悲喜こもごも

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民法改正 意思と法律行為(3) 代理人

代理人の行為

   経済活動に欠くことのできない代理人の権限濫用について明文化。利益相反

  ついても改正。

土地売却を頼んだ代理人が代金を着服した場合でも,売主に土地引渡義務は生ずる 

 か?

無権代理行為とみなされる場合には,土地を引き渡す必要がない。

【改正前】

 判例では,代理人の権限濫用の意図を相手方が知り得た場合,契約は無効。土地の売主に引渡義務ないものの,条文なし。

 

【改正後】

 代理人による権限濫用は「無権行為とみなす」と明文化(107条)。代理権を有する人が自己または第三者の利益を図る目的で権限を濫用した場合も無権代理行為と同視されます。無権代理行為の場合,契約の相手方は代理人に対して損害賠償等の請求ができます。

無権代理行為:代理権のない人が本人の代理人と称して勝手に契約する行為など。

 

代理人と本人との利益相反

【改正前】

 自己契約,双方代理のみ禁止。

【改正後】

 改正前に加えて,それ以外の利益相反行為についても無権代理行為とみなします(108条2項)。例えば,Aから土地の処分(売却だけでなく,賃貸や担保供与など)を任された代理人Bは,自分の事業用の融資を受けるためAの土地に抵当権を設定する契約をC銀行と締結した場合です。ただし,本人が追認すれば,いずれの代理行為も有効になります。

 

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