1 非正規社員が退職金を受け取るのは至難の業
2020年10月13日の最高裁は,非正規社員に賞与や退職金が支払われなかったことは,不合理な格差ではないとの判決を下しました。賞与は正社員基準の60%,退職金は正社員基準の25%の支払いを認めた高裁の判決を覆されました。
正社員の退職金の額は減少傾向(厚労省)
2008年の調査 |
2018年の調査 |
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大学卒(管理・事務・技術職) |
2,491万円 |
2,173万円 |
高校卒(管理・事務・技術職) |
2,238万円 |
1,954万円 |
高校卒(現業職) |
2,021万円 |
1,629万円 |
以上によれば,減少傾向が明らかです,また,退職金制度がない事業所が増えているので,正社員であっても,正社員であっても以前のようには受け取れなくなっているようです。
2 退職金だけでなく公的年金も減少
その理由は,現役世代から徴収する保険料の引き上げは,2004年から毎年一定率ずつ実施され,2017年9月に規定の上限に達してしまい,これ以上の引き上げは困難です。したがって,公的年金を減額するしか方法がありません。
そのため,今後は公的年金の減額を「マクロ経済スライド」で実施することになります。最近では,2019年度に0.5%,2020年度に0.1%の減額が実施されました。
また,厚労省は5年に一度のペースで,年金財政検証(公的年金の定期健診みたいなもの)を実施し,2019年度のそれによれば,公的年金の減額が終わる時期は2050年度前後,つまり,今後30~40年,公的年金の減額が続くことになります。
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