「控除」の意味
税金における「控除」とは、一定金額を差し引くという意味があります。
控除は個々の事情などを考慮して、税負担を軽する役割を果たしています。控除には「一定金額を差し引く」という意味であり、「現金で返ってくる」わけではありません。
例えば、毎月給与から天引きされる「健康保険」や「厚生年金」などの社会保険料は、「社会保険料控除」として支払った全額が控除の対象です。ふるさと納税をした場合にも、寄付金のうち2,000円を超える部分に対して控除を受けられます。
このような税金における「控除」ですが、大きく分けて2つの控除
「所得控除」と「税額控除」
に分けられます。
【所得控除】
税対象の所得を減らすことで,14種類あります。以下をご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2015/b/01/1_04.htm
無条件で控除される基礎控除や,社会保険料の支払い・ふるさと納税をした際に控除されるものなど,さまざまです。
所得控除は「所得から差し引かれる金額」と言い換えられ、所得に対して一定の条件を満たすことで受けられる控除です。
☆ Xさんの場合
年収:400万円(会社からの給与)
支払った社会保険料:60万円
ふるさと納税:4万円実施
(1)給与所得控除の計算
Xさんは会社から給与を受け取る会社員であるため、給与所得控除を受けられます。
400万円 × 20% + 44万円 = 124万円
*給与所得控除については下記の国税庁ホームページをご覧下さい。https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm
(2)給与所得控除後の金額の計算
400万円 – 124万円 = 276万円
(3)所得控除の計算
Xさんの所得は上記の276万円ですが、ここから所得控除を活用できます。
今回の例では、誰でも無条件で控除が受けられる基礎控除が38万円のほか、社会保険料控除とふるさと納税による控除が受けられます。
38万円(基礎控除)+ 60万円(社会保険料控除)+ 3万8,000円(ふるさと納税による寄付金控除)= 101.8万円
(4)所得税額の計算
*所得税率の速算表参照
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2013/taxanswer/shotoku/2260.htm
276万円 – 101.8万円 × 5% = 8万7,100円
「所得控除を受ける」ということは、「現金で返ってくる」という意味ではなく、「課税される所得税額が少なくなる」ということです。所得控除を活用するほど所得が低くなり、結果として納めるべき所得税が少なくなる仕組みです。
ただし、ふるさと納税の場合には「ワンストップ特例」を使った場合と、確定申告をした場合とでは,控除される税金が異なるので注意が必要です。
ワンストップ特例:翌年の住民税が控除
確定申告:所得税と住民税
上記の例では確定申告を行って「寄付金控除」を適用しましたが、確定申告が不要になる「ワンストップ特例」を利用すると翌年の住民税から控除されます。
お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>