悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

アパート賃借人「部屋の原状回復工事をしないなら,退出時に払った〈原状回復費〉は?

 以下は,幻冬舎GOLD ONLINE提供記事(山口 明 氏による)のほぼほぼコピペです。

 なにかとトラブルがつきものの,アパート&マンションの賃借契約。ある入居者が部屋を退出する際,大家から原状回復費用を請求され支払ったところ,なんと大家は原状回復しないまま物件を売却したことが判明。元入居者は,支払ったお金を取り戻したいと考えますが,可能なのでしょうか。日本橋中央法律事務所の山口明弁護士が法的目線から平易に解説します。

「原状回復費用を取ったのに,工事してない!」

 ある賃借人は,借家契約の終了に伴い,賃貸人(大家)から原状回復費用を請求されたため,これを支払いました。しかし,賃貸人(大家)は,その後,原状回復工事を実施しないまま,当該建物を第三者に売却してしまいました。

 このような場合に,賃借人は,賃貸人(大家)は原状回復工事の費用を負担していないとして,すでに支払った原状回復費用を返還するよう求めることができるのでしょうか? この点について,下級審の裁判例において,賃借人は,賃貸人がその主張する補修工事をしないまま次の賃借人に賃貸しているため,その場合に原状回復は不要であったはずなどと主張した事案で,裁判所は,「原状回復費用は,明渡し時の状態において客観的に算定されるものであり,その後貸主が実際に補修工事を行うかどうかは,算定された原状回復費用に影響を及ぼさないというべきである」と判示したものがあります。

確かに,

「賃借人が原状回復義務を履行しないときは,債務不履行による損害賠償責任を負う(最判平17・3・10判時1895号60頁〔賃借地に不法投棄した産業廃棄物の撤去義務を原状回復義務として認め,その違反による損害賠償責任の可能性を肯定〕)。」 (中田裕康・契約法新版406頁)

とされており,債務不履行による損害賠償責任は,金銭賠償で行われるのが原則となります。 そのため,賃借人は,賃貸借契約に原状回復義務の定めがある場合などにおいて,賃貸借が終了したときは,賃借物に生じた損傷を原状に回復する義務を負っていることになりますので,この損傷を回復せずに明け渡した場合には,その時点で,原状回復費用について金銭賠償する責任が発生することになります。

 したがって,上記の下級審裁判例は妥当な判断であると考えられます。

自動車の損傷にまつわる裁判でも,類似の判例あり

 なお,同様の問題は,交通事故で自動車が損傷した場合に,現在も修理を実施していない時点で賠償金を請求したという事例でも発生します。この事例においてどのように判断されているのかと言えば,大阪地判平成10年2月24日判決では,

「被告らは,原告車両は現在においても修理がされておらず,今後も修理する可能性はないから,損害賠償の対象とすべきでないと主張するが,原告車両が本件事故によって現実に損傷を受けているものである以上,これによる損害は既に発生しているものというべきであり,右主張は採用できない。」

と判示しています。また,神戸地判平成28年10月26日判決でも,

 「原告所有の事故車両〔大型貨物自動車〕の修理費用請求に対する被告の車両修理費領収書の提出がないとの主張に対し,共済作成の証拠から損傷の修理費用451万4400円を要することが認められ,車両修理費の領収書が提出されていないとしても,現実に損傷を受けている以上,損害が発生していることは明らかであるから,被告の指摘は上記判断を左右しない」 と判示しています。そのため,交通事故の分野においても,自動車の損傷に係る賠償金を請求する際に,実際に修理をしている必要はないものと解されています。

原状回復費用の支払いと,工事の実施の有無は別の話

 以上のことから,賃貸人(大家)が原状回復工事費用を実際に負担していないから,賃借人として支払った原状回復費用を返還して欲しいという主張をすることは難しい場合が多いものと考えられます。

 なお,賃借人が原状回復義務を負担する範囲は,賃貸借契約の内容によりますが,特別損耗に限られ,通常損耗は含まれないケースが多いため,通常損耗分についての原状回復費用を請求することは認められないという主張を賃借人が行うことができる場面はありますが,そのことと,「賃貸人が実際に原状回復費用を負担していないから,賃借人として原状回復費用を負担しなくてよい」という主張とは別のものであると認識しておく必要があります。

山口 明:日本橋中央法律事務所 弁護士

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

60歳以降も働く人が受け取れる“手当”とは?

 以下は,AERA dot.提供記事(週刊朝日 2022年12月30日号)のほぼほぼコピペです。

 いつもよりゆっくり過ごす時間が多い年末年始は,将来について話し合う絶好の機会だ。知らないと損する定年前後のお金の手続きのこと,生活や働き方のこと,夫婦でじっくり考えてみませんか。定年を迎えた人,迎える人はもちろん,40,50代もこの機会にぜひ。

 長年勤めた会社を定年退職するとき,「退職一時金」に期待する人も多いだろう。

 自分たちへのご褒美として夫婦で海外旅行に出かけたり,高額な買い物をしたりするのはいいが,それ以前に,「『退職金の受け取り方』を間違えると,老後の資産形成に影響を与えます」と,注意を促すのは,税理士でファイナンシャルプランナーの西原憲一さん。

「退職金は一時金,分割,一時金と分割の併用と,受け取り方は会社によっていくつかの選択肢が設けられていますが,60歳の定年退職時に一括で受け取るケースがほとんどです。また,退職金には『退職一時金』と三つの『企業年金』があり,ご自身が今までどの企業年金に加入していたのか,受け取る金額と受け取れる期間を知らないと,税金の負担が多くなり,資産が目減りしてしまいます」(西原さん)

 企業年金制度には「確定給付企業年金」「企業型確定拠出年金」「厚生年金基金」の三つがある。

 まず,定年前にやることは,企業年金を含めた退職金をいつ,どれだけ受け取るのか。これを必ず確認しよう。

 もう一つ重要なことがある。退職前に会社の総務などから「退職所得の受給に関する申告書」を受け取り,必要事項を記入して,会社に提出する。この作業を怠るととんでもないことになる。

「『退職所得の受給に関する申告書』を会社に提出すると,退職一時金は退職所得控除の対象になり,控除の計算をした上で,金融機関の口座に振り込まれます。まれに,この書類を提出しない人がいます。そうすると退職一時金から一律20.42%の所得税等が引かれた後の金額で振り込まれてしまいますので必ず手続きをしましょう」(同)

■60歳以上働く人 受け取れる手当

 確定申告で手続きをすれば,支払った所得税等は戻ってくるが手間がかかる。

 その「退職所得控除」は勤続年数によって控除額が異なり,退職一時金と企業年金を一括で受け取ると,退職所得控除の額を超えてしまうケースがあるので注意が必要だ。

 例えば,勤続年数が38年のヤスヒコさん(仮名・59歳)は,退職一時金2千万円,650万円の企業型確定拠出年金を受け取れることがわかった。

 下記の計算式にあてはめると,退職所得控除の額は2060万円。退職一時金と確定拠出年金を一括で受け取ると,課税対象額は295万円,所得税額は19万7500円にもなる計算だ。

 ヤスヒコさんは,「それならば60歳で退職一時金を受け取って,翌年に確定拠出年金を受け取ればいい」と思っていたが,そうはいかないことがわかった。

「退職所得控除は60歳のときに退職一時金を受け取ったら,『4年超間隔をあける』というルールがありますので,翌年は適用されません。次に退職所得控除が使えるのはヤスヒコさんが65歳のときになります」(西原さん)

 60歳以降,再雇用制度を利用して同じ会社で働くことにしたが,給料が60歳前と比べて減額することがわかったので,確定拠出年金は「年金形式」で受け取り,生活費の足りない分を補おうと考えた。60歳から64歳までの人は,年60万円まで,65歳以上の人は110万円まで,「公的年金等控除額」を使えば税金がかからない。

 月5万円で設定すると,公的年金等控除額の範囲内で収まる計算になった。

確定拠出年金は,原則60歳以降75歳までの間で受け取りを開始することが可能です。ここでも退職所得控除に関するルールがあり,確定拠出年金を一括で受け取ろうとするときは注意が必要です。退職一時金を60歳で受け取ったら確定拠出年金を一括で受け取るまで14年間空けなければなりません。それは現実的ではないので,年金形式で受け取ったほうがいいでしょう」(同)

 また,ヤスヒコさんのように60歳以降,働き続ける人は「雇用保険」から受け取れる手当があるので,忘れないようにしたい。

 60歳以降,再就職した人の給料が60歳時点の75%未満に下がった場合,「高年齢雇用継続基本給付」がもらえるのだが,「60歳時点の給与の上限が47万8500円」「月額の賃金が支給限度額を超えると支給されない」というルールがあり,「75%未満」という条件をクリアしても給付の対象にならないケースがある。

 いずれにしても自分で計算しないで,ハローワークで相談してみよう。

 これらの退職一時金,企業年金の受け取る時期やもらい方の手続きを含めて,たいていの会社では50代の社員を対象に「リタイアメントセミナー」が開催され,自分で情報収集をしなくても会社が教えてくれるのでひと安心。

■妻と夫では違う知りたい情報

 都内に住むタロウさん(仮名・58歳)は,「大事な話なんだからしっかり聞いてきてね」と,妻に送り出されて会社主催のセミナーに参加したのはいいが,帰宅後,妻からの質問に答えられず,「何を聞いてきたの!」と,こっぴどく叱られた経験がある。

「妻と夫で知りたい情報は違います。夫がセミナーで聞いたことを妻に説明するのは至難の業なので,そこで齟齬(そご)が生じると定年後,溝が埋められないまま過ごすことになってしまいます」

 そうアドバイスするのは,『お金・仕事・生活…知らないとこわい 定年後夫婦のリアル』(日本実業出版社)の共著者で,確定拠出年金アナリストの大江加代さん。

 タロウさんが退職時に「全部でいくら資産があるのか」妻に説明できないで,しどろもどろになったのはワケがある。

 社内預金制度や積み立て制度,財形貯蓄など,妻に内緒で蓄財してきた資産を“へそくり”にして「老後の自分だけのお小遣いに」と計画していたからだ。

 しかし,「これらも大事な老後資金の一部なので,嫌でも白日のもとにさらさなければなりません」と言うのは,夫で経済コラムニストの大江英樹さん。英樹さんが定年退職したとき,退職一時金を除く預貯金は150万円しかなかったという。

「お金に関しては大丈夫だから」と言う英樹さんに対して,加代さんは「夫が言うほど大丈夫とは思えず,老後の家計をシミュレーションした」と言う。

「まず定年後,1年間の生活費を計算しました。支出は家計簿をつけていたので,夫婦で毎月約22万円で生活ができる道筋がつけられました。次に私が受け取る年金を計算して,夫に先立たれた後,私がひとりになったときの生活費を試算しました」(加代さん)

 夫婦で生活していたときの半分にはならず,月約17万円,年間200万円は確保したいと考えた。

 妻がひとりになっても生活が成り立つのか,というように「お金にまつわる不安」を書き出す。

 その「不安」を夫婦で共有しながら,具体的に金額を出すことで不安を解消していくプロセスがとても大切という。

 お金の不安を話し合うと,年金の繰り下げなどの受け取り方や,65歳以降の働き方も決まってくる。このように,定年前後のお金や仕事,生活に関して,くれぐれも夫が一方的に決めないようにしたい。

「私(70歳)の世代は,男は一家の大黒柱として稼がなければならないという思い込み,『大黒柱バイアス』にとらわれている人が多く,家庭やご近所デビューなど,生活圏が会社から自宅に移るとき,さまざまな弊害を起こします。この『大黒柱バイアス』を早く捨てて,家庭内では妻を上司だと思って従うことです(笑)」(英樹さん)

 例えば,再雇用,再就職で働く際も,ついエラそうな態度で人と接してしまう人もいるだろうが,マウントを取ろうとすると相手に嫌われる。

「現役時代は大した仕事はしてこなかったと自分に言い聞かせるようにしてきました。好きなこと,やりたいことにチャレンジしてそれを仕事にすればいいと思います。無理に何十万円も稼ごうと気張らずに月3万~5万円ぐらいでいいと思えば,いくらでも仕事は見つかります」(同)

 また最近は「プロボノ」といって,自分のスキルを登録して,休日や夜の時間を使って,地方企業やボランティア団体にノウハウを提供する「マッチングサービス」もある。

 個人事業主や起業はハードルが高いと思う人は,月に数日からプロボノに参加してスキルの棚卸しから始めてみるのもいい。

「定年後に起業して,仕事の依頼が来るようになったのは,会社を辞めてから知り合った人たちのツテが大きかったです」

と英樹さんが言うように,定年後,個人事業主や起業などで働きたいと思う人は,現役時代から社外の友人をたくさん作っておくことを勧める。

■感謝の気持ちを口に出す習慣を

 一方で,今までずっと働いてきたのだから,定年後は家でのんびり過ごしたいと「三食昼寝付き」の夫もいるだろう。

 ヤスシさん(仮名・65歳)もそのひとり。やっと会社員生活から解放されたのはいいが,これといった趣味がない。

「コロナにかかりたくないから外出は自粛する」と言い訳をしながら,居間で新聞を読みながらテレビを見る日が続くうちに,妻から「お小遣いあげるから遊びに行っておいでよ」と言われるようになってしまった。

「夫の三度の食事を作るのは面倒という妻のシグナルです。家にいるのであれば,もっと家の仕事を手伝いなさいと妻は心の中でそう思っているのです」(加代さん)

 夫に家事を手伝ってもらうと,かえって手間がかかる。「自分の城(台所)」を汚されたくないと思う妻もいるだろうが,妻が長期不在にしても,夫がひとりで留守番できるようにしておいたほうがラクという。

「妻が突然,寝込んでしまったときに,それまで夫が一切家事をやっていなかったら,休んでいられない事態に陥ってしまいます。1週間ぐらい妻が家を空けても,夫ひとりで自炊,洗濯,掃除,ゴミ出しぐらいはできるようにしてもらいたい」(同)

 その際,洗濯物の畳み方や食器の後片付けなどが気に入らなかったとしても,「妻は我慢して夫をほめてほしい」と加代さんは言う。

「自分のやり方と違うなと思っても,目をつぶって『手伝ってくれてありがとうね』と一言があると,亭主は喜んで,次から率先してやるようになります(笑)」(英樹さん)

 そして定年後は,夫婦2人で過ごす時間が長くなる。会話不足を補う魔法の言葉が「ありがとう」だという。夫も妻も手伝ってくれたら「ありがとう」と,口に出して言ってみよう。

「そんなこと恥ずかしくて言えない」という人は,コンビニやスーパーの店員さんにも,身の回りでのささいな出来事から,感謝の気持ちを口に出す習慣をつけておくと,家庭内だけでなく,どこでも「ありがとう」が言えるようになり,対人関係も良好に保てるようになる。第二の人生,好循環のサイクルを作るためにも,内面を変えることからスタートしよう。(ライター・村田くみ)

■退職所得控除額の計算式

勤続年数:20年以下の人/20年超の人

退職所得控除額:40万円×勤続年数/40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数の端数は切り上げ。最低金額80万円

(例)勤続38年の人のケース

800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円まで税金がかからない

(例)60歳で退職一時金(2000万円)と確定拠出年金(650万円)を一括でもらう場合

(2650万円-2060万円)×1/2=295万円(課税対象額)

295万円×10%-9万7500円=19万7500円(所得税額)

復興特別所得税を考慮しない

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

50歳から始めるなら,一般NISAとつみたてNISA,どちらがいい?

明けましておめでとうございます<(_ _)>本年もよろしくお願い申し上げます。

 以下は,ファイナンシャルフィールド提供記事(執筆者:菊原浩司)のほぼほぼコピペです。

 NISAには一般NISAとつみたてNISAの2種類がありますが,それぞれ得意・不得意が存在します。 老後がそろそろ見えてくる50歳の方がNISA制度を利用して老後資金を用意する場合,一般NISAとつみたてNISAのどちらが適しているでしょうか?

老後資金はご自身で準備する時代へ

 老後資金は以前であれば厚生年金などの公的年金の老齢給付に頼ることもできましたが,公的年金給付金基本的には現役世代が納めた年金保険料が原資になっています。少子高齢化により現役世代が減ると原資となる年金保険料も減少するため,将来的に公的年金の給付水準は低下していくと見込まれています。

 年金収入が減少するのであれば不足分はご自身で準備する必要がありますが,銀行預金の低金利状態が続く現状では金利収入がほとんど得られず,預貯金のみでは資産形成が不足してしまう恐れがあります。 そこで金融商品などによる投資活動による利益で資産形成を後押ししようと考え,金融商品の利益を非課税とするNISA制度が導入されました。

一般NISAとつみたてNISAの違いは?

 株式投資投資信託などの金融商品によって値上がりによる利益を得たり分配金や配当金を受け取ったりした場合,基本的に約20%の所得税・住民税などが課税されます。

 NISA制度は,本来は課税対象となる投資活動の利益などに対し,年間一定額までで特定期間内であれば,その範囲内で行った投資活動に対する利益などを非課税とする制度です。 一般NISAとつみたてNISAは1年間に投資可能な金額と投資可能期間にそれぞれ違いがあります。

【一般NISA】

 一般NISAは2024年以降の制度改正が予定されています。新しい一般NISAは2階建ての構造になっており,1階部分は毎年20万円まで金融庁の定める投資信託にのみ投資することができ,個別の株式銘柄などに対しては投資対象とすることができません。

 2階部分では年間102万円まで投資可能で,こちらでは個別の株式銘柄や金融庁の指定外の投資信託なども投資対象とすることができますが,レバレッジデリバティブなど組み入れ値動きを増幅させたブル・ベア型の投資信託など複雑な仕組みを取り入れている投資信託は投資対象外となっています。

 原則として1階部分を利用しないと自由度の高い2階部分は利用できませんが,変更前のNISA制度を利用しているなど一定の投資経験がある場合は2階部分のみを使うこともできます。

 投資可能期間は2024年から2028年までの最長5年間で,投資可能額の総額は最大610万円となります。

【つみたてNISA】

 つみたてNISAは毎年40万円ずつ,20年間にわたり金融庁が定める投資信託のみを投資対象とすることができます。投資可能額は最大800万円となり一般NISAよりも大きくなっていますが,一方で上限額に達するまでに時間がかかるデメリットがあります。

 一般NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか利用できず,他のタイプに変更するには届出を出した上で1年間待たなければなりません。

 投資活動の利益は金額が大きく運用期間が長いほど大きな利益を期待することができますが,NISA制度の選択を誤ってしまうと投資総額が減ってしまったりNISA制度の運用期間が想定よりも短くなってしまい,投資活動のパフォーマンスを低下させてしまったりする要因となってしまうかもしれません。

すぐに資金が必要な場合は一般NISA

 50歳からの利用に適したNISA制度を見極めるには,投資活動に回した資金が必要となるタイミングがポイントになります。 他に預貯金などの手元資金がなく,年金生活後にすぐにNISA制度の資金と利益を使用したい場合は,比較的短期間で多額の投資が行える一般NISAの利用が適しているといえます。

手元資金がある場合はつみたてNISA

 逆に手元資金が別にあり,すぐにはNISA制度の資金と利益を使用しないのであれば,投資可能額の総額が大きいつみたてNISAを利用するとよいでしょう。 この際,老後生活に移行した後も金融商品への投資を継続することで老後資金の資金寿命を延ばすことも期待できます。

まとめ

 50代からNISA制度を利用して投資による資産形成を行う場合,運用期間を確保するために資金が必要となるタイミングの見極めを行う必要があります。

 老後資金がすぐに必要になる場合は一般NISAで速やかに資金を投資活動に投じることで運用期間をできるだけ長くとるようにしましょう。

 逆に老後資金が必要になるのが老後生活以降後しばらくたってからの場合は,投資期間が長くとれることから,投資可能総額の大きいつみたてNISAを利用することがおすすめです。

菊原浩司:FPオフィス Conserve&Investment代表

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

 

 

年金って月数万しかもらえないのに払う意味ある?

 以下は,ファイナンシャルフィールド提供記事(執筆者:FINANCIAL FIELD編集部)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

国民年金は月数万円しかもらえないって本当?

 結論からいいますと,本当です。国民年金とは,日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人はすべて加入することになっている公的な年金のことです。個人事業主や農業・漁業に従事している人は,令和4年度の毎月の支払額が1万6590円であり,納付期間は40年間と定められています。

 満額を支払った場合,「日本年金機構」によると65歳からの月額支給額は6万4816円です。これに比べ,多くの企業で採用されている厚生年金では,賞与を含む平均標準報酬額43万9000円で考えた場合の支給額は,月額21万9593円となります。

 この差を見ると,老後にもらえる数万円のために毎月国民年金の保険料を支払っていく意味が見いだせない人もいるでしょう。実際に保険料を支払っていない人も多くいます。ただし,国民年金へ加入して保険料を支払うのは国民の義務です。長期間支払わないと財産の差し押さえなど,強制的な措置を取られる可能性がありますので注意が必要です。

国民年金保険料を支払う意味って何?

 個人事業主やフリーター,農業・漁業従事者の方は,収入がいつも安定しているわけではないでしょう。国民年金保険料の支払いに意味を見いだせないなら,経済的に苦しい状況の中で払いたくないのは当然です。

 では,本当に意味がないのでしょうか。厚生労働省が発表しているレポートでは,令和3年度には国民の78%が国民年金の保険料を支払っており,未納者の数はそれほど多くはありません。ちなみに支払っている人の数は,令和2年度に比べて0.8%伸びています。つまり,支払いに意味を見いだしている人が増えているともいえるでしょう。

主に以下の2つが,国民年金保険料を支払う意味といえます。

1特定の状況以外,払い損になることはない

2適用年齢になると確実に受給できる

 月に6万4816円を受給できる国民年金は,年間では77万7800円になります。これをもとに考えると,65歳から日本人の男性平均寿命の81歳までの受給額は1244万4800円です。後述する特定の状況を除いて,払い損になることはありません。また,年金の適用年齢になれば確実に受給できるのも,国民年金保険料を支払う大きな意味です。

 前述した特定の状況とは,65歳になる前に本人が死亡しており,かつ遺族年金をもらえる対象者がいない場合や,受給が始まっても比較的早く死亡した場合などです。このような状況では,年金をまったく受け取れなかったり,受給額が支払額を大きく下回ったりすることがあります。

国民年金保険料を支払うメリットとは?

国民年金保険料を支払うメリットは,主に以下の5つです。

1.生涯にわたって受給できる

2.経済や社会の変化に強い

3.障害を負った場合に対応できる

4.家計の担い手が亡くなった場合に対応できる

5.所得税と住民税が軽減される

 国民年金は,貯蓄のように使い切ってしまう心配はなく,生きている限り支給されます。生涯にわたり老後をサポートしてくれる制度です。また「賃金スライド」や「物価スライド」の仕組みによって,事前には予測不可能な数十年先の物価や生活の水準に対応し,毎月の安定した収入源となります。

 けがや病気になった場合は「障害基礎年金」,夫や父親を亡くした家庭へは「遺族基礎年金」が支給されます。また,確定申告の際には,支払った国民年金の保険料全額が社会保険料控除の対象です。以上の5つが,国民年金保険料を支払う上での,大きなメリットといえます。

国民年金の支払いに意味を見いだし,老後のプランを考えよう

 国民年金は,特定の状況以外は払い損のない意味のある制度です。しかも,ただ個人的に貯蓄するのとは違い,病気やけが,それに受給者が亡くなった場合にも適切に対応してくれるなど,いくつものメリットがあります。国民年金保険料の支払いに意味を見いだし,人生100年といわれる老後のプランをしっかりと考えていきましょう。

出典

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

日本年金機構 Q&A 国民年金の保険料はいくらですか。

厚生労働省 令和2年度の国民年金の加入・保険料納付状況について

厚生労働省 令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況

厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方

≪私の場合,老齢厚生年金を掛けた期間が少ないので,年金額がそれなりに少ないはず……。妻の扶養家族となって,妻に老齢基礎年金分を支払って頂いたから,その分はとても貴重かも!≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

「通夜はやらない」「香典は辞退」 簡略化が進む「葬儀の今」

 以下は,マネーポストWEB提供記事のほぼほぼコピペです。

 かつては葬儀に時間やお金を費やすことも珍しくなかったが、その価値観は薄れつつある。近年は近親者だけの家族葬や、通夜・告別式を行わない直葬など、コンパクトな葬儀を選ぶ人たちが増えている。コロナ禍では、そうした傾向にさらに拍車がかかっているようだ。実際に“簡素”な葬儀を選んだ人の声を紹介するとともに、葬儀社現役社員に、簡略化・合理化が進む「葬儀の今」について聞いた。

 昨年、90代の母親を亡くした70代主婦・Aさん(愛媛県出身/現都内在住)。母親からは生前、「私が死んだら、葬儀は好きにしていい」と言われていたこともあり、Aさんは、まずコロナ禍であることを考慮して、人を呼ぶ通夜は省略することにした。そして納棺、告別式、火葬をすべて同じ日に行う『一日葬』を検討したが、最終的には火葬のみの「直葬」を選んだ。

「姉妹で話し合った結果、親族だけでお別れする『直葬』にしました。母の知り合いを全て把握しきれていないうえ、告別式のご案内を出す人は少ないし、ご負担にもなるだろうと考えてのことです。昔は通夜でお酒を飲んだり、亡くなった人の話をしたりしたものですが、私自身、そういった葬儀が減っているのを体感していて、もうそんな時代でもないのかなと……。私の時も、葬儀はなるべく子供に負担をかけたくないので、『直葬』でいいと思っています」(Aさん)

「終活」サービスを提供する鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によれば、2020年に48.9%の約半数が「一般葬」を選んでいたが、2022年では25.9%に激減。一方、家族葬は40.9%から55.7%、「直葬」も4.9%から11.4%に増加している。

 葬儀をコンパクトにすれば費用も抑えられる。「小さなお葬式」を運営するユニクエストによる葬儀費用の調査では、2021年2月~2022年5月に執り行われた葬儀費用の全国平均は「一般葬」191万円に対し、「家族葬」は110万円、「直葬」は36万円だった。

「香典返しが面倒だから香典もいらない」

 葬儀社に長年勤務する現役社員で「考える葬儀屋さんのブログ」管理人の赤城啓昭氏は、コロナ前から葬儀の簡略化・合理化の動きはあったと指摘する。

「確かに、コロナ禍以降、集まる機会を減らしたいという人が増えていますが、その前から通夜を省略する空気感はありました。また通夜だけでなく、香典をなくしたり、葬儀を1日で完結するようになったり、いろいろな部分で合理化が進んでいます」(赤城氏)

 かつては香典がある一方で「香典返し」も当たり前の慣習だった。

 現在30代の男性会社員・Bさんは、いわゆる大企業勤務。社員の数が多いだけに、会社関係者の訃報が通達されるのもしょっちゅうで、「通夜や葬儀にまでは行かなくとも、香典だけは集める、というのは日常茶飯事でした」と言う。その「香典」という慣習の変化を感じている。

「僕が入社した当時は、チームや部ごとに、誰かが取りまとめ役になって、一人3000~5000円のお香典を集めたものです。そして、葬儀が終わった後に、香典返しとしてよくお茶の葉やハンカチをいただきました。でも最近は、そもそも香典を受け取らない、辞退する人が増えてますね。

 実際、同僚が喪主を務めたことがあったのですが、『香典返しを用意するのは手間がかかるし、香典をもらうのも、集計などの作業が発生して面倒。だったら最初から辞退したほうが楽』と言っていました」(Bさん)

通夜と葬儀は「死を受け入れるステップ」

 赤城氏は、葬儀の合理化について、「信仰心の薄れやコミュニティの崩壊が背景にある」としたうえで、「お葬式をもはや“贅沢品”とする傾向も強まっている」と指摘する。

「葬儀が画一的なものから多様化へと移り変わり、故人や遺族の選択肢が広がっているともいえますが、個人的には、通夜には大切な意義があると思っています。通夜の際の会食は、遺族が亡くなったことを段階的に受け入れる役割を担います。思い出を語り合い、悲しみや感謝を共有する時間は、案外とても重要なんです。

 葬儀をミニマム化しても、人の死をきちんと受け入れられるなら問題ありません。ただ、気持ちにケリをつける、区切りをつけることが苦手な人も多いのが実情です。考え方は人それぞれですし、時代とともに変わる部分もあっていいと思いますが、通夜と葬儀は、死を受け入れるステップでもある。一定の儀式をすることにより心が落ち着くこともある、という“知恵”でもあるのかなと思います」(赤城氏)

 葬儀のかたちが多様化しているからこそ、大切な人にとっても遺族にとっても、最適な選択を話し合っておきたい。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

「将来の年金」はいくら必要?

 以下は,ファイナンシャルフィールド提供記事(執筆者:谷口まり恵)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

老後の生活費はどのくらい必要なのか

 公益財団法人生命保険文化センターの調査では,老後の夫婦2人が,趣味や旅行なども含めたゆとりある生活を送るには,毎月約38万円が必要とされています。

 65歳以上,夫婦のみ,無職世帯の年金収入である月平均21.6万円(総務省家計調査より)と合わせた不足分16.3万円を毎月,預貯金から取り崩し続けると,世帯主が70歳以上の世帯の平均貯蓄額約2404万円(同調査より)を12年程度で使い切る計算になります。

 70歳の平均余命は男性約16年,女性約20年と言われているので,老後の生活資金についてはできるだけ早いうちから対策を考えることが大切です(※実際の収入規模や不足額は状況により異なります)。

ゆとりある生活のためにできること

 ゆとりのある老後の生活を送るための重要な対策としては「将来受け取れる年金額の確認」「支出の見直し」「余裕資金による資産運用」の3つが挙げられます。

将来受け取れる年金額を確認する

 将来受け取れる年金の見込み額については,毎年の誕生月に届くねんきん定期便の他にも,以下の方法で確認が可能です。

・「ねんきんネット」による試算

・「ねんきんダイヤル」による申し込み

・電子申請による申し込み

 「ねんきんネット」では,専用サイト上でさまざまな条件を設定することで,将来受け取れる年金の見込み額が試算できます。「ねんきんダイヤル」と電子申請の場合は,50歳未満であれば年金加入記録のみ照会が可能です。

支出を見直す

 年金の見込み額が確認できたら毎月の生活費を見直し,余分な出費がないか,毎月一定の金額がかかる固定費を中心に確認してみましょう。主な見直しの対象としては,例えば以下のような項目が挙げられます。

・保険契約

・携帯電話料金(格安SIMなどへの切り替えの選択肢含む)

・電気・水道・ガスの契約会社や料金プラン

・各種サブスクリプションサービス

余裕資金で運用する

 現役時代のうちから余裕資金を運用に回すことも,老後の生活資金を準備するための有効な手段です。

 投資商品を購入するタイミングに迷う人は,毎月少額ずつ決まった金額を投資する積立投資がおすすめです。積立投資は「時間分散」の効果によって,高値づかみのリスクを抑えることができるというメリットがあります。

 また,投資を通じた将来の資産形成は,できるだけ早い時期に始めることをおすすめします。というのも,増えた利益を含めて運用する「再投資」であれば,期間が長いほど利益の幅が膨らむ「複利効果」が期待できるからです。

 例えば,毎月5万円を年率3%で10年運用した場合は元本600万円が698万円になり,利益は98万円です。一方,同じ条件で20年続けた場合は元本1200万円が1641万円になり,利益は441万円です。期間を10年長くするだけで,元本に対する利益の割合は約16%から約37%と倍以上に膨らみます。

 現在はつみたてNISAやiDeCoのように,積立投資をしながら運用益非課税などの税制優遇を受けられる仕組みも整っています。元本を損なうリスクには十分留意した上で,資産形成を促進するこれらの制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

 老後の生活を豊かにするための3つの対策について解説してきました。

 将来受け取ることのできる年金の見込み額を踏まえて資金計画を検討し,余計な支出を見直しつつ,できるだけ早い段階から積立投資の選択肢を含めた老後資産対策を始めることが大切です。

 本記事で紹介したポイントを踏まえ,老後の豊かな生活に向けたライフプランを点検してみてください。

出典

公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」

総務省統計局 2021年家計調査報告(家計収支編)

総務省統計局 家計調査 <貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高 8-5世帯主の年齢階級別(2022年4~6月期)

日本年金機構 大切なお知らせ,「ねんきん定期便」をお届けしています

日本年金機構 年金見込額試算

金融庁HP 投資の基本 時間分散

金融庁HP 資産運用シミュレーション

谷口まり恵:一級ファイナンシャルプランニング技能士

≪わかりますが,現在「余裕資金」のある方,どれくらいいらっしゃいますか?≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

「NISA」を定期預金と比較し解説 (基本知識)

 以下は,マネーの達人提供記事(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

「NISAをください」

 数年前ですが,私のいる銀行窓口にいらっしゃった初老の女性がこうおっしゃいました。

 「知識のない高齢者などいいカモ」などとは考える余裕もなく,びっくりしてお話をうかがうと,友人からNISAを進められ欲しくなったので,よくわからないけれど銀行にきたとのことでした。(銀行に「売っている」と思ったそうです)

 投資の初心者ということもあり,基本的な説明をして,ご家族とも相談してうえでゆっくり検討されるようお話しし,その日はお帰りいただきました。

 これは私の経験談です。

 金利上昇が話題にのぼる現在,投資を始めようという人も多いと思います。

 そこで今回は,NISAとは何かなど今さら聞けない基礎知識を銀行員が解説します。

説明をわかりやすくするために定期預金と比較しながら進めていきます。

NISAとは

 一般的に,貯蓄や投資で得た利益(もうけ)には税金がかかります。

 たとえば預貯金なら利息に対して20.315%の利子税が課税されます。

例)預金利息が1万円なら税金は2,031円(1万円×20.315%)

 税率は所得税15%,地方税5%と,復興特別所得税(*)が0.315%です。

(*復興特別所得税東日本大震災復興の財源確保のため2037年末まで納付)

 いっぽう投資信託などの金融商品で得た利益にも税金がかかるのですが,この税金が非課税になるのがNISAです。

 NISA(ニーサ,少額投資非課税制度)は平成26年1月から導入された税制優遇制度で,導入への参考としたイギリスの個人貯蓄口座:ISA(Individual Savings Account)から「日本版のISA」としてNISA(Nippon Individual Savings Account)という呼称になりました。

NISAにも種類がある(2022/12/18現在)

 NISAにもいくつか種類があります。

<NISAの種類>

  • NISA(一般NISA)

  • つみたてNISA

  • ジュニアNISA

NISA(一般NISA)

 いわゆるNISAは,その後に導入されたつみたてNISA,ジュニアNISAと区別するため「一般NISA」とも呼ばれます。(この記事ではNISAで統一)

 NISAは金融機関(銀行,証券会社等)で専用のNISA口座を開設することで,その口座内で購入した投資信託や株式から得た利益が非課税になる仕組みで,この基本部分はつみたて  NISA,ジュニアNISAも変わりません。

 NISAは成年が利用でき投資信託や株式を年間120万円まで購入でき,利益が非課税となるのは最大5年間となっています。

つみたてNISA

 つみたてNISAは長期・積立・分散投資を支援する非課税制度で,購入は一定の投資信託に限定されています。

 年間40万円まで購入可能で,最大20年間非課税となります。

ジュニアNISA

 未成年に限定されているのがジュニアNISAです。

 未成年(19歳まで)が対象で購入可能なのは80万円までの投資信託,株式で非課税となるのは最大5年間です。

 ただしジュニアNISAは新規開設が2023年までなので,非課税期間は一律5年ではなく,満20歳までとなる場合もあります。

 なお2024年以降制度の見直しが予定されています。

参照:金融庁https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html

NISAは金融商品ではありません

 ここまで説明したようにNISAは「少額投資非課税制度」であり,個別の金融商品ではありません。

 これも意外と勘違いしている方は多いようです。

 先日も窓口でお話しした別の奥さんも,

「NISAが儲かると聞いて,ずっと興味がありました。でも,こちらの銀行窓口で他のお客さんが金融商品を勧誘されていたのを見ていたで,質問したら自分も勧誘されるんじゃないか? 怖くて聞けなかったんです。」

とのことでした。

 この奥さんもNISAは非課税制度のことと説明したところ,

「えーっ!NISAって投資信託の名前じゃないですか? 私は〇〇(NISAに似た横文字の投資信託商品名)みたいなものかと思ってました」

という反応でした。

 とはいえこれから投資を始めようかと検討している人なら,とりあえず「NISAで始める投資」というイメージで,ここからは考えていきましょう。

NISAを定期預金と比較して考える

 ここからはNISA(NISAで始める投資)を定期預金と比較しながら考えていきましょう。

 定期預金は(今さらですが,こちらもおさらいで)元本保証の預金商品で,銀行などの金融機関が扱う定期預金,ゆうちょ銀行が扱う定期貯金などがあります。

 元本保証に加え利息も保証されていて,預入期間により金利が決まります。

 また金融機関が破綻した場合でも,他の預金と合算して元本1,000万円とその利息は保証されます。(いわゆるペイオフ

安全性

 言うまでもなく定期預金は元本保証です。

 ただし「定期預金」と名がついてもアメリカドルなどの外貨建ての場合は為替相場によっては日本円にしたときに存する場合もありますし,一部の特殊預金(「仕組預金」などの名称でこちらは運用商品と言ったほうが近い)も元本保証ではありません。

 いっぽうNISAで運用するのは投資信託や株式なので,すべて元本保証ではありません。

 ですが,一様に「定期は安全,NISAは危険」とは言い切れません。

 現在の金利情勢では定期預金の利息はゼロに近いもので,いっぽうのNISAによる運用は利益も期待できるからです。

「値下がりするのもリスクですが,値上がりして儲かるのもリスク,つまり元本が変動することがリスクで,リスク=危険ではないのです」

 これは私がお客様に投資商品を説明するときに話しているセリフです。

年齢

 定期預金もNISAも年齢に上限はありません。(*NISAは成年が利用,ただし上限なし)

 投資は年配の人に向かないとも言い切れないので,いくつから始めても早すぎる,遅すぎるといったことはありません。

 その意味では年齢で定期もNISAも差がないと言えます。

 ちなみに預金でもNISAに似た非課税制度が,かつてはありました。

 こちらは「少額貯蓄非課税制度」と呼ばれ350万円までの預貯金利息が非課税になる「マル優(マルユウ)」と350万円までの国債などの「マル特(マルトク)」などで,平成15年の制度改定で廃止され,現在は障害のある方など特定の人が利用できる制度に変わっています。

流動性

 流動性とは「お金が必要な時に使える状態になっているか」という尺度で,決算書などで「流動資産(現金や預金など,現金もしくはすぐに現金化可能)」「固定資産(不動産などすぐには現金化できない)」と表現されるのと同じです。

 ちなみに決算の仕分けで預金はすべて流動資産になります。(定期預金も解約すればすぐ現金になるので)

 このように定期預金は,必要な時にはすぐ使えます。(利息は少なくなりますが)

 いっぽうNISAの場合,運用している株式や投資信託の種類によっては,解約の申し込みをしてから資金化されるまで数日(「クローズド期間」などと呼びます)かかる場合もあります。

 また投資元本が割れていて,現金化すると損するので使えないケースもあり,流動性の面ではNISAは定期預金に勝てません。

NISAがおすすめな人~銀行員はこう考えます

 ここまで説明したNISAと定期預金の比較などを踏まえ,銀行員としてNISAがおすすめな人について説明します。

 銀行員が考えるNISAがおすすめな人とはお金に色を付けて分けられる人」「お金に働いてもらうのを待てる人」です。

お金に色を付けて分けられる人

 お金に色を付けて分けられる人とは,自分のお金を区別できる人といった意味です。

NISAは元本保証ではありませんし,すぐに現金化できない場合もあります。

 ですから,自分の手元にあるお金をすべてNISAにつぎ込んでしまうと,いざ必要なときに困ってしまうことになります。

 またライフスタイルで自分にとってお金のつかいみちの重要度も人それぞれです。

「世の中に使わないお金などは存在しない」というのは私の銀行員としての持論(例・高齢で使いきれないお金でも,子孫に残すという使いみちがある)です。

 それでも

「すぐに使うお金」

「しばらくは使わないお金」

「当分の間使わないお金」

とタイムスケジュールで分け,すぐには使わないお金だけをNISAで運用すべきだからです。

お金に働いてもらうのを待てる人

 上記した「すぐ使わない」というのは時間軸の話ですが,それとは別にお金のつかいみちが決まっているか?という観点でも分けるべきです。

 たとえば今は使わないお金が100万円あっても,それは住宅ローンの繰り上げ返済用に取っておきたいと考えているならNISAで運用はせず,増えなくても元本保証の定期預金にするべきでしょう。

 いっぽう大事なお金には違いないが,特に使い道も,使う時期も決まっていないお金のことを銀行では「余資(よし)」と呼んでいます。

 これは「余った資金」ではなく「余裕資金」という意味です。

 このように,目的においても時間においても余裕のある資金なら,NISAで運用し増えてくれるのを楽しみに待つこともできるでしょう。

 私は投資で資金が増えることを「お金に働いてもらう」と表現しています。

 運用は仕事と同じで調子がいい時ばかりではないですし,いろいろ考えたり工夫が必要だったりするところも,そして基本的にはじっくり落ち着いて取り組む姿勢が必要なのも「働く」と表現できるからです。

NISAで始める「楽しみに待てる投資」

 NISAは年間120万円まで,投資で得た利益が非課税になる制度です。

 「お金を色分け」し,虎の子ではない「余資」に「働いてもらう」のを楽しみに待てる。

 そんな投資を,NISAではじめてみてください。

参照:日本証券業組合https://www.jsda.or.jp/nisa/

≪あくまでも銀行員の視点からの解説でしたが,これまで読んだ中では誠意ある内容でした。「余資」がどんどん減っていく現役世代は可哀想としか言いようがありません。なお,判断はご自身の責任において……≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

もしも孤独死したらどうなるか?

 以下は,マネーポストWEB提供記事(女性セブン2022年12月1日号)のほぼほぼコピペです。

 日本は核家族化が進み,独居老人が増えている。それに加え,「新型コロナに感染させたくない」という気遣いから近隣住民や家族と会わず,ひっそりと高齢者が亡くなるケースが目立っているという。いまや,孤独死は誰にでも起こり得ること。もし,あなたや親,家族が孤独死したらどうなるのだろうか──。

ひとりで最期を迎えたら,遺体の引き取り手はどうなる?

 内閣府がまとめた「令和4年版高齢社会白書」には,東京23区内における「ひとり暮らし」かつ「65才以上の人の自宅での死亡者数」が報告されている。それによれば,2011年は2618人だったが,9年連続で増加し続け,2020年には4238人に。その数は1.6倍になっている。

 もし孤独死した場合,遺体はどう扱われ,どう葬られるのか。また,残した財産などの手続きはどうなるのだろうか。弁護士で『孤独死をめぐる法律と実務』の著書がある武内優宏さんが解説する。

「自宅で亡くなった場合,不審死として扱われ,遺体はまず警察署の霊安室に運ばれます。事件性がないと判断されると,警察は親族など遺体の引き取り手を捜します」

 遺留品からたどり着くこともあれば,戸籍などで調べることもあるという。親族がいれば引き取ってもらい,火葬・葬儀を行うケースが多い。

「誰も引き取ってくれない場合,自治体が提携する葬儀社に依頼して火葬となりますが,費用は遺留品を処分するなどして充当することになっている。当座は自治体が立て替えて扶養義務者や相続人に請求することになっていますが,実際には自治体負担が多いようです」(武内さん・以下同)

 家族や親族でも,突然自治体から疎遠だった人の遺体や遺骨の引き取りを要請されても,引き取りたくない場合もある。

「かなり遠い親戚でも,連絡がくることは充分に考えられます。しかし,遺体や遺骨の引き取りは拒否もできます。もちろん,きちんと見送ってあげたければ,引き取ることも可能です。遺骨が引き取られない場合,自治体によっては無縁墓に合祀されます」

 実際,ほとんど会ったこともないような親族の遺体引き取りを要請されるケースもある。

「私の担当したケースでは,6親等も離れている人に連絡がきたケースがありました。いとこが4親等ですから,それよりさらに2つも遠い関係。そのケースでは,警察の要請に応じて遺体を引き取り,自費で手厚い葬儀を行いました。法定相続人になるのは甥や姪までなので,遺体を引き取っても相続人にはなれません。遺体を引き取り葬儀まであげたのに,故人の遺産は国庫に帰属してしまいます」

 遺体を引き取る親族がいれば,死亡届も出すことになるだろう。もし,親族がいなかったり,引き取りを拒否されたら誰が出すのか。

「死亡届を出す義務を負う人は戸籍法に規定されており,同居の親族やそのほかの同居者,家主,地主または家屋もしくは土地の管理者が挙げられています。義務を負わないものの届け出できる人としては同居以外の親族や後見人,補佐人などです。これら死亡届を出す人が誰もいない場合,警察から地方自治体に対して死亡通知がされ,死亡届を出す必要がなくなります」

遺体の引き取りと相続は別問題

 遺体や遺骨の引き取りを拒否すると,遺産相続も受けられなくなりそうに思える。

「遺体引き取りと相続とは別問題であり,拒否しても相続には影響しません」

 自分が相続人となる場合,まずはほかに相続人がいるかどうか確認し,その全員を捜さねばならない。

「遺産分割協議は一部の相続人だけで行うことはできず,すべての相続人が参加する必要があります。行方不明の人がいる場合は捜し出すほか,裁判所に申し出て不在者財産管理人という代理人を選任してもらう,相続人が死亡したことにして除外するなどの方法を取る必要があります」

 故人に財産があったとしても,相続すると負債も引き継ぐことになるため,借金の有無を確認することが重要になる。特に孤独死の場合,故人の滞納家賃や特殊清掃などの原状回復費が請求されることもある。

「金融機関からの借り入れは,信用情報を照会するとわかる。CICやJICC,全国銀行個人信用情報センターの3つに問い合わせると判明します。ただ,個人的な借入金などはわからない。もし負債の方が多い場合は相続放棄も可能です。その場合,原状回復費用は大家さんの負担になります」

 相続するか,放棄するか。見極めは慎重にならざるを得ないが,どのくらいの猶予があるのだろう。

相続放棄は,相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。裁判所に申し出て認められれば期間が延長できることもあります」

 相続人がいなくても,故人と生計を同じくしていた人や,療養看護に努めた人などは特別縁故者として,裁判所に清算後に残った相続財産の全部または一部を分与するよう請求することができるという。

「かなり親しい人が孤独死した場合で本人に身寄りがなければ,友人であっても火葬や葬儀をすることはできます。同居していなくても精神的支柱だったなどの理由で特別縁故者に認められる場合もあり,やってみて損はありません」

 数多くの孤独死ケースを知る武内さんは「肌感覚」と前置きしてその特徴をこう言う。

「圧倒的に男性が多い。やはり女性は社交的な人が多く,社会とのつながりを持っていることが多いようです。女性からしたら父親や自分が先に逝った場合の夫が心配です」

 佐々木さんはこんな見方だ。

「特殊清掃を依頼された部屋が,きれいに整頓されていたケースはありませんね。逆に,ゴミ屋敷の清掃を依頼され,現場で遺体を発見したことはあります」

 孤独死は,どうすれば避けられるのか。

「ひとり暮らしである以上,生活の場である部屋で死ぬのは仕方がない。だからこそ,いかに早く見つけてもらえるかがカギになります。郵便局が提供するものなどの『見守りサービス』は増えており,不安がある人はそれらの利用を考えるのも一案です」(武内さん)

 立つ鳥跡を濁さず。できる限り予防策を講じておきたい。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

おひとりさまの老後にはいくら必要?対策は?

 以下は,All About提供記事(文:川手 康義)のほぼほぼコピペです。

 総務省国勢調査によると,65歳以上の約5人に1人は一人暮らしであり年々増加傾向にあります。おひとりさまが老後を迎えるには金銭的にいくら準備すればよいのか,その対策も考えてみたいと思います。

65歳以上の5人に1人は一人暮らしです

 総務省が行った令和2年の『国勢調査』では65歳以上の5人に1人が一人暮らしであり,前回までの調査と比べて増加傾向にあります。実際の人口では男性230万8000人,女性440万9000人と女性が男性の約2倍であると報告されており,女性は寿命が長いことなどがその理由です。

▼男女別の65歳以上の単身世帯の推移

 65歳以上の5人に1人は一人暮らしです。(総務省国勢調査』(令和2年)より)

 なお国勢調査は死別によるデータも含んでおり,自発的に一人で老後を過ごすことを選んだ人だけではありません。そのため,現在所帯持ちの方も,将来一人暮らしとなる可能性もあることを示しているかと思います。

単身無職世帯は月約1万円の赤字です

 総務省では毎年の家計調査も行っており,令和3年『家計調査報告 家計収支編』によると,65歳以上の単身無職世帯の月の収支は9402円の赤字となっています。

 単身無職世帯は月約1万円の赤字です。(総務省『家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要』より)

 内訳をみると食費(27.4%)についで交際費(11.6%)の比率が大きいのがわかります。赤字を解消するには大きな支出を減らすのが一つの手ではありますが,食費,交際費のいずれも減らすのは難しいのではないでしょうか。

 特に一人暮らしの方にとって現在のコミュニケーションの維持は大切なことであり,交際費を減らすのは現実的ではないかと思います。

おひとりさまの老後には男性225万円,女性280万円が不足します

 それではおひとりさまが老後を過ごすにはいくら必要なのでしょうか。厚生労働省では国勢調査をもとに,主な年齢の方の平均余命が何年なのかのデータ(第23回(令和2年)完全生命表)を公表しており,それによると65歳の男性が19.97年,女性は24.88年となっています。

 先ほどの65歳以上単身無職世帯の収支が9402円の赤字であることと合わせて考えると,おひとりさまの男性は約225万円,女性は約280万円が不足することになります。

 もちろんこれは各平均データをもとにした金額ですので,個々の将来の年金額や生活様式,持ち家なのか賃貸なのかの住宅事情,健康事情などによって大きく異なります。あくまでもこれらは参考値として,各々が将来の生活費がどれくらいになるか,どれくらいの収入になり,どれくらい赤字になるのか計算し,必要となる老後資金を準備しましょう。

老後資金の準備は現役時代の早いうちから

 老後の不足分を補うには,現役時代から老後資金の準備をしておく必要があります。その際に活用したいのが長期積み立てによる資産形成を目的とした「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」です。

 どちらも税制面の優遇措置がとられている国の制度ですが,「iDeCo(イデコ)」は税制面での優遇が多い一方で,原則60歳までは引き出せないのに対し,「つみたてNISA」は税制優遇でやや劣るものの,いつでも引き出せるなど,それぞれにメリット,デメリットがあります。

 老後資金の形成にはiDeCoやつみたてNISAが向いています。(金融庁『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書高齢社会における資産形成・管理』より)

 ともに銀行や証券会社が取り扱っていますので,詳しくは各金融機関の窓口に問い合わせしてみてください。

長く働くことにより収入を得る

 毎月の赤字を解消するには収入を増やすか,支出を減らすかになりますが,前述したように,おひとりさまが食費・交際費を減らすのは大変なため,働くことで赤字分の収入を得る方が現実的ではないでしょうか。

 少子高齢化が進む中,国は企業に「希望する全員」に65歳までの雇用確保措置(定年の延長・定年制の廃止・継続雇用制度の導入)を取ることが義務付けています。また2021年4月からは,70歳までの高齢者就業確保措置を取ることも努力義務とされました。

 現在働いている会社は,どのような措置を取っているでしょうか。一度調べておくことをお勧めいたします。

長く働くことには収入以外のメリットも

 長く働くことは収入を得る以外にも,以下のようなメリットがあります。

▼健康保険料を抑えられる

 60歳以降に働かない場合は国民健康保険に加入する必要がありますが,一般的に保険料は割高となります。働き続ければ今の健康保険(協会けんぽ健康保険組合)のまま保険料は会社と折半ですので,健康保険料が上がるのを抑えることができます。

▼厚生年金の金額が増える

 国民年金の支払いは原則60歳までですが,厚生年金は働いている間は70歳まで加入することができます。もちろん払った分だけ65歳から受け取る厚生年金の額に反映されますし,加入中に障害を抱えた場合には障害厚生年金の対象者にもなります。

▼人とのコミュニティを維持することができる

 趣味などを通じて既にコミュニティがあれば別ですが,退職後に新たな対人関係を構築しようとしてもなかなか難しいかと思います。しかし,仕事をしていれば望む,望まないに関わらず,人とのコミュニティは維持できます。もちろん会社内の付き合い方は人それぞれでよいかと思いますが,働くことで,少なくとも社会的孤立は避けられるのではないでしょうか。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回は家計調査報告をもとに,おひとりさまが老後を暮らすためにはいくら不足するのか,またその対策について考えてみました。

 ひとりなので金銭面に余裕があるのかと思いきや,現実は厳しく,早いうちから老後資金の対策をしておく必要がありそうです。また,人と関わらずに老後を一人で過ごすのは,意外と寂しいものかもしれません。できるだけ長く働くことで人とのつながりを持ち続けることは,金銭的・精神的にも余裕のある老後につながるのではないでしょうか。

川手 康義:CFP・1級FP技能士。製薬会社に勤務し,お金にも詳しいMR(医薬情報担当者)として活躍。日本FP協会に所属しており,協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営活動にもボランティアとしてかかわる。

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

 

複雑な社会保険や配偶者控除の「通勤手当」の年末調整

 以下は,マネーの達人提供記事(執筆者:木村公司)のほぼほぼコピペです。

 2016年10月から新基準が始まったため,パートやアルバイトなどの短時間労働者は,次のような5つの要件をすべて満たすと,社会保険(健康保険,厚生年金保険)に加入する必要があります。

(A)1か月あたりの決まった賃金が,8万8,000円以上であること

(B)1週間の所定労働時間(契約で定められた労働時間)が,20時間以上であること

(C)2か月超に渡って,雇用される見込みがあること

(D)学生ではないこと(夜間,定時制通信制の学生などは加入対象に含まれる)

(E)従業員の人数が101人以上(2024年10月からは51人以上)の企業,または社会保険への加入に対して労使が合意している,従業員の人数が101人未満の企業で働いていること

 以上のようになりますが,(A)の8万8,000円を年収に換算すると,約106万円になります。

 そのため2016年10月に始まった新基準を,「106万円の壁」と呼ぶ方がいるのです。

目次

  1. 社会保険の加入→含めない

 この「106万円の壁」で注意すべきなのは,(A)に記載した「1か月あたりの決まった賃金」の中に,通勤手当は含めない点です。

 一方で例えば20歳以上60歳未満の妻が,夫の社会保険の扶養に入るためには,年収130万円未満が要件になるため,「130万円の壁」と呼ばれております。

 この「130万円の壁」に関しては通勤手当を含めるため,1年分の基本給や通勤手当などの合計が,130万円以上になる見込みの方は,社会保険の扶養から外れてしまうのです。

 社会保険に加入するか否かを判定する際には,上記のように通勤手当を含めないのです。

  1. 社会保険料の算出→含める

 しかし社会保険に加入した後に,月給から控除される保険料を算出する際には,通勤手当を含めるのです。

 そのため例えば東京都の協会けんぽに加入している場合,介護保険の対象にならない40歳未満の社会保険の保険料(2022年3月分以降)は,通勤手当の金額によって,次のように変わるのです。

基本給:月20万円,通勤手当:なしのケース

健康保険:月9,810円,厚生年金保険:月1万8,300円

基本給:月20万円,通勤手当:月1万円のケース

健康保険:月1万791円,厚生年金保険:月2万130円

基本給:月20万円,通勤手当:月3万円のケース

健康保険:月1万1,772円,厚生年金保険:月2万1,960円

 このように通勤手当が増えるほど,月給から控除される保険料が多くなるため,勤務先の近くに住んでいた方が有利になります。

 ただ月給から控除される保険料が多いほど,原則65歳になった時に,厚生年金保険から支給される老齢厚生年金が増えるのです。

 また業務外の病気やケガで仕事を休んだ時に,健康保険から支給される傷病手当金も金額が増えるため,デメリットばかりではないのです。

  1. 年末調整の「収入金額」の見積額→含めないが,限度額あり

 年末調整の際に必要となる,「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書類を見てみると,1~12月までの「収入金額」の見積額を記入する欄があります。

 その理由としては年末調整で受けられる,配偶者(特別)控除の金額を算出する際に,納税者本人とその配偶者に関する,1~12月までの「収入金額」の見積額のデータが必要になるからです。

 この見積額を会社員(正社員,パート,アルバイトなど)の方が算出する際は,

  • 給与の手取りではなく額面を使用するとともに,

  • 額面から非課税扱いになる通勤手当を差し引くのです。

電車,バスなどの交通機関だけを利用して通勤する場合

 例えば電車,バスなどの交通機関だけを利用して通勤する場合,非課税扱いになる通勤手当,または現物支給の通勤定期券の限度は,1か月あたり15万円になります。

イカー通勤の場合

 一方でマイカー,バイク,自転車などの交通用具だけを利用して通勤する場合,次の表に記載されているように,勤務先までの片道の通勤距離によって,非課税扱いになる金額の限度が決まるのです。

参照元国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

イカーと電車を併用して通勤する場合

例えば駅まではマイカー,その後は電車というように,交通機関と交通用具を併用して通勤する場合,次の(1)と(2)の合計額が,非課税扱いになる限度(ただし1か月当たり15万円まで)になります。

(1)1か月間の通勤定期券などの金額(電車,バスなどの交通機関の分)

(2)片道の通勤距離によって算出した限度(マイカー,バイク,自転車などの交通用具の分)

 勤務先から支払われた通勤手当などが,こういった限度額を超えてしまった場合,その超えた部分については,1~12月までの「収入金額」の見積額の中に含める必要があるのです。

  1. 税制上の扶養→原則「含めない」で判定する

 例えば夫が勤務先の年末調整で,38万円の配偶者(特別)控除を受けたい場合,かつては妻がパートの労働時間などを調整して,年収を103万円以下に抑える必要がありました。

 この103万円が2018年1月から,150万円に引き上げされたため,「103万円の壁」は「150万円の壁」に変わったのです。

 ただし38万円の配偶者(特別)控除を受けるには,夫の収入が給与だけの場合,年収1,095万円以下という要件を満たす必要があります。

 また妻の年収が201万円を超えると,夫は配偶者(特別)控除を1円も受けられなくなるため,「201万円の壁」も存在します。

 こういった「150万円の壁」や「201万円の壁」などの,税制上の扶養に入るための基準については原則として,通勤手当を含めないで判定するのです。

 その理由として通勤手当は,上記のように金額が高くなければ,非課税扱いになる場合が多いからです。

 一方で社会保険の扶養に入るための「130万円の壁」については,通勤手当を含めて判定するため,税制上の扶養と社会保険の扶養で取り扱いが変わるのです。

 それぞれの壁を超えるか否かの,ぎりぎりの年収で働いている方は,こういった通勤手当の取り扱いに,注意した方が良いと思います。

 

木村 公司(きむら こうじ)

 1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から,資格を活用して働くことの意義を学び,一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して,給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として,年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士,2級ファイナンシャル・プランニング技能士,DCプランナー2級,年金アドバイザー2級,証券外務員二種,ビジネス実務法務検定2級,メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

「障害年金」を申請する前に,知っておくこと!

 以下は,マネーの達人提供記事(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)のほぼほぼコピペです。

 障害年金を申請する前に多くの方がどのようなデメリットがあるのかという不安材料を持たれています。

 今回は障害年金を申請するデメリットについて解説します。

扶養から外れてしまう

 現在,社会保険上の扶養に入っている場合,障害年金をもらえるようになり,扶養の収入限度額を超えてしまい,扶養から外れなければならないケースが想定されます。

 原則として被扶養者の収入は年間130万円未満となりますが,障害年金受給者の場合180万円となります。

 もちろん必ず障害年金のみで180万円以上もらえるというケースばかりではありませんが,社会保険上の被扶養者の収入は障害年金だけでなく,パートでの収入があればそれも含めなければなりません。

 もちろん,180万円に達しない場合は扶養から外れることはありません。

老齢基礎年金が低額になる

 障害年金を受給できるようになると,保険料が免除されるようになります。

 しかし,保険料免除の対象になると,原則として65歳から受給開始となる老齢基礎年金が低額になるという問題があります。

 一生涯障害年金のみで暮らしていくということであればデメリットは限定的なのでしょうが,後述するように障害年金には更新の手続きがあります。

 そこで,老齢基礎年金の減額を回避する意味で,申請をすることで保険料を納付することは可能です。

配偶者の加給年金が停止される

 加給年金額の対象となっている配偶者が,以下の公的年金制度から年金を受け取る権利があるとき,配偶者は加給年金を受けることができません。

(1) 加入期間が240月以上の老齢,退職を支給事由とする年金

(2) 障害年金

 (1) は割愛しますが,(2) については,障害年金を受けるようになると,一定の収入が見込まれますので,配偶者の加給年金は受けられなくなるということです。

 しかし,世帯単位での収入と考えれば障害年金を受給した方がメリットは大きい場合も少なくありません。

生活保護受給中や傷病手当金を受給している場合減額調整される

 まず,生活保護障害年金の関係ですが,どちらか一方しか受給することはできません。

 障害年金を受給できるようになった場合,年金額から生活保護費が調整されることとなります。

 ただし,生活保護を受給していると障害年金を申請できないというわけではありません。

 あくまで両方受給することができないということです。

 そうなると障害年金を申請するメリットはないのではないかと考えがちですが,生活保護に頼らなくても生活できるという自信が芽生え,徐々に生活の基盤が整っていくということにも繋がります。

 また,働いていたら障害年金をもらえないということはありません。

 働いていることをもって,通常,直ちに日常生活能力が向上したものとは考えられず,療養状況を考慮し,仕事の種類,内容,就労状況,職場で受けている援助の内容や他の従業員との意思疎通の状況等を総合的に確認したうえで日常生活能力を判断することとされているからです。

 次に傷病手当金障害年金の関係ですが,原則として,同時期に両方を全額受給することはできません。

 理由として,病気や怪我が原因で要件を満たすはずですので,同一の病気や怪我の場合は同時期に両方を全額受給することはできません。

 相違点として,傷病手当金労務不能状態であることが要件であるのに対して,障害年金は必ずしも働ける状態では受給できないということではありません。

メリット大きい

 障害年金は申請後すぐにもらえるものではなく,実際に振り込まれるまでは6か月近い時間を要することも少なくありません。

 また,更新の手続きも必要であり,それが精神的な負担になることもあるでしょう。

また,老後の年金とは異なり,亡くなるまでもらえることが約束されているわけではありません。

しかし,一定のまとまった収入となる障害年金を申請するメリットはデメリット以上に大きいと考えます。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

 

 

「障害者手帳」を持つメリット

 以下は,マネーの達人提供記事(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)のほぼほぼコピペです。

 障害年金と並びよく聞くキーワードとして,「障害者手帳」があります。

 障害者手帳には3つの種類があり,いずれも申請先は市区町村の窓口になります。

該当する可能性がある場合,申請することでどのようなメリットがあるのかを解説します。

障害者手帳の種類

 大きく分けて3つの種類があります。

身体障害者手帳

精神障害者手帳

・ 養育手帳

 申請先は市区町村の窓口となり,養育手帳については等級が自治体によって異なることがあります。

所得税や住民税の控除

 障害者と特別障害者によっても異なりますが,所得税と住民税,両方で税控除を受けられます。

医療費の助成

 「マル障」と呼ばれることがありますが,医療機関を受診した際に医療費の自己負担分を一部助成してもらえる制度です。

 ただし,差額ベッド代や健康診断などは対象となりません。

高速道路の料金割引

 障害者自らが運転する場合,重度の身体障害者もしくは重度の知的障害者が同乗し,障害者ご本人以外の方が運転する場合等に一定の割引率が適用される制度です。

 障害者1人につき1台を事前に登録する必要があります。

タクシーチケット

 歩行が困難な障害者の方の外出を支援するために設けられている制度です。

一定の要件に該当した場合,対象となります。

 原則として本人に限り利用できますが,同乗者がいる場合も可能とされています。

上下水道の割引

 水道料金の減免制度として,一定の要件に該当した場合,対象となります。

 障害者手帳を持っている方のみが対象というわけではなく,遺族基礎年金受給世帯も対象に含まれている場合もあります。

公共交通機関の減免

 端的には運賃割引サービスとなります。

 手帳の種類によっても内容が変わってきますが,特に航空機の場合は各航空運送事業者によって減免内容が異なります。

障害者手帳を持つ働き方のメリット

 障害者手帳を持つことで,前述のように金銭的なメリットがあります。

 また,ある程度の規模の会社(従業員数が43.5人以上の会社)になれば,障害者雇用率といい,一定数以上の障害者を雇用する義務が生じます。

 そこで,障害者手帳を持っていることで,雇用すべき障害者の数にカウントされます。

 43.5人以上となれば,ある程度の規模である会社であり,バリアフリーなど障害者の方にとって働きやすい設備が整っているとも考えられます。

 よって,相応の配慮を受けた状態で働くことが可能となりますので,精神的な負担が少なくなると考えられます。

 もちろん,情報を開示しないで働きたいという方もいらっしゃることでしょうが,長く働くにはどちらがよいかを検討し,仮に情報を開示したとしてもマイナスな面ばかりではないということは知っておきましょう。

障害者手帳障害年金

 障害者手帳がないからといって障害年金がもらえないというわけではありません。

反対に,障害者手帳があるから障害年金がもらえるというわけでもありません。

 ただし,間違いない事実として,障害年金は申請しなければもらえませんので,もし該当するのではないかと感じる場合は一度,年金事務所に相談してみるのがよいでしょう。

 また,障害年金は実際にもらえるようになるまでに半年以上かかることもありますので,早めに相談するのが良いと考えます。

 また,障害年金をもらえるようになると自動的に障害者手帳が交付されるわけではありません。

 それぞれ別に申請する必要があるということです。

金銭的なメリットがあることは事実

 障害者手帳は持つことに精神的なハードルを感じることもあるでしょう。

 しかし,持つことで一定の金銭的なメリットがあることも事実ですので,ご自身や家族,身の回りの方で,もし,障害者手帳を持つことに迷われている方がいた場合に,知識として知っておくことはマイナスにはなりません。

≪以前,支援学校で障がい者の就労支援に関わったことがあります。企業の理解は急速に進んだ感があります。しかしながら,就労者の定着はなかなか進まなかった……≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

年金生活者の実態…年金受給額や生活費は平均いくら?

 以下は,All About提供記事(文:綱川 揚佐)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 「年金だけでは生活していけない」と言われて久しい昨今ですが、実際の数字はどうなっているのでしょうか。ここでは平均的な受給額について、平均的な支出と併せて見ていくことにしましょう。

老後の生活費は月23万~30万円ほど

 総務省「家計調査 家計収支編」(2021年)によると、世帯主が60歳以降の世帯の平均消費支出額は次のとおりです(二人以上世帯)。

・60~69歳の世帯:月28万8312円

・70歳以降の世帯:月22万6383円

 また、金融広報中央委員会の調査(家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 2021年調査結果)によると、老後の生活費として現役世代が見込んでいる金額は、平均で月35万円ほどとなっています。

年金の平均受給額はモデル世帯で月21万9593円だが……

 一方、年金受給額はどうなっているのでしょうか。

 厚生労働省によると、モデル世帯(後述※)の年金月額は、21万9593円(2022年度)とのこと。内訳は、夫の老齢厚生年金が8万9961円、老齢基礎年金が6万4816円、妻の老齢基礎年金が6万4816円となっています。

※ちなみにモデル世帯とは、夫が厚生年金に40年加入し、妻が第3号被保険者の期間を 含めて国民年金保険料を40年納めた場合です

実際の年金受給額はモデル世帯より少ない

 一般にはこの数字が平均の年金額とされているようですが、モデル世帯のような条件の良い世帯は現実には少数派でしょうから、実際の年金額はもっと少なくなります。実際の年金額の平均は、日本年金機構の統計(2022年3月末現在)によると次のとおりです。

・老齢厚生年金:月14万5665円(20年以上厚生年金に加入の場合、老齢基礎年金含む)

・老齢基礎年金:月5万5470円

 夫が会社員、妻が専業主婦というモデルに合わせた場合、平均の年金額は20万1135円になります。やはりモデル世帯の年金額より少ないですね。年金だけの生活の場合、60歳から69歳の支出額からみると約10万円不足、70歳以降の支出額からみると約3万円の不足となりますね。

 ただし,あくまでも平均の金額から単純計算した数字ですので、家庭によって不足額は多くも少なくもなりえます。「うちではどうなるの?」をしっかり把握しておくことが大切です。

今後はマクロ経済スライドや年金額改定ルールの見直しにより年金額は増えにくくなる?

 家計の収支は、前段で解説しましたが、年金額はどうなるでしょうか?

年金額の決定には「マクロ経済スライド」という仕組みが用いられており、年金額は上がりにくくなっています。マクロ経済スライドとは、年金額に少子高齢化による影響を織り込んで、物価が上がっても年金の伸びを抑える仕組みです。

 また、「マクロ経済スライド」の他にも、2016年末に成立した年金額改定ルール(現役世代の賃金下落に合わせ給付額を減らす仕組み)の影響もあり、年金がこれまで以上に増えにくくなるのではないかと思われます。

老後資金はしっかり貯め、できるだけ働き続ける

 このように、年金暮らしで悠々自適という生活は、もはや過去のこととなってしまったようです。不足分は勤労収入を得るか、預貯金などの金融資産を取り崩してまかなうしかありません。

 現在では再雇用の制度などで事実上の65歳定年が定着しつつあります。それ以降も、働く場がある限りは働いて収入を確保すると同時に、老後資金をしっかりと準備しておくことが必須といえそうです。

綱川 揚佐(ファイナンシャルプランナー社会保険労務士、年金アドバイザー)

 金融機関在職中に1級FP技能士を取得後、社会保険労務士や年金アドバイザーも取得。年金記録確認第三者委員会勤務を経て、社会保険労務士・FP事務所を開業。法人向けの労働相談や、多数の年金相談業務等を行う。

≪老後資金の準備のない私は,路頭に迷うことになりそう!皆さんはそうならないように≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

副業するなら知っておきたい「確定申告20万円の壁」は売上と所得どっち?

 以下は,MONEY PLUS提供記事のほぼほぼコピペです。

 税理士として,皆さんのお金の悩みを伺っていると,「副業を始めたが,お金のこと全くわからないです」と相談に来られる方が,最近とても増えています。

 なんて……嘆かわしい! と,いうことはありません。日本では,会社員の方の税金の手続きは全て会社がまとめてやってくれるので,お金に関すること基本も何も知らなくても立派に生きていけます。副業を始めた皆さんが,お金の知識について不安になるのは当然ですが,安心してください,今回もお笑い芸人で本当の税理士である税理士りーなと一緒に,税の基本を学びましょう!

売上について

 事業主として開業したら,お金を稼ぐために支出をしたり,それによってお金が入ってきたりという,今までプライベートでお金を使っていたのとは性質の違う,「事業として」の収入や支出が発生します。自分個人のお財布とは別に事業用のお財布があって,そのお小遣い帳をつけて管理する,というイメージです。

 事業としての収入や支出は「現金出納帳」などの帳簿に記載して,最終的に12月分までを集計し,1年分の金額を税務署に「確定申告」しなければなりません。これは「所得税」の手続きです,詳しくは前回の記事をご覧ください。

 この時につける帳簿は,開業届に記載した開業日からスタートすることになります。例えば令和4年9月1日開業なら,帳簿の最初の日付は9月1日に「現金0円」からスタートする,ということです。

 もし,開業日よりも前に売り上げた金額があって収入を計上しなければならない時は,事業所得として計算することができません。開業日前の収入については,雑所得として取り扱うこととなります。もちろん,この雑所得の売上(収入)に対応する経費は,雑所得の費用として収入金額から引くことができます。開業日よりも前に売上や経費の支払いがあった場合は,レシートや領収書などの証拠書類もきっちりと残して雑所得としての集計も忘れないように行いましょう。

計上時期

 そして開業日以降の売上については,「売上日・取引先・内容・売上額」を記載した売上帳をつけてください。現金の出入りを記した「現金出納帳」などの帳簿に書かれた売上と同じ金額になっているか,毎月チェックしましょう。

 なお売上を計上するタイミングとしては,商品を引き渡したタイミング,またはサービスの提供が完了しているタイミングで売上をあげてください。まだ未入金であったとしても,売上としてお金が入ってくるということが決まっているのであれば,売上を計上しなければなりません。

 これを帳簿につける際,「現金が入ってきた」時は現金で売り上げたという仕訳を,「まだお金は受け取っていません」という時は,売掛金で売り上げたという処理を行いましょう。

(現金で売り上げたケース)

現金を受け取ったとき 現金 1,000円/ 売上 1,000円(現金出納帳)

(入金が後日のケース)

売掛金で売り上げたとき 売掛金 1,000円/売上 1,000円(振替仕訳)

売掛金を回収したとき 現金 1,000円/売掛金 1,000円(現金出納帳)

 また支払った経費についても,開業日以降は帳簿に,支払った日付や支払先その内容と金額を現金出納帳に記帳することになります。

 そして最終的に一年分を集計して,売上などの収入から支払った経費などを差し引くと,もうけとなる利益が計算されます。このもうけを基礎として「所得」を計算して,所得税を求めるという流れです。

 経費が多ければ多いほど,税金を抑えられるということになるわけですが,経費として認められるのは,「売上を獲得するために必要な支出」ということになっていますので,プライベートな支出などを混ぜ込まないようにしましょう。

 事業所得で支出の方が収入より大きくなった場合は,利益や所得がマイナスになります。給与収入がある人については,このマイナス分を給与など他の一部の所得から引くことができることから,「副業の赤字が節税になる」と言われてきました。しかし,8月に掲載されていた「パブリック・コメント」で,それを改めようとする動きもあるので,今後の動きに注目してください。

確定申告20万円の壁

 開業届を出すか出さないかで迷われる方もいます。それは,確定申告が必要か不要かというボーダーラインがあるためです。年末調整済みの給与所得のある方で,副業の所得,つまり売上から経費を差し引いて,もうかった利益の金額が20万円以下の場合は,所得税の確定申告が不要です。

 つまり,副業をしたとしても所得税の申告がいらない程度のもうけなら,開業届を出したり申告したりという必要がない,ということです。

 開業届を出してしまったら,そこから毎年確定申告が必要になりますので,年間20万円以内に儲けの額が抑えられそうなら,手間を考えると開業届を出さないというのも方法です。

 ただし,申告不要制度は「所得税」のルールです。

 住民税についてはこのルールがなく,儲けがあれば基本的に申告しなさいというのがルールになっていますので,お住まいの自治体に「住民税の申告書」を出す必要があるということは,知っておいてください。いずれにせよ申告するのなら,所得税が申告不要でも「住民税の手間を考えると申告をしておこう」というのもひとつだと思います。所得税の申告を省略した場合は,どんな手続きが必要なのか,お住まいの自治体に確認してください。

新たな控除「小規模企業共済」

 晴れて開業して事業主となった場合,新たに活用できる控除があります。それは小規模企業共済掛金という制度を活用した控除です。これは会社員の副業というよりは,今後は退職して事業主として専業に切り替えていきたい方向けの制度です。

 この制度は,事業主が将来廃業したとしても,誰も退職金を出してくれないので,自分がしっかりと働いているうちに将来自分に支払う退職金を少しずつ積み立てておいて,廃業時に一括または年金のように分割で受け取ることができるというものです。掛けられる金額は月1,000円から70,000円と自分で設定でき,途中で変更もできます。

 この制度の良いところは,自分が将来受け取る退職金を積み立てているだけなのに,その積み立てた金額は税金の計算をする上で「控除」として引いてくれます。所得税の計算時には,「積み立てた金額 × 税率」分の税額が安くなるということです。

 所得税は年間の所得に応じて税率が変わり5〜45%,住民税は固定で10%です。月に5万円掛けていると,年間60万円を積立てておくだけで,税金が9〜27万円も安くなるということです。

 ただし,この制度の注意点は「対象は個人事業主」という点です。

 つまり会社員が副業で事業主として活動している場合は対象外となります。加入するためには一度会社員を辞めなければならない……なんて大袈裟なことになりますので,小規模企業共済に加入する場合は,開業届を出すタイミングも含めてよく検討してください。

 さらにこの小規模企業共済掛金制度は,受け取る時も税金が優遇されています。

事業を始める時に開業届を出したのと同様に,事業をたたむ時には,税務署へ提出する廃業届という書類があります。廃業届を出すことで,これ以上事業をやりません,ということになるので,積み立ててきた小規模企業共済の掛金を,退職金として受け取ることができます。

 退職金は税金の計算をする上で,控除額というのが設定されています。働いた年数によって控除額は計算され,勤続1年から20年の間は1年当たり40万円の控除額を受けることができます。つまり事業主として開業してから10年間続ければ400万円の控除が受けられるし,20年続ければ800万円の控除が受けられるということです。

 20年を超えると1年当たり80万円の控除に増えます。つまり30年働けば1,600万円の控除が受けられるということです。控除額の範囲内であれば,800万円や1,600万円という大金を一度に受け取っても税金がかからないということです。またこの控除額を超える部分については,分割で受け取って年金所得とすることができます。

 年金所得についても,老後のための蓄えを切り崩して生活するようなものなので,税額の計算をする上で,控除額も多めに設定されています。掛け金を積み立てている間は控除を受けて税金を安くしてもらい,廃業して受け取る時にはまたまた税額を0,または安くしてもらえる,なんて……喜ばしい! と言いたくなる制度ですね。

失業保険の兼ね合い

 会社を退職してから,起業して事業主になろうという人も多いと思いますが,注意しなくてはならないのは失業保険との兼ね合いです。

 会社都合か自己都合かによって待機期間など異なりますが,失業保険の給付が始まってから開業届を出さなければ,失業している状態とみなされず,「事業主になっているんだから,失業者じゃないよね? 失業保険いらないよね」ということで,失業保険の認定を受けられないこととなります。失業保険の給付をどうしても受けたいという場合は, 注意が必要です。

 しかし,そもそも会社を辞めて起業を予定している人は,本来の制度としての「失業」とはいえませんよね。「もらえるものは貰わないと損!」と,待機期間を待ってまでして失業保険を受け取って,受給を終えてから開業届を出すという人がいるようですが,開業する予定なら待機中や失業保険を受け取っている間に事業主としての機会を逃しているかもしれません。

 当初から開業を予定されている方は,是非失業保険の受給を考えることなく,潔く開業届を出して事業主になって活躍していただきたいなと思います。

 「これ使えたらお得じゃん!」という話もいろいろありますが,本来の制度の趣旨を考えると,対象外となるケースもあります。貴重な時間を使い,せっせと申請しても対象外になってしまい「なんて……嘆かわしい!」とならないよう,本当に自分が該当するのか検討した上で,正しく節税や給付を受けていただきたいと思います。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

 

個人年金は加入しない方がいい?

 以下は,ファイナンシャルフィールド提供記事(執筆者:木元泰徳)のほぼほぼコピペです。

個人年金の特徴は?

 公益財団法人生命保険文化センターによると,個人年金とは「契約時に定めた一定の年齢から年金が受け取れる。受け取る期間は,一定期間や一生涯にわたるものがある。年金受け取り開始前に被保険者が死亡した場合は,死亡給付金が受け取れる。」とあります。この基本原則を確認しつつ,個人年金保険の特徴を確認してみましょう。

(1)名称は「年金」だが「有期」と「無期」がある

 国民年金や厚生年金といった公的年金は,被保険者が死亡するまでの間,保険の給付が続く「無期年金」です。一方で保険会社が販売する個人年金保険は,契約時に設定した年数だけ年金を受け取れる有期年金と,死亡するまでの期間受け取り続けられる無期年金があります。

(2)所得税・住民税の節約になる

 個人年金保険の掛け金は,生命保険料控除の対象となるので,支払った保険料の分だけ所得控除を受けられ,税金を節約できます。ただし,個人年金を受け取る際には,雑所得として所得税・住民税の課税対象となる点だけは注意しておきましょう。

(3)安定して老後資金が貯められる

 個人年金保険口座振替やクレジットカードによる引き落としが利用できるので,ついつい浪費してしまう性格の人でも,自動的に積み立てられます。一度設定すると自動的に引き落とされるので,安定して老後資金を貯められるでしょう。

(4)インフレが起こると価値が減少する

 個人年金保険は契約時に受取金額が確定するため,物の価値が上がるインフレ状態になると,相対的に積み立てている年金の価値が下がってしまいます。加入している個人年金の運用利率だけではなくインフレが加速した場合にも資産価値は影響を受けます。インフレに強い他の資産で対応するなど対処法を考えておきましょう。

(5)中途解約すると元本割れする可能性も

 個人年金保険は,低解約返戻金型の商品を始めとして,中途解約すると元本を下回る額しか受け取れない場合があります。元本割れを起こさないためには,中途解約を起こさないよう生活資金を確保しておくことが大切です。

個人年金に加入するべき人は?

 個人年金保険の特徴を解説してきました。節税になったり,安定して老後資金を貯められたりする一方で,インフレ時の価値減少や長期間の資産固定といったデメリットがあります。こういった特徴があることを前提に,どんな人に個人年金保険がすすめられるのか確認してみましょう。

(1)年金が不足する可能性があるが自分で貯蓄できない人

 まずは,年金が不足する可能性があり,自分の意思では貯蓄できない人です。自営業者を例にすると,国民年金から月々6万4816円(令和4年度)の年金を受け取れますが,大人1人が1ヶ月生活するには不足してしまう金額でしょう。

 不足分を補うためには,若いうちから貯蓄に励むことが有効ですが,つい散財してしまい,お金が貯められない人もいます。そういった人にとっては,自動で天引きされて年金が積み立てられる,「個人年金保険」がおすすめです。

(2)元本の減少に抵抗があり投資に手を出したくない人

 次に,元本の減少に抵抗があり投資を始めたくない人です。老後資金の不足を解消するためには,株式や投資信託といった投資が有効です。

 しかし,投資は元本割れを起こす可能性があるため,元本が減ってしまうことを嫌う人にとっては選択になりえないでしょう。個人年金保険なら,期待リターンは株式や投資信託より低いものの,元本が保証された状態で一定のリターンを受け取ることができます。

特徴を把握してから個人年金保険に加入を

 個人年金保険の特徴や,どんな人におすすめなのか,という話題について解説しました。個人年金保険は自動で天引きされて半強制的に積み立てられていくので,安定して老後資金を貯めたい人にぴったりな商品です。一方で,期待リターンは株や投資信託に及ばない点には注意です。特徴を把握した上で,他の商品とも比べながら加入するようにしましょう。

出典

公益財団法人生命保険文化センター 個人年金保険

国税庁 No.1140 生命保険料控除

公益財団法人生命保険文化センター 個人年金保険の年金を受け取って所得税がかかるときの計算方法は?

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

木元泰徳:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>