悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

(5)の続き,叔父から,農地が贈与される!

3条と5条に共通する贈与税と異なる活用方法

 3条でも5条でも,土地の評価額により贈与税が算出されて。納税義務者は受贈者となる。
 受贈者は,3条移転の場合,農地としての活用が義務付けられる。他方,5条移転の場合には,計画通りの活用が義務付けられる。
 それぞれについて,農業委員会はその後の利用状況を把握する調査を行っている。

3条と5条のいずれを選択すべきか?

 まず,叔父の意向を確認し,次に,受贈者であるAさんの贈与税等の税金の金銭的負担も考慮すべきであろう。3条の場合だと,Aさんは処分ができないまま,贈与税等を払った上に,毎年,固定資産税を納め続けなければならない。


 そこで,叔父に確認すると,一筆くらいは死ぬまで残してくれればいい,あとは任せるということだった。どうやら叔父は,贈与する代わりに最期の面倒を見てほしいということらしい。


 そうならば,とAさんの腹は決まった。叔父を最後まで面倒見よう。5条移転をして3筆とも処分できるようにはしておき,少なくとも1筆は叔父の死まで残そうと。

3筆の土地は 賃貸アパートと駐車場に!

 Aさんが選択したのは,賃貸アパートと駐車場にすることだった。申請には,事業計画,特に資金調達の方法等を明確にしなければならない。現在,それらの土地は草が茫々。初期費用は莫大であるが,幸いなことに,その土地の近隣は宅地として再開発が進んでいる地区である。運用の仕方さえ間違えなければ,遅くとも10年後くらいには,利益を生んでくれることであろう。そして,3筆とも地目が変わり,処分するときの制約がなくなる。
 そこで,賃貸アパート経営にノウハウを有する業者に相談することになった。

(特記事項)2022年から,市街化区域にある農地は,宅地なみ課税に!

 その影響は? 収益性の高い農地であれば,それほど影響はありません。しかしながら,休耕地等であれば,所有者の負担は大きくなります。そうだとすれば,そのような土地の転用を模索,あるいは,手放す所有者が増えることは,必至です。
 不動産業界の一部では,大量に土地が供給された場合に,都市部の土地の値下がりを招き,土地開発の再編とともに新たな建築物を生むとの見方があります。
 しかしながら,農地の転用や所有権の移転が,従来通り,農業委員会の許可要件を充足しなければならないとすれば,その速度はあまり速いものにはならないでしょう。