悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

退職金と年金を同時に準備できる制度(iDeCoや確定拠出年金など)(2)

3 不足分を補うためのiDeCoや小規模企業共済

 前述のように退職金・公的年金の減額が続くので,自分でその不足分を補う必要があります。そして,退職金と年金という別々の制度を利用するには,手間暇を要することになります。また,定年退職のころに,まとまったお金を必要としている(住居のリフォームや海外旅行),長期間給付される年金を受け取る方がいいのかどうか,現段階では判りません。

 そうだとすれば,制度を利用する側にとっては,退職金と年金の両方をじゅんびすることができ,かつ,定年退職時の状況に合わせて,柔軟に選択できる制度が理想です。

 それを充たす制度としてiDeCo(個人型の確定拠出年金)があります。なぜなら,60歳以上になると,その老齢給付金は,「一時金(退職金)」「分割(年金)」「一時金と分割との併用」の中から,受給方法を選択できるからです。

 小規模企業の役員,個人事業主の退職金制度として小規模企業共済があります。この制度も共済金の受給方法を,iDeCoと同様,前述の三つの中から選択できます。また,その掛金もiDeCoと同様,所得から控除の対象となります。

 次に受給した場合について,税制から考えます。

 iDeCoの老齢給付金を分割で受給した場合,「公的年金等控除額」として差し聞くことができます。結果,所得がゼロになると,所得税や住民税は課税されません。そうだとすれば,分割と一時金を併用し,「公的年金等控除額」と「退職所得控除額」を活用した方がいいと思います。なぜなら,後者は掛金の積立期間が20年を肥えると20年以下より増えるからです(下記参照)。したがって,できるだけ課税(所得税・住民税)を回避するためには,20年を超えるまで掛金の積立を続けることでしょう。

勤続年数(X)

退職所得控除額

20年以下

40万円×X *80万円未満は80万円

20年超

800万円+70万円×(X-20年)

 なお,小規模企業共済も,一時金を受給した場合の「退職所得控除額」について同様です。

 また,退職金を受け取れない方も,老齢給付金や共済金から「退職所得控除額」を差し引くことができます。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>