悲喜こもごも

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賃貸物件の退去時のトラブル

敷金を返してもらえなかった,清掃費などで高額請求された,クロスやふすまの張替え費用を請求された,などのトラブルがあった場合の対応策を考えます。

 

1 見積書を請求しよう

 自分が度を超すような汚し方をしなかったにも拘わらず,管理会社から「原状回復」費用として,敷金と相殺された場合には,貸し手側に「見積書」を請求しましょう。

 

2 ガイドライン(1998年制定)

 ガイドライン前は、「原状回復=借りる前の状態に戻すこと」が原則でした。しかし、ガイドライン後は、「原状回復=通常の使用以外で生じた問題箇所を修繕すること」としました。

 つまり、「通常の使用や経年劣化の修理費用は、入居者の負担ではない」としたのです。

 したがって,敷金から修理費用を請求されたら、それが「通常の使用」や「経年劣化」かを,ガイドラインに沿って見積書の内訳から調べましょう。

 

3 具体的な事例

 例えば、「クロスは減価償却的に6年で価値がなくなるもの」と位置付けられています。あなたが6年以上住んでいる部屋を退去するとき、クロスの張替え費用を請求された場合は、「ガイドラインでは6年でクロスは償却すべきものと規定されており、クロスは経年劣化として、修繕は貸し手負担とすべきと思料します」と主張することができます。

 ただし、「通常の使用」「経年劣化」の判断は難しい面もあります。一番気を付けたいのは「タバコ」と「ペット」です。タバコのヤニや、ペットによる汚れや破損は「通常の使用」と規定されていません。ガイドラインによっても、入居者の責任とされることが原則です。

 また、いくらクロスが6年で価値0円になるとしても、たとえば壁面にいたずら書きしてしまうと、入居者の責任とされ、修繕費用を請求されます。

 他にも、釘やねじによるクロスや壁の破損も、修繕費は入居者の負担になります。一方で、がびょうの穴は「通常の使用」になるので、貸し手側から請求されることはないはずです。がびょうでポスターを貼っても、ガイドラインは「通常の使用」と規定しています。

 ちなみに、ポスター跡がクロスに残った場合、テレビなどのすぐ裏にあった壁が黒ずんでしまう、いわゆる「電気やけ」の場合などは「経年劣化」とガイドラインでは規定されていますので、修繕費を請求されたら、異議を唱えることができるでしょう。

 ただし、もし入居者が置きっぱなしにしていた段ボールの山の裏の結露などで、カビが発生していたとしましょう。この場合の黒ずみの修繕費は、入居者の負担となります。壁にずっと物を置いておくのは、敷金的には危険といえるでしょう。

 このように、クロス1つとっても解釈は多岐に渡ります。見積書をみて、「これはおかしいのではないか?」と感じた場合は「原状回復ガイドライン」と検索して、国土交通省の様々なケースの判断例をチェックしましょう。

  ガイドラインで貸し手側の負担と規定されていても、100%敷金が戻ってくるものではない、という点に注意しましょう。

 たとえば賃貸契約書をよく見ると、クロスの張り替えについて貸し手側に都合のいい「特約」が含まれているケースもあります。ガイドラインは法令ではない、ということです。

 ただし、ガイドラインの内容を口にしただけで、貸し手側が態度を軟化させる場合もあります。また、「黒ずみ」などが入居時点であった場合、それを写真に撮っておくなどの「予防措置」を取ることも可能です。

*賃貸人・賃借人の修繕分担表なるものもあるようです。検索してみましょう。

 

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