悲喜こもごも

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「持病があっても」「高齢でも入れる」保険のカラクリ?

 以下は,婦人公論提供記事のほぼほぼコピペです。

 ※本稿は、『5キロ痩せたら100万円 「健康」は最高の節約』(PHP研究所)の一部  

  を再編集したものです。

 ある日突然、腰に激痛が走ったという経済ジャーナリストの荻原博子さん。急いで医者に行くと、原因は「肥満」と勤続疲労による坐骨神経痛でした。不健康な食生活の改善に努めるも、治療にかかる通院費用や薬代などが想像以上に家計を圧迫する現実に直面。さらに今後「太り過ぎ」で寿命を縮めてしまえば、もらえる年金も減り、医療費や介護費用が高額に。そんな自身の経験から、安心して老後を迎えるためには「健康」であるのが一番だと、体重を減らして貯金を増やす「荻原式・節約術」を推奨しています。その荻原さん、病気や高齢でも入れると主張する保険には特に警戒してほしいとのことで――。

◆「持病があっても入れます」には注意

 健康だと保険料が割引になる保険があるのなら、不健康でも安くなる保険はないのでしょうか。

 もちろん、そんなものは存在しません。 保険とは、病気や怪我をする確率や死亡する確率で保険料を算出する、保険数理で計算された商品ですから、その確率が高ければ、そのぶん保険料も高くなるのは当然です。

 「持病があり、高齢でも入れて、しかも保険料が安い」という都合のいい保険などありえないのです。

 そのため、以前は、持病があって保険に入れないという人も多かったのです。

 しかし近年では、持病があっても、高齢でも入れて、しかも保険料が安いと感じさせる保険が売られています。

 そして、健康な人よりも、病気がちで高齢の人ほど、こうした保険の広告やCMに惑わされ、加入してしまいがちなのです。

◆「持病があっても入れる保険」のカラク

 「持病があっても入れる保険」のほとんどは、「引き受け基準緩和型保険」といって、当然ですが健康リスクがある人も加入しやすくなっています。

 そのため、月々の保険料は、健康な人が加入する保険よりもずっと割高になっています。さらに加入して1年間は、一時金の支払い額が50%に削減される商品が多いです。

 しかも、「引き受け基準緩和型保険」に加入するには、主に次の3つの条件を満たしている必要があります。

・過去2年以内に、入院・手術をしたことがない。

・過去5年以内に、がんで入院・手術をしたことがない。

・現時点で、がん・肝硬変と医者に診断または疑いがあると指摘されていない。

 会社によっては、ここに「過去3ヶ月以内に入院や手術を勧められていない」とか、「うつ病などの精神疾患は対象外」などの条件が加わります。

 「持病があっても入れる」と言っているにもかかわらず、加入条件が厳しいのです。

◆「80歳でも入れる保険」のカラク

 続いて、「高齢者でも入れる保険」についてです。

 2010年代に「50・80 喜んで」というキャッチフレーズで有名になったアメリカンホーム・ダイレクトの商品を覚えていらっしゃいますか? すでに売り止めになっている「人生まだまだこれからだ」という保険で、故地井武男(ちいたけお)さんのテレビCMが印象的でした。

 実際、「80歳でも、保険料が月々2800円で掛け捨てではありません」というフレーズに惹(ひ)かれて加入を決めた高齢者は多くいたようです。

 また、CMには次のようなうたい文句も記されていました。

 満50歳から80歳まで入れる保険で、医者の診査は不要、申し込みも郵便で書類を送るだけでOK。葬式の費用を保障(条件あり)、怪我の治療費も実費で最高100万円、賠償責任費用は最高で5000万円。

 この内容で保険料は月々2800円、しかも年齢が上がっても保険料は変わらないというのですから、保険に入ろうにも保険料が超高額になる80歳近い人たちには魅力的に映るのは無理もありません。

◆「人生まだまだこれからだ」のカラク

 しかし、「人生まだまだこれからだ」には、思ってもいないカラクリが隠されていました。 CMの「葬式」という言葉からは「死んだら保険金が受け取れる」と想像してしまいます。また、「怪我」という言葉があるので、当然「病気も対象になる」と思ってしまいます。 それなのに、CMでは死亡したら保険金が出るとも、病気で入院したら入院給付金が出るとも言っていません。

 言っていないのではなく、言えないのです。 なぜなら、「人生まだまだこれからだ」は「生命保険」ではなく、「損害保険」、しかも「傷害保険」だからです。

 「傷害保険」とは、日常生活で起きる様々な怪我(傷害)に対応する保険です。「人生まだまだこれからだ」が「生命保険」ではなく「傷害保険」なのであれば、年齢が関係ないのは当たり前。

 年齢が関係ないのですから、保険料が何歳でも月々2800円で、年齢が上がっても変わらないのも当たり前。

 「生命保険」のように、加入者が健康かどうかも関係ありません。もちろん、死んだ時の保障も、病気になった時の入院費の保障もないのです。

 100万円は「最高で」という条件付きで、実際には支払った実費しか戻ってきません。これには、やられたと思った人が多かったのではないでしょうか。

◆健康であれば、生命保険の見直しを考える

 「生命保険」には、お得な商品というものはありません。

 もし、お得な保険に入りたいなら、加入後満額保障されない一定期間が経過した後、すぐに病気になって入院すればいいのです。

 そうすれば、最低限の保険料で満額の保険金を受け取ることができます。

 もちろん、このケースが現実的ではないことはわかるでしょう。

 ここまでのことから言えるのは、健康であれば、保険に入る必要もないし、加入するにしても比較的安い保険料で済むということ。 つまり、今健康に問題がない人は、生命保険を見直してみたほうがいいかもしれません。

節約ポイント

健康に自信があるなら、生命保険に加入しないのが最大の節約。

荻原博子:経済ジャーナリスト

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>