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「外貨預金に殺到」日本円から移すときに知っておきたいこと

 以下は,CHANTO web提供記事(文:森永康平) のほぼほぼコピペです。

 円安が止まりません。9月上旬には約24年ぶりの円安水準となる1ドル=144.5円を記録。今後もこの流れを予想する人も多く,金利が高い外貨預金に資金を移す人が増えています。「メリットだけでなく,注意すべきこともあります」と,経済アナリストの森永康平さんは警鐘を鳴らします。

外貨預金には3つのデメリットが存在する

 いま外貨預金の人気が急上昇しています。ソニー銀行では2月末と6月末を比較すると,外貨預金全体の購入額が2.6倍に増加したといいます。

 米国がインフレを抑制するために金利をハイペースに引き上げているため,ソニー銀行の米ドル定期預金(6か月もの)の金利は2月末(年0.15%)に比べて6月末(年1.5%)には10倍も高くなりました。

 日本ではメガバンクの定期預金でも1年物で0.002%しか金利がつきません。

 円安が今後も進むのであれば,外貨預金に資金を移せば高い金利を得られるだけでなく,為替差益も得ることができるため,これほどの人気になっているのでしょう。

 しかし,高金利と為替差益の2つのメリットだけを見て外貨預金に資金を移動するのは危険です。しっかりとデメリットも理解しておきましょう。

デメリットは大きく分けて3つあります。

1つ目は預金という名前ではあるものの,外貨預金に資金を移動してから円高が進むと,為替差損が生じて元本割れする可能性がある点です。

2つ目は円と外貨を交換するときに為替手数料がかかる点です。

3つ目は外貨預金は預金保険制度(ペイオフ)の対象外な点です。仮に金融機関が倒産した場合にも預金は保証されません。

円安が進む背景を理解するのが賢明

 そもそも円安が進んでいるから外貨預金に資金を移すのはあまりにも安直です。

 前述の通り,外貨預金にはメリットとデメリットがあるので,それらを理解しつつ,なぜ円安が進んでいるのか背景もしっかりと理解するべきでしょう。

 米国では8%以上の物価上昇率を記録しており,国民の生活に支障が出始めています。

 そこで,インフレを抑制すべく米国の中央銀行にあたるFRB米連邦準備制度理事会)はハイペースで金利を引き上げています。

 一方で,日本銀行は日本経済が利上げに耐え得るほど盤石でないことや,そもそも足元の物価上昇がエネルギー価格や食品価格の上昇が大きな要因であり,力強い需要が物価を押し上げているわけではないことなどから,金融緩和を維持しています。

 その結果,両国間における金融政策の態度の違いから金利差が拡大し,円安(ドル高)が進行しているのです。

来春の黒田総裁の任期満了後に起こること

 このように円安の背景を理解すれば,外貨預金に資金を移す場合に注意しなくてはいけないことは,前述のデメリット以外にもあることがわかるかと思います。

 現在,米国はハイペースに金利を引き上げていますが,なかなかインフレを抑制できていません。

 その間にも利上げの副作用で景気が減速しています。

 今後起こりうるシナリオのひとつとして,FRBがこれ以上は景気を犠牲に利上げはできないと判断して,インフレ抑制の目標を少し引き下げて,金融引き締めをやめることが挙げられます。

 一方で,日本では円安による物価上昇を抑えるべきだという世論が大きくなっていく中で,来春には金融緩和を粘り強く続けてきた黒田総裁の任期が満了となり,次期総裁が誕生します。

 新たな日銀総裁がこれまでの黒田路線を脱し,金融緩和から引き締めに転換する場合,日米の金融政策の態度の違いが現在と反対方向になるため,その場合は円高方向にドル円相場が動くことになります。

 こうなると外貨預金では為替差損が発生する確率が高まります。

 「流行っているから」「みんながやっているから」と,安直な判断はせずに,しっかりと現在の経済環境や金融商品のメリットとデメリットを理解してから行動しましょう。

森永康平:経済アナリスト

参考/ソニー銀行株式会社「外貨預金の利用動向に関するお知らせ」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000512.000000157.html

 

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