高齢の親を持つ方のために,知っておきたい制度(3)
制度の問題点は他にも!
後見人は被後見人が亡くなるまで継続し,何ら業務をしなくても毎月報酬を受け取ることになります。なお,後見人は不動産の売却ができ,通常の業務以外の法律行為について別途報酬が支払われることになります。「資産価値が下がるため」と作文すれば,後見人は報酬を増やすことも可能です。
被後見人は,立派な施設に入るために,高額な預貯金を有していましたが,後見人はそんな施設に入る必要はないとして,安価な相部屋に入居させられる場合も。
夫の介護をしている妻(老老介護)が,夫名義の家を売却して介護がしやすい住居に住み替えようとしたところ,後見人に「本人(夫)のためですか」と拒否。
自由度の高い「民事信託」
本人の判断能力が著しく低下した場合,家族はもちろん,成年後見人でもできないことが,「民事信託」ならできること。
①収益のための不動産の購入・新築
②不動産を担保とした借入れ
③生前贈与や貸付け
④事業に伴う契約行為
⑤後継者の指名
⑥株式や投資信託の運用継続
逆に,成年後見人ならできるものの,「民事信託」ではできないこと。
①遺産分割協議
②相続の承認・放棄
③遺留分減殺請求
上記を比較しただけでも,「民事信託」の自由度,使い勝手の良さがお解り頂けると思います。
しかしながら,「民事信託」においても,『本人のため』という点に関しては,争いが起きる可能性があります。
お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>