悲喜こもごも

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病気やケガで利用できる「お金」の制度のチェック(2)

6 介護保険のしくみ

 入院ではなくて,日常生活の上で介護が必要な時には,介護保険が役に立ちます。

 介護保険とは,介護サービスを1割負担で利用できる制度です。40歳以上の人は原則介護保険の被保険者です。65歳以上の方は,原因を問わず要支援・要介護状態になると利用できます。40歳から64歳の方は,16種類の特定疾病で要介護(要支援)の状態になると利用できます。この16種類の疾病の中には「がん(末期)」も含まれています。

 介護保険は,要支援1・2,要介護1~5の7段階に分かれていて,それぞれ受けることができるサービスや上限額が決まっています。

7 「高額介護サービス費」「高額介護合算療養費制度」とは

 1ヵ月の介護サービスの1~3割負担の合計額が一定の限度額を超えた場合ですが,超えた分が申請により払い戻されます。それが「高額介護サービス費」です。

 同じ世帯で複数のサービスを利用している人がいる場合には,世帯合計額になります。それを超えた分が払い戻される制度です。また,医療保険介護保険を利用していて,1年間の自己負担額の合算額が著しく多くなった場合には,負担額の一部が払い戻されます。それが「高額介護合算療養費制度」です。

 8 医療費控除・セルフメディケーション税制

 入院をするとやはり医療費などの支払いが多くなります。たとえば歯医者などに行くとかなり高額になります。その場合には「医療費控除」を使うことができます。

 医療費控除とは,1年間で支払った医療費が10万円を超える場合は,確定申告をすることで税金の一部が還付される制度です。

 計算式は下記の通りです。

医療費=控除額(1年間の医療費−生命保険などから支払われた給付金)−10万円(または合計所得金額の5%)

 ほかにも,セルフメディケーション税制があります。これは医療費控除の特例制度です。スイッチOTC医薬品(医療用医薬品から一般薬に転用した医薬品)を1年間で1万2,000円以上購入した場合,所得税の控除の対象になります。なお,セルフメディケーション税制と医療費控除の両方を使うことはできません。

9 民間の医療保険・就業不能保険

 このように,さまざまな制度があります。日本の健康保険制度は結構手厚い保障があるので,意外と自己負担は少ないのです。なお,ここで述べたのは医療費についてだけの自己負担ですから,その他の費用も必要になります。例えば,差額ベッド代や入院のパジャマとか,往復の交通費です。

 しかしながら,現在は多くの場合,長期の入院をするというのはごく稀で,短期の入院が中心です。そうだとすれば,医療費以外にもかかる費用はそれほど多くなく,入院に備えるお金としては20~30万円あれば対処できるでしょう。

 したがって,前述の資金があれば,改めて民間の医療保険に入る必要はないでしょう。ただし,資金が少ない人は,医療保険を検討してみましょう。

 本当に困るのは,長期の入院や,働けない状態が続いた場合です。これは傷病手当金があるので,会社員などは急には困ることはないのですが,自営業やフリーランスの人は,就業不能保険で備えることができます。。

お金が貰えるかも(戻ってくるかも)しれないチェクリスト【問合せ・申請先】

□健康保険【健康保険組合や市町村役場など】

□高額療養費【健康保険組合や市町村役場など】

□傷病手当【健康保険組合

障害年金年金事務所,市町村役場】

後期高齢者医療制度【市町村役場】

介護保険【市町村役場】

□高額介護サービス費【市町村役場】

□高額介護合算療養費【市町村役場】

□医療費控除【税務署に確定申告】

セルフメディケーション税制【税務署に確定申告】

□その他

  労働者災害補償保険労働基準監督署

  雇用保険ハローワーク

 

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