悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

メリット・デメリット,会社勤めと個人事業主の比較(2)

 以下は,社会保険労務士・年金アドバイザーの細川芙美(ほそかわふみ)さんが記述した題・文を加除訂正したものです。

個人事業主の厳しい現実!

 個人事業主の場合,産休育休制度がないことです。出産,育児のために仕事を休めば,その分,収入はなくなります。自由度が高く子育ての時間が取りやすい半面,妊娠を考えているのに個人事業主へ転職をすることは,リスクもあります。今後の働き方も含め,一度じっくり考えてください。怪我や病気での休業についても同様のリスクがあります。民間の保険に加入するなどの備えが必要でしょう。

 税金についても,労働者は会社で年末調整をすれば問題ないですが,個人事業主の場合は各自で確定申告が必須となります。

仕事中の怪我や病気,労災保険は対象?

 過日,個人事業主が自ら保険料を払って「特別加入」できる制度について,厚生労働省が飲食宅配代行業とITエンジニアも対象にする検討を始めたという報道がありました

 そもそも労災保険は,仕事中や通勤途中での怪我,病気,死亡について,労働者やその遺族のために保険給付を行う制度です。保険料は全額会社側が負担し,労働者は保険の掛け金なしに,業務中の事故などについての治療費や休業中の補償を受けることができます。

 原則として,個人事業主は労災には加入できません。ただし例外で建築業など事故の危険性が高い業種については,自ら保険料を払うという条件で特別加入の対象になっています。2021年4月からは,業種の適用が広がり芸能従事者,アニメーター,柔道整復師の3業種が加わりました。

飲食宅配代行業も労災の適用に?

 コロナ禍で需要が高まっている飲食宅配代行業ですが,自転車で転倒しけがを負ってしまったものの,何の補償も出ないというようなトラブルはニュースなどでも頻繁に取り上げられていました。多くのトラブルが発生しているため,厚生労働省もこれらの業種について労災の特別加入の検討を始めているようです。

 ただし,上記の動きについて,例えばウーバーイーツの配達員らでつくる労働組合ウーバーイーツユニオンの幹部は,特別加入が認められても加入するか否かは任意になることから,企業が保険料を負担する本来の労災保険の適用を検討するよう求めています。

 配達中に転倒などでけがをする危険性が高いとはいえ,個人事業主であることから,企業側に保険料の納付を義務付けられるようになることは難しいかもしれませんが,今後も動向を見る必要があるでしょう。

まずは副業で始めては?

 個人事業主フリーランスといった働き方を最近耳にするようになったように感じますが,実はまだ日本での割合は高くありません。会社に守ってもらいたい日本人はやはり多いといえます。最近では,労働契約としてでも柔軟な働き方の推進,テレワークなどを取り入れる企業も増えてきたため,両社のメリットを掛け合わせたような働き方についても選択が可能になってくるかもしれません。

 また,いきなり個人事業主になるのではなく,まずは副業として隙間時間に始めて様子を見ていくというのも一つの方法です。多くの働き方がありますが,正解はありません。

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