以下は,幻冬舎GOLD ONLINE提供記事のほぼほぼコピペです。
元税務調査官の秋山清成税理士が「税務調査の対象に選んでいた人」の特徴と,調査の対象になる相続税の申告内容を暴露します。
税務署から届いた「お尋ね」には冷静に対処する
ある日,突然届く「相続についてのお尋ね」 家族が亡くなったことを少人数にしか知らせていないのに,突然,税務署から「相続についてのお尋ね」という書類が郵送で届くことがあります(目安として亡くなってから6カ月後ぐらい)。
この書類は,税務署がざっくりとした選定基準をもとに各家庭に送っているもので,相続税がかかる家族だけでなく,相続税がかからない家族にも書類が届きます。この書類が届いた人は,税務署へ回答をきちんと返送しましょう。
私の現職時代には9割近い家庭から回答がありました。 自治体から税務署へ死亡の情報が回る まず,税務署はなぜ家族が亡くなったことを把握できるのか。それは,役所は死亡届を受理すると,受理した月の翌月末までに税務署に通知することになっており,どの場所で亡くなっても,税務署へは通知がいく仕組みになっています。 税務署に死亡届が届くと,「相続についてのお尋ね」を出すか,出さないか,3回の選定が行われます。
第1次選定:死亡届に添付してある固定資産税の評価証明書から判断。
第2次・第3次選定:第1次選定を通過した人をKSKシステム(国税総合管理システム)で判断する。
KSKシステムには各種税額や税金の還付口座,不動産の売買履歴,不動産の賃貸情報,生命保険満期金の受け取り情報まで,さまざまな取引内容がすべてインプットされています。 調査官はKSKシステムに死亡履歴を入力することで,KSKシステムから出力される情報を使い,第2次選定,第3次選定を行っています。
「相続についてのお尋ね」の書き方
基本情報から「基礎控除を超えるかどうか」までを記入
「相続税についてのお尋ね」の内容は,亡くなった人の基本情報はもちろんのこと,財産欄には不動産,株式や投資信託などの運用商品(同族会社の株式なども),預金,現金,保険,高額な買い物などを書き込みます。
さらに,下図の表のように相続時精算課税制度を受けていたか,被相続人が亡くなる3年以内に暦年贈与を受けていたか,教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与を受けていたか,受けていれば被相続人が亡くなった時点における贈与残額を記入します。 後は,亡くなった人の債務や,葬式費用の概算額を記入し,財産の合計から債務を引いた金額に,3年以内の贈与などを足し,その金額が相続税の基礎控除を超えるかどうかを記入して完了です。
書き込み欄にはハードルが高い項目も…
預金は書き込めるでしょうが,運用商品や不動産の評価など記入のハードルが高い項目もあります。 基礎控除内の家族は自身で書きこんでもよいですが,相続税申告書を税理士に依頼するなら,税理士は税務署に対し『「相続についてのお尋ね」に,◯◯税理士事務所から申告します』と回答したり,相続税の申告書を提出する際に,「相続についてのお尋ね」を添付したりします。
その際に一番ネックとなるのは税理士への依頼料です。相続税がかかるか,かからないかの判断を依頼するにしても,税理士は相続税の申告書を作成するのと同じ作業量をこなすので,実質,相続税の申告依頼をするのと同じくらいの費用がかかります。
一式で頼むのが費用的に難しければ,例えば,土地や同族会社の株式の評価だけをスポット的に税理士へ依頼する手もあります。残りは自分で概算を出し,その上で相続税がかかるか,かからないかを判断するのもよいでしょう。
秋山 清成:秋山清成税理士事務所 税理士
お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>