットを具体的に紹介することができます。

 さらに源泉徴収票に記載されている情報は,ふるさと納税サイトなどで公開されているシミュレーターに入力すれば全額控除されるふるさと納税額の年間上限の目安を知ることができます。

 ほかにも,住宅ローン控除のメリットを考慮しながら繰り上げ返済の計画を立てることにも役立つなど,暮らしを最適化するポイントを押さえることにもつながります。

 実際,給与明細を理解することは,最も基本的なお金の知識を得ることにつながります。

 

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