悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

遺言書・書くべき事項は「誰に」「何を」「どんな割合で」!

 以下は,マネーポストWEB提供記事(女性セブン2022年9月22日号)のほぼほぼコピペです。

 財産の多寡にかかわらず,もめることの多い相続問題。自分が亡くなった後に残された家族が相続でもめたり,多額の相続税を課せられて損をしたりなどのトラブルに巻き込まれないためにも,生前に遺言書をしっかりと作成していくことが重要だ。

 遺言書を作成するうえで知っておきたいのが「遺留分」だ。遺留分とは,法律で定められた最低限の取り分のこと。たとえ遺言書に「1円も渡さない」と書かれていても,遺留分は奪うことはできない。ベリーベスト法律事務所の弁護士・的場理依さんが指摘する。

 「子供が3人兄弟なのに“長男にすべて相続させる”と書くなど,誰かの遺留分を侵害するような遺言書は,紛争になる可能性が非常に高い。ただし,“遺留分相当の現金を相続させる”という書き方は,それに相当する現金がないと,何かを売って補填しなければならなくなるため,かえって相続人を困らせることになるかもしれません。

 いちばんシンプルなのは“預貯金は長男へ,家は長女へ”などと,財産ごとに分けて相続させること。特に不動産は分割が難しく,できるだけ共有名義にしない方がいいため,慎重に検討すべきです」

 誰に何を相続させるか決める際,安易に「自宅はやはり,長男に継がせた方がいい」などと決めると,後から相続人が困ることもある。相続・終活コンサルタント行政書士の明石久美さんが言う。

 「相続税がかかると仮定すると,もし長男がマイホームを持っていて,次男が賃貸住まいなら,次男に相続させれば,小規模宅地等の特例で評価額が8割減になります。気持ちだけでなく,相続人の事情も考えて,慎重な判断を」

 遺言書には「誰に」「何を」「どんな割合で」相続させるかを,できるだけ具体的に書かなければならない。

 だが,株などはもちろん,不動産の評価額や預貯金の残高は変動するため,金額の明示は難しい。ベリーベスト法律事務所の弁護士・田渕朋子さんが言う。

 「“○分の1ずつ”などと書くと,利息や端数の扱いが難しくなるため,金融機関が対応できないケースもあります。また,現物で遺産を相続させて,ほかの相続人には一定の代償金を支払うように遺言書に書くこともあります。

 この場合は,代償金を遺産の中から出すのか,相続人自身の財産から出すのか,ほかの相続人の遺留分が侵害されることはないか……と,さまざまな事情を加味して代償金の額を決め,遺言書に記載することになります」

家族以外に相続させるなら「執行者」も決めておく

 もし,特別に財産を多く渡したい人や,法定相続人以外に財産を渡したい人がいるなら,遺言書作成時に「遺言執行者」の選任をしておくと安心だ。

 文字どおり,遺言書に書かれたことを実現するために手続きなどを行う人のことで,弁護士や税理士が選任されていることもある一方,相続人の中の誰か1人が担うことも多い。遺言によって選任されていなければ,家庭裁判所に申し立てて決めてもらうか,手続きのたびに相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などが必要になる。

「相続人全員が協力できるなら,遺言執行者は必ずしも必要ではありません。しかし,相続人全員の協力を得るには手間がかかります。預金の解約などの手続きは遺言執行者が1人でできるように,遺言書で権限を与えておけば,前述のように遺言書に金額が明示されておらず,金融機関での対応が難しい場合も,相続がスムーズになります」(田渕さん)

 特に,法定相続人ではない人に財産を渡す「遺贈」があるときは,遺言執行者を定めておいた方がいい。

「遺言によって財産を与える遺贈は,相続とは異なります。不動産を相続した場合は,相続人単独で登記手続きができますが,遺贈を受ける『受贈者』が登記手続きを行うには,遺言執行者,または法定相続人全員との共同申請が必要になります。そこで,あらかじめ受贈者を遺言執行者に指定しておけば,自分1人で登記などの手続きができるようになります」(的場さん)

 遺言書は,何度でも作成できる。慎重な検討は必要だが,まずはつくることが何よりも重要だ。相続実務士で夢相続代表の曽根惠子さんも言う。

「遺言書をつくる前に,相続人におおまかな内容を伝えておくことも大切です。その時点で不満が出れば,それを判断材料にして内容を考え直すこともできる。作成後もできるだけ,どんな遺言書をつくったか相続人に伝えてほしい。オープンにするほど,遺言者の意思を実現しやすい遺言書になります」

 そもそも,遺言書なんて,お金持ちだけの話だと思ったら大間違いだ。事実,司法統計では,2020年に起きた相続トラブルの8割近くが,遺産総額5000万円以下の家庭で起きている。

相続税のかからない,遺産総額3000万円に満たない家庭でも,いざ相続というときに紛争になり,弁護士が間に入らざるを得なくなるケースは多い。財産の多い・少ないにかかわらず,どんな人でも,遺言書の作成を考えてほしい」(的場さん)

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