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日本生命が確定給付企業年金の利率引き下げの衝撃 会社任せでは老後資金作れぬ時代

 以下は,マネーポストWEB 提供記事(週刊ポスト2022年5月6・13日号)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 この先,医療の進歩によって人生100年どころか,「人生120年時代」が到来する――そんな予測が専門家の間で語られるようになった。

 すでに「超超高齢社会」に向けて,様々な制度改革が進みつつある。医療費は2022年10月から,75歳以上の後期高齢者で「一定の所得がある人」(年金などの収入合計が単身で年200万円以上,夫婦で320万円以上など)は自己負担割合が1割から2割に上がる。

 そうしたなか,最大の不安要素は「老後資金の確保」だろう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2021年)」によると,60代で預貯金などの金融資産が500万円未満の世帯は4割に迫る(39.5%)。

 2019年には「(公的年金の収入だけでは)老後20~30年間で約1300万~2000万円が不足する」という「老後資金2000万円不足問題」が物議を醸した。「人生120年時代」となればこの金額では済まなくなる。家計の見直し相談センター代表・藤川太氏が語る。

「今年4月から公的年金の支給額が0.4%減額されています。今回は現役世代の賃金が減ったことが原因ですが,この先も年金が目減りし続けるのは必至です」

 別掲のキャッシュフロー表は,ある平均的なサラリーマン世帯の老後資金の推移について藤川氏が試算したものだ。

「50歳で預貯金が500万円あっても,何もしなければ貯蓄を取り崩すばかりで,80歳を迎える頃には預貯金は200万円まで減り,89歳で底をついて『老後破産』に陥ってしまう」(藤川氏)

 そうした不安が渦巻くなか,最近,経済誌などで“理想の老後像”の表現として登場したのが「プラチナ世代」というフレーズだ。作家の故・渡辺淳一氏が用いた造語で,シルバーほど地味でもなく,色あせず輝き続けるという意味だという。“長い老後”をプラチナにできるか,それとも「老後破産」で“ブラック”に転落するのか――。

「会社任せ」は危険

 多くの会社員にとって,老後資金の柱となるのが「退職金」や「企業年金」だ。だが,その“常識”を覆すニュースが飛び込んできた。

 生保最大手の日本生命が4月5日,企業から資金を預かって運用する確定給付型(DB)の企業年金の予定利率を2023年4月に現行の1.25%から0.5%に引き下げると発表したのだ。

 長引く超低金利下で運用が難しくなっていることが理由とはいえ,運用時に約束する予定利率が引き下げられると,企業が年金支給額を維持するためには掛け金を増やさなくてはならず,それができなければ金額を減らさざるを得ない。日生と契約する企業は全国で約5200社に上るため,影響は大きい。多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏が言う。

「昨年10月の第一生命に続き,業界トップの日生が引き下げに踏み切ったことで,ほかの大手も相次いで引き下げる可能性があります。

 日生と契約するある食品メーカーでは『掛け金の積み増しをせざるを得ないが,従業員が多いので負担は数百億円規模になる見通しだ』と嘆いていました。企業には強烈なインパクトです。余裕がある企業は足りなくなる掛け金を増額できますが,難しい企業も多いはず。そうなれば給付額を下げるなど痛みを伴うことになります」

 公的年金に続いて企業年金まで減額となっては,会社員はたまったものではない。企業年金には社員への支給額が決まっているDBのほか,会社が負担する掛け金の額だけ決めて運用先は社員が自ら選択する「確定拠出型(DC)」があり,両方を併用している企業もある。

「もはやDBで会社任せにするのではなく,DCで自ら備えなくてはならない時代になっている。日生の利率引き下げは,そうした発想の転換を促す強烈なメッセージといえます」(真壁氏)

 企業年金を取り巻く制度改正も進む。現在,企業型DCの掛け金の限度額(DBと併用の場合)は月額2万7500円だが,2024年10月からはDBの掛け金(相当額)との合計が月額5万5000円までとなり,DBの割合が少なければ,その分DCを増やすことも可能となる。

「退職金もあるし,老後資金は会社任せでどうにかなるはず」といった考えは今後通用しなくなる。年金は自ら運用しなければ増えない時代が迫りつつあるのだ。

「DCだけでなく,『iDeCo(個人型確定拠出年金)』や『つみたてNISA(少額投資非課税制度)』といった税制優遇のある制度にも目を向けることが,プラチナ老後へとつながる方法といえるでしょう」(藤川氏)

 前述の試算では運用をしていない場合,89歳で「老後破産」に陥るが,年1%運用していれば200万円,年3%運用なら1000万円以上の資産が残る計算となる。人生120年時代の老後生活が“何色”になるかは,あなた次第だ。

≪日本の根本的課題の一つは,定年退職後の生活です。この解決なくして,日本経済の成長?はあり得ません。第二次世界大戦で敗戦国となった日本は不動産以外の資産(預貯金を含む)はほとんどが紙クズ同然になったにも拘わらず,日本人を預貯金に駆り立てているのは,高齢社会に対する無策にほかなりません≫

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>