悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

帰属家賃で考える住居の「賃貸vs購入」(3)

 以下は,コミュニティみらい研究所代表の朝倉継道氏が執筆したものを加除訂正したものです。

 

<ローンを返し終わっても…>

 しかしながら,この場合でも,大家である自分は大家の責務からは逃れられません。たとえ,「今後は一生家賃0円」の永久ボーナスに浮かれているふざけた(?)店子でも,大家は,彼を安心かつ安全に,そこに住まわせ続けてやらなければならないのです。

 他方,肝心の家の方は,その頃になれば老朽化の域に入り,あちこち故障も出始めます。そして,大家はこれまでどおり必死でそれを直し続けることになります。その理由は,そうしなければ店子である自分自身がそこに住めなくなるからです。

 以上が,帰属家賃の考え方を実際の家の「借りる・買う」に応用してみた結果です。

 帰属家賃は,経済統計上の便宜として用いられるこの概念ですが,人が家に住むということの本質をあぶり出してくれる,格好のベースなのです。

にも拘らず,それを凌駕する心情,つまり「家を持つことを人生成功のシグナルフラッグとして心に捉えている,おそらく多数派であろう日本人」ということにも触れました。

 しかしながら,近年,そうしたわれわれの想いは,実はかなり揺らいでいるのでなないでしょうか?ITテクノロジーの進展による人々の働き方の変化や,年々不確実性を増す気象環境の様子なども相まって,家は買うべきか,それとも長期・短期を織り交ぜての多様なかたちで借り続けるべきか? 本気で悩む人も,いまは増えてきていることでしょう。

 そうした人々にとって,このような根本論的な話というのは,家と人生を考えるにおいて,とてもよい視点・観点を提供することに違いありません。

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>