悲喜こもごも

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70歳定年法と年金制度改正(2)あなたの老後は?

 前回の年金制度の改正とともに,下記3の法改正が加わることになりました。選択肢が増えることは,必ずしも良い結果を生むとは限りません。換言すれば,それだけ自己責任の範囲が増え,その結果も甘受しなければなりません。

 

3 確定拠出年金の加入可能要件の見直し(2022年5月)

 現在,企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入できるのは原則60歳未満です。60歳以降今までと同一事業所に雇用される場合には,規約の定めがあれば65歳未満の年齢まで加入することができます。改正後は,加入している企業で規約変更があれば,60代後半でも企業型DCに加入できるようになります。

 また,個人型確定拠出年金iDeCo)も,加入可能な年齢が現行の60歳未満から65歳未満に引き上げられます。

 ただし,60歳以降でも加入できるのは国民年金の任意加入被保険者(被保険者期間が40年に満たない人)や厚生年金の被保険者に限定されます。例えば自営業者・フリーランス,専業主婦で国民年金の被保険者期間が40年に達している人は加入できません。

 また,前述(2の(1))した公的年金の受給開始時期の拡大に併せて,企業型DC,iDeCoの受給開始時期も現状の60~70歳から60~75歳に拡大され,選択することができます。

4 被用者保険の適用拡大(2022年10月,2024年10月)

 パート・アルバイトのうち,厚生年金に加入できるのは,原則正社員の4分の3(概ね30時間)以上勤務する人でしたが,適用拡大が図られ,現在では従業員501人以上の企業で週20時間以上働き,報酬が月8万8千円以上等の要件を満たす人も加入対象となっています。  

 この短時間労働者の適用対象が段階的に拡大され,2022年からは従業員101人以上,2024年からは51人以上の企業も対象になり,パート・アルバイトも加入できます。

 年金制度の機能強化(財政基盤の安定)を目的として行われるものですが,定年後にパートタイムで働き厚生年金の被保険者となっていない人が,改正後には再び被保険者となる可能性があります。このような場合,保険料負担が生じるので手取り収入は減りますが,将来の年金額は増加することになります。

 

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