悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

会社員の妻,パートでも「厚生年金」に入る方が得!

 以下は,東洋経済オンライン提供記事(週刊東洋経済2月4日号「大増税時代の渡り方」,井戸 美枝 氏,瀧 健 氏による部分)のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を付け加えました。

 厚生年金に加入できるのは,何も正社員だけではない。一定の条件を満たせば,パートやアルバイトなど,短時間労働で非正規雇用の人も加入は可能。加入条件は徐々に緩和され,今後も緩和されていく見込みだ。

会社員の妻でパートで働いている人も,厚生年金に加入できる

 具体的には2022年10月から,「従業員が101人以上の企業に勤務していること」「雇用期間が2カ月超見込まれること」「賃金が月収8万8000円・年収106万円以上」「1週間当たりの労働時間が20時間以上」の条件がそろえば,雇用形態にかかわらず,厚生年金へ加入できることになった。

 来るべき大増税時代に備え,年金の受け取り方から,生前贈与による節税法,NISA(少額投資非課税制度)による投資のイロハまで,税や社会保険との向き合い方を盛り込んでいる。

会社員の妻,自営業,フリーランスでもOK

 それまでの条件が「従業員数が501人以上の企業に勤務していること」と「雇用期間が1年以上見込まれること」だったから,改正された結果,グッとハードルが下がっている。厚生労働省によると,これで厚生年金の加入対象者は65万人増えたという。

 さらに2024年10月からは,従業員数が51人以上の小規模企業まで対象になる。将来的には従業員数の条件をなくすことも議論されており,加入対象者数はますます増える可能性があるだろう。

 ちなみに短時間労働者の内訳は,会社員の妻など第3号被保険者が26.9%,自営業や個人事業主フリーランス)などの第1号被保険者が44.6%,その他60歳以上が28.4%となっている。

 このうち改正で最も影響を受けるのは,会社員の社会保険の扶養内で働く人がいる世帯だ。

 配偶者(夫)が会社員で,パート・アルバイトとして働いている人(妻)という典型的なパターンでは,「年収106万円」を意識し,勤務時間を調整する人も多いのではないか。

 年収が106万円以上になると扶養から外れ,社会保険被保険者本人となり,厚生年金や健康保険に加入することになる。保険料を支払った結果,最終的な手取りは減ってしまう。

 年収の手取りを比較した一覧を示した。年収106万円の場合,厚生年金の保険料は月8052円・年間9万6624円だ(勤務先と折半後の自己負担)。年収130万円の場合,年金の保険料は月1万0065円・年間12万0780円になる。

 もちろん負担は厚生年金の保険料だけではない。年収が上がれば,健康保険や雇用保険など他の社会保険料,さらに税金も増える。概算だが,年収106万〜130万円の人であれば,社会保険料の負担は年間約15万〜19万円程度で,税負担はおおむね年5000〜1万5000円弱と考えておきたい。

公的年金は終身もらえて,長生きするほどメリット

 ただし,目先の手取り収入が減るとはいえ,社会保険に加入するメリットは大きい。厚生年金は納めた金額や期間によって,将来受け取る年金の額が増えてくるからだ。年収106万円(月収8万8000円)の人が厚生年金に1年間加入すると,65歳以降に受け取ることのできる年金が年間5400円アップする。

 しかも増えた公的年金は終身受け取れる。税負担などを考慮せず単純計算すると,例えば受給後に18年間生きたとして,受け取る厚生年金は年5400円×18年間=9万7200円。一方,厚生年金の保険料は年約9万6000円なので,支払った保険料より多くの年金を受け取ることになる。

 2021年時点で日本人の平均寿命は男性が81.47歳,女性が87.57歳。65歳から受け取りを開始すると,男性は平均16年間,女性は平均22年間,年金を受け取る計算になる。少なくともより長生きする女性は厚生年金に加入するメリットがあるといえるだろう。

 年金は長生きすることに備える保険だが,その理念に沿った設計になっていることがわかる。そのうえ厚生年金に加入すれば受けられる年金の範囲も広がる。

 年金というとついつい,老後に受け取る「老齢年金」のみが注目されがち。しかし,病気やケガで一定以上の障害を負った際には,「障害年金」を受給できる。

 障害年金は傷病名に関わりなく,実はがん治療の副作用,精神疾患も対象になっている。働きたくても働けず,つらい状態のときには大いに役立つはずだ。

 その障害年金には,「障害基礎年金」と「障害厚生年金」がある。このうち障害厚生年金は,厚生年金に加入している人だけが受け取ることができるもの。障害基礎年金は1級と2級の区分までだが,障害厚生年金には,障害度の低い3級の区分や障害手当金まである。年金の額も障害厚生年金のほうが手厚い。

遺族年金でも厚生年金の保障は手厚い

 さらには,生計を支える扶養者が亡くなったときを考えて,遺族に支払われる「遺族年金」も知っておいたほうがいい。

 遺族年金にも「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがある。典型的なパターンとしては,厚生年金に加入していた人(夫)が先に亡くなった場合,遺族(妻)に支給される。

 ただ,遺族基礎年金は,子どものいない配偶者には支給されないなど,遺族の範囲は限定的だ。一方,遺族厚生年金は,夫・妻ともに子どもの有無にかかわらず,支給対象の遺族に含まれるなど,範囲は広い。年金の額も遺族厚生年金のほうがやはり手厚い。

 このように保険料を支払うことで,目先の手取りは減るものの,厚生年金をはじめ社会保険に加入するメリットがあることも,また事実。健康保険に加入すれば,ケガで休んだときに通算1年6カ月受け取れる傷病手当金や,産休中の収入減をサポートする出産手当金を受け取ることもできる。

 もちろん今の手取りが減ることは厳しい。支払った保険料の分だけ,はたしてメリットがあるのか,考えてしまうだろう。だが,社会保険は,あくまで「保険」であって,もしものときに備えるもの。本当に必要なのかと考える気持ちもわかるが,万が一の際に大きな助けになることもまた事実だ。

 とくに公的年金は“長生きリスク”に対する保険である。厚生年金への加入で上乗せされた年金は一生涯受け取れる。寿命が延び,いつまで生きるかわからない将来だからこそ,年金を少しでも増やして安心しておきたい。

≪今盛んに議論されている「壁」の問題にも大いに関係する部分です。目先の扶養控除よりも,心配な老後に資することの方に理がありそう……。遺族年金は75%などを考えると悩ましい。今か年金かの問題のようにも思えるかもしれませんが,人生を考えると加入に軍配ありか?もちろん,現在の年金制度が続くことが前提です。本来は,労働時間を控える云々より,その議論があるべきでしょう。単に労働力を得るためでは,企業の側に立脚したもののように思えてしまいます。社会保険加入は企業の側にも負担を強いることになるからです。本質的議論があっての結論を期待します≫

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