以下は,ダイヤモンド・オンライン 提供(早川幸子氏による)記事のほぼほぼコピペです。
確定申告シーズン,医療費控除の申請を考えている人も多いだろう。控除対象にはコロナ関連費用も計上が可能だ。では,具体的には何が対象となり何がならないのか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第237回では,コロナ禍における医療費控除について,コロナ関連の特例措置も併せて見ていこう。(フリーライター 早川幸子)
コロナ禍での医療費控除はどこまでOK?
特例措置も含めて総チェックしよう
今年も確定申告シーズンがやってきた。今年は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が始まってから,3回目の申告となる。
2020年以降,COVID-19の感染予防のため,一般家庭でも不織布のマスクやアルコール消毒液などを購入する機会が増えた。また,2021年は,感染の有無を調べるためのPCR検査や抗原検査を行ったり,ワクチン接種などで医療機関に行ったりした人も多いのではないだろうか。
また,国税庁では,2020年の申告(2019年分)から,コロナ禍に対応するための特例措置を設けてきたが,今年もオミクロン株による感染の急拡大を受けて,申告期限の延長などが発表されている。
COVID-19に関連する医療費は,どこまで医療費控除の対象となるか。また,申告・納税期限にはどのような特例措置が設けられているのか。確定申告シーズンの今,改めて確認しておこう。
確定申告は,1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得(収入から経費などを差し引いたもの)を計算し,国に納税額を申告するための手続きだ。自営業者やフリーランスの人などにとっては必須の手続きだが,会社員や公務員なども無関係ではない。
会社員や公務員など,勤務先から給与をもらっている勤め人(給与所得者)は,収入や扶養家族などに応じて,毎月の給与やボーナスから,あらかじめ所得税や住民税が源泉徴収されている。1年の途中で,家族が増えたり,家を買ったりして,天引きされた税金と,本来支払うべき納税額に差が出た場合は,勤務先で行われる年末調整で過不足が精算される。
給与所得者でも,年収2000万円を超えたり,給与以外の所得が年間20万円を超えたりした人は確定申告が義務づけられているが,これらの人を除けば,ほとんどが年末調整で納税手続きは終わる。
ただし,年末調整では処理しきれない手続きもある。
納税額は,収入(会社員は給与,自営業は売り上げ)から,必要経費や社会保険料のほか,個人の事情に応じたさまざま「控除」を差し引いた課税所得を基に決められている。
たとえば,子どもがたくさんいる人は,独身の人よりも食費や教育費がかかる。また,地震や津波などの災害に遭った人は,生活再建にお金がかかる。収入が同じでも,その人の置かれている状況によって,税金を負担できる経済力は異なるため,個別の事情に応じた「控除」を設けることで,課税所得を調節して,課税の公平を図っている。
この控除のひとつが「医療費控除」だ。病気やケガをして入院や手術をしたり,長期療養したりして,医療費が高額になった人の家計に配慮するもので,1年間に使った医療費が一定額を超えた人が利用できる。かかった医療費に応じた控除額を収入から差し引くことで,課税所得が引き下げられ,結果的に税金が安くなるという仕組みだ。
だが,医療費をたくさん使ったかどうかは個別の事情で,勤務先では把握できない。そこで,医療費控除の対象になる人は,確定申告をして自分で払い過ぎた税金を取り戻す必要が出てくる。
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世帯当たり治療にかかった費用が10万円を超えたら医療費控除を申請しよう
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治療に関わる費用は交通費も含み控除対象に,予防や美容目的は対象外
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個人の都合で民間PCR検査を受け,陽性反応が出た人のPCR検査費用も控除の対象になる
昨年1年間の医療費が世帯で
10万円を超えれば申告可能
医療費控除を利用できるのは,昨年1年間(1月1日~12月31日まで)に使った医療費が,原則的に10万円を超えた人。総所得金額等が200万円未満の人は,医療費が総所得金額等の5%を超えると申告できる。
控除額は,昨年1年間に家族みんなでかかった医療費の総額から一律に10万円(総所得金額等が200万円未満の人は,総所得金額等の5%)を差し引いた金額。健康保険の高額療養費,民間の生命保険の入院給付金など,補てんされたお金があった場合は,それも差し引く。この控除額に所得に応じた税率(5~45%)を掛けたものが,申告によって戻ってくる還付金の目安だ。
このときの医療費は,申告する本人のものだけではなく,同一生計の家族のものも対象だ。同居している家族はもちろんのこと,仕送りしている大学生の子ども,生活の面倒を見ている田舎の両親など,離れて暮らしていても同じ家計とみなされる家族の医療費はまとめて申告できる。
たとえば,1年間にかかった家族の医療費の合計が60万円で,所得税率10%の人の場合は,5万円が医療費控除で取り戻せるお金の目安になる。
医療費控除は,控除額が多いほど課税所得が低くなり,結果的に納税額が少なくなる。より多くの還付金を取り戻すためには,控除対象として認められているものを余すことなく,正確に計上していくことが大切になる。
ただし,医療費控除の対象になるものには,一定のルールがある。
控除の対象になるのは,「治療や療養のための費用」「医師の指示で使った費用」で,この定義に当てはまれば,一部,医療費ではないものも計上できるようになっている。反対に,たとえ医療費と名の付くものでも,「予防のための費用」「美容目的の費用」は控除の対象にならない。
治療・療養が目的のものと交通費はOK
予防や美容が目的のものはNG,マスクや消毒液も対象外
たとえば,病気やケガをして病院や診療所を受診した際に支払った健康保険の自己負担分は控除の対象だ。医療費ではないものの,医療機関に行くための電車やバスなど公共交通機関の交通費も,治療に必要な費用として認められている。また,街のドラッグストアなどで購入した市販薬,不妊治療や人工授精の費用,レーシックの手術代,医師の指示で行ったはり・きゅう治療なども,医療費控除の対象として認められている。
一方,医療機関に支払ったお金でも,予防のためのビタミン剤,美容整形の手術費用,ワクチンの接種費用,入院時に個人の都合で利用した個室の料金などは医療費控除の対象にはならない。また,リラクゼーションのためのマッサージも対象外だ。
コロナ禍でかかるようになった医療費についても,原則的には「治療目的のものはOK」「予防・美容目的のものはNG」という考えに沿って判断される。
- マスク・アルコール消毒液
不織布のマスクやアルコール消毒液は,いずれも感染予防を目的として使うものなので,購入費用は医療費控除の対象にはならない。
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ワクチンの接種費用
昨年は,COVID-19の予防,また重症化を防ぐためのワクチン接種が始まった。今のところ,COVID-19は国の「新型インフルエンザ等感染症」に指定されており,ワクチンの接種費用は公費負担だ。ワクチンそのものは無料で受けられるものの,医療機関や大規模接種会場までの交通費はかかる。だが,ワクチンは,あくまでも予防が目的なので,接種会場までの交通費も控除の対象にはならない。
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PCR検査・抗原検査費用