悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

医療保険さえあれば,ガンになっても安心?その前に加入している健康保険組合の給付内容を!(2)

 PRESIDENT Onlineの深田 晶恵さんの記事です。(1)(2)の両方を読むと,民間保険の加入や見直しの前に,自分が加入している健康保険組合の給付内容を調べることが大切な理由が解ります。なお,(1)だけでは解りません。

 

<会社員と公務員は「付加給付」が受けられる場合もある>

 健康保険組合加入の会社員,公務員の場合は,「付加給付」といってさらに上乗せの給付が受けられる場合がある。

 例えば,金融機関やマスコミの健保組合は,収入の多寡に関係なく「1カ月の自己負担額は2万円」としているところが多い。電機メーカーや自動車メーカー,通信業界の健保組合は,限度額を2万~4万円としているところが多数だ。

 公務員が加入する共済組合は,一般所得者は月2万5000円,上位所得者は5万円を限度としている。私立大学,高校に勤務している人が加入する私学共済は,公務員の共済組合に準じる金額に設定しているところが多いので,限度額は2万5000円,または5万円となる。

 限度額が月2万円の健保組合に加入しているなら,がんで高額な治療費がかかっても2万円で済むわけだ(健康保険診療が対象)。まさに「知らなきゃ損」である。

 

<「付加給付」の有無はどうやって調べるのか>

 「高額療養費制度は聞いたことがある」という人は増えてきた実感があるが,「付加給付」があることを知っている人は本当に少ない。相談に訪れた人に「付加給付があるかもしれないから,一緒に健保組合のHPを見てみましょう」と言って,サイトを開く。

 「医療費が高額になったとき」のページに,高額療養費制度(法定給付)の表があり,その下に「当健保組合では上乗せの給付があります」と記載があれば,それが付加給付だ。「2万円を控除した金額を給付」などとあれば,「月2万円が限度額」という意味だ。さっそく健康保険証にある健康保険組合名で検索をして,付加給付の有無を確認してみよう。

 

<「入院リスク」は人によって異なる>

 多くの人が「病気にかかるお金に備えるには医療保険に入ること」と思っているが,これまで見てきたように入院は短期化し,がん治療はほぼ外来で行うようになったことで,昔ほど医療保険はありがたいものではなくなっている。

 そもそも「入院リスク」は,人によって異なるものなので,どういう人は入院リスクが高く(=入院すると経済的に困る),どういう人が低リスクなのか,それぞれの要素を見てみよう。

 フリーランス派遣社員の人は入院すると,収入は激減またはゼロとなる。シングルで1人暮らしだと,収入がなくなっても家賃を自分で払わなくてはならない。こうした人は,入院リスクが高いので,「入院したときのための貯蓄」が100万円確保できるようになるまでは,保険料の安い医療保険に入っておくのが安心だ。別途,がん保険にも入ると,その分の出費が増えてしまうので「がんに手厚い医療保険」を選び,貯蓄も増やしていくのがいい。

 一方,正社員や公務員は雇用が安定しているし,有休休暇等の福利厚生もあるので,入院しても経済的リスクは低い。付加給付が充実していて,貯蓄もあるなら,がん保険も不要かもしれない。共働きなら,世帯収入がゼロになることはないので心強い。

 

<民間保険は「制度や貯蓄で賄えないリスク」に備えるもの>

 民間保険は,その経済的リスクが自分の身に起こった時,制度や貯蓄で賄いきれないときに入るものと覚えておこう。自宅が火災や災害に遭ったときの再築費用や,自動車事故を起こしてしまったときの賠償責任には数千万円など高額になるケースが多いので,火災保険・地震保険,自動保険は必ず加入する。しかし,病気治療は高額療養費制度のおかげで医療費は1カ月10万円くらいが目安。付加給付があるなら,2~5万円で済む。

 貯蓄が少ない時期だけ保険料を抑えた医療保険がん保険を利用し,お金が貯まったら保険から卒業することを目標としたい。

 

深田 晶恵(ふかた・あきえ)のご紹介

ファイナンシャルプランナー 独立系FP会社・生活設計塾クルー取締役。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」がモットー。著書は『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』など多数。

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>