悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

子供と同居しない高齢世帯が利用できる医療・介護の公的制度の数々

週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号の記事を加除訂正したものです。

 老後の医療・介護のケアには,活用できる公的制度や行政サービスが数多くあります。そのために,「夫婦で」「ひとりで」のほうがいいという考え方があるほどです。

 「各種制度を活用すれば、子供に頼らずに生きていきたいという願いを叶えることは可能でしょう。ただし、事前の準備は必要です」(介護・暮らしジャーナリスト太田差惠子氏)

 早めの介護保険の活用が住宅のバリアフリー化などで助けになることはご存じだとはおもいますが、メリットはそれだけではありません。

 「介護保険には、洗濯や掃除、調理などの家事をお願いできるホームヘルプサービスの生活援助というメニューがあります。子供と同居していると使えないのですが、高齢者のみの世帯だと認められるケースが多い。本格的な介護が必要になる前に、地域包括支援センターへ相談に行くといいでしょう」(太田氏)

 介護保険でカバーされない部分を補う行政サービスの活用も重要です。たとえば、体調が急変した時などに専用端末から民間警備会社や消防局の受信センターに連絡できる緊急通報システムを利用することができます。

 「自治体によって単身者向けだったり、介護認定を受けている人向けだったりと対象者は異なりますが、転倒して動けなくなった時などにも使えるサービスです。自分の住んでいる自治体には、高齢者のみの世帯に向けたサービスとしてどのようなものがあるか、あらかじめ調べておくとよいでしょう。食事の宅配サービス、定期的に電話で連絡を入れてもらえる福祉電話訪問、電磁調理器や自動消火装置などの火災安全システムの給付といった取り組みをしている自治体もある。ただし、徒歩圏内に親族が住んでいると認められないなど、自治体ごとに使える世帯の規定は異なるので注意が必要です」(太田氏)

 また,条件を満たせば介護保険を使い、車いすのままでも乗降が可能な介護タクシーを利用することもできます。

 「地域の社会福祉協議会が有償ボランティアによる移送サービスを提供していることもあります。そうした支援がフル活用できれば、車を手放した後も子供に送迎などの面倒を見てもらわずに済みます」(太田氏)

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