悲喜こもごも

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住宅ローンで設定される抵当権とは?(2)登記,優先順位,実行,賃借人との関係

3 抵当権設定の登記記録

  抵当権設定登記をすることは義務ではありませんが,登記することで抵当権者は第  三者に対抗(主張)できることから,通常,登記をします。

  登記は,所有権以外の権利の権利部(乙区)に,順位・受付年月日・受付番号,原因・債権額・利息・損害金・債務者・抵当権者が記録されます。また,共同担保があればその旨と共同担保目録も。

  注意しなければならないことは,2(3)で前述しましたが,現在も抵当権が存在するか否かを読み取ることはできません。また,抵当権が存在していたとしても,借入金残高がいくらかも読み取ることはできません。

 

4 優先順位と抵当権設定者

  同じ不動産に複数の抵当権が設定されていることもあります。その抵当権者のうち1番でない抵当権者が抵当権を実行しても,落札代金から優先的に配当を受けられるのは順位1番の抵当権者です。つまり登記された順位番号1が後順位よりも優先されます。

  また,債務者(抵当権設定者)がその不動産所有者と同一とは限りません。自己の債務の担保として,同意を得て他人の不動産に抵当権を設定することもできます。例えば,子が借入れする場合に親が所有する土地を担保提供して抵当権を設定することができます。

 

5 抵当権の実行

  住宅ローン等の被担保債権の弁済(返済)がされないと,抵当権者は債権回収のために,裁判所へ競売を申し立てて抵当権を実行(差押え)できますが,実際にはすぐに実行されないことが多いようです。

  その理由は,以下のとおりです。滞納・延滞が起こると,金融機関は債務者と返済計画の見直し策定を行います。それでもなお弁済ができなければ,保証会社から金融機関へ代位弁済がされ,保証会社が債務者に弁済を求めることになります。その後に,抵当権の実行となります。

 

6 賃借人と抵当権

  アパート等の賃借人にも抵当権の影響が及ぶことがあります。入居したときにすでにその物件に抵当権が設定されている場合(通常契約時にその旨を通知),入居中の建物が競売されて競落人から退去を求められると,一部の例外を除き,賃借人は競落人が買い受けた後6か月を過ぎるまでに退去しなければなりません(それまでは賃料を支払う必要あり)。

 

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