悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

確定申告・2021年新築した住宅に入居,住宅ローン控除は?

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

 2021年度税制改正で,住宅ローン控除を13年間受けられる特例が延長になりました。そのための契約期間は以下のとおりです。

区分

住宅取得の契約期間

居住開始期限

新築(注文住宅)の取得

2020(R2)年10月1日~2021(R3)年9月30日

2021(R3)年1月1日~2022(R4)年12月31日

・分譲住宅の取得・中古住宅の取得・増改築等

2020(R2)年12月1日~2021(R3)年11月30日

 以上の要件を充足している場合は,合計所得金額が1,000万円以下である年においては,床面積が40㎡以上50㎡未満である家屋にも適用されます。

 住宅ローン控除額は,控除期間の1~10年目までの各年は年末借入金残高の1%を控除し,11年目以降の税額控除額は,以下のとおりです。

次に掲げる金額のいずれか少ない金額(イ)住宅借入金等の年末残高(4,000万円*を限度)×1%(ロ)消費税抜きの住宅の取得等の対価(4,000万円*を限度)×2%÷3

*認定長期優良住宅および認定低炭素住宅の場合は上記の4,000万円は5,000万円と読み替えます。

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現在失業中の年末調整・確定申告(2021年リストラで退職)

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

 退職までの給与については年末調整されていませんので,確定申告すれば,還付があります。毎月の源泉徴収は1年間勤務した場合の概算の所得税額を,12か月で割り振って徴収しているために,このような場合に所得税を納め過ぎになっていることが多々あります。なお,失業給付は所得税・住民税は非課税です。

妻が給与所得者の場合

 すでに提出済みの「R3年分扶養控除等(異動)申告書」において,退職前に子を扶養の対象とし,妻の方の所得が多い場合,年末調整時に妻の扶養控除の対象に変更することができます。妻の事業所提出の「R3年分扶養控除等(異動)申告書」を書き換えます。

 また,自身の合計所得金額が133万円以下(給与収入201.6万円未満)であれば,妻の配偶者控除配偶者特別控除の対象となります。その際には,妻の「R3年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の配偶者控除等申告書の欄に記載しましょう。

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初めての確定申告(退職してFPとして開業,申告前にやっておくべきこと?)

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

青色申告制度

 開業年には,器具備品などの設備投資が必要で,損失が先行します。そのような場合に活用したい制度です。

青色申告承認申請書

  提出期限は,新規開業の場合,原則,開業後2か月以内です。*例外あり

青色申告特別控除額

  控除額は,55万円,65万円,10万円です。各要件の検索をお願い致します。

青色申告専従者給与の必要経費算入

  生計を一にする親族・配偶者が専ら事業に従事する場合,支払った給与や賞与が必要経費となります。ただし,これも届出が必要です。

*届出書・期限等の検索をお願い致します。

④純損失の繰越控除

  損益通算しても損失が出る場合,繰り越して翌年以後3年間の所得から差し引くことができます。

⑤中小事業者少額減価償却資産の必要経費算入

  青色申告者は1個当たり30万円未満である少額減価償却資産を取得して事業の用に供した場合,その年で全額必要経費に算入できます。中古資産やソフトウエアにも適用されます。

なお,減価償却資産の合計額が300万円までですが,年途中に開業した場合の上限額は,実際に業務を営んでいた月数分になります。

 

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臨時特別給付金(10万円)支給対象の「住民税非課税世帯」とは?

 以下は,All Aboutマネーガイド福一 由紀氏による記事のほぼほぼコピペです。最後に年金暮らしの方のための≪補足≫を加えました。

 住民税が非課税となる「住民税非課税世帯」の年収はいくら以下なのでしょうか?

家族構成や住んでいる自治体によっても違いのある住民税非課税世帯について解説します。

住民税が非課税になるのは年収いくらから?

 教育無償化の対象が「住民税非課税世帯」など,自治体や国のサービス,給付の対象が住民税非課税世帯に限定されることはよくあります。この住民税非課税世帯とは,いったい年収いくらなのでしょうか?

住民税は均等割と所得割で決まる!

 個人の所得に対してかかる税金には所得税と住民税があります。所得税は国に納めるもので,住民税は住んでいる都道府県や市町村に納めます。

この住民税ですが,所得税とは少し違った考えで課税されています。住民税は住民が地域社会の費用を分担するためのものというところです。

この考え方から,住民税は定額負担の「均等割」と所得金額に応じて負担する「所得割」があります。均等割は自治体によって違いますが,標準税率として市町村民税3500円,道府県民税1500円の合計5000円(※1)。

※1:復興財源確保のため,平成26年度から令和5年度分までの間,標準税率が年1000円(市町村民税500円,道府県民税500円)引き上げられています。また,超過課税を実施している自治体があるため,5000円より高額になる場合もあります。

 それに対して,所得割は所得に応じて税額が決まります。また,以下の人は均等割,所得割とも課税されません。

生活保護の規定による生活扶助を受けている

障がい者,未成年者,寡婦またはひとり親で,前年中の合計所得金額が135万円以下

住民税非課税世帯は世帯全員が均等割非課税

 他にも,均等割と所得割に対して,非課税限度額がもうけられています。両方が非課税になれば住民税非課税ということになります。そして世帯家族全員が住民税非課税であれば,住民税非課税世帯ということです。

【非課税限度額の基準】

■均等割:所得金額≦35万円×世帯人数*+10万円+21万円(※2)

■所得割:所得金額≦35万円×世帯人数*+10万円+32万円(※2)

*世帯人数:本人,控除対象配偶者および扶養親族の合計数

※2:21万円,32万円の加算は,控除対象配偶者又は扶養親族を有する場合のみ

均等割の方が基準が低いため,均等割が非課税になれば住民税非課税ということです。

会社員,専業主婦,子ども2人世帯では年収255万円以下

 具体的にどのような金額で住民税が非課税になるのでしょうか? ここでいう所得は,収入から経費(会社員等は給与所得控除)を引いたものです。

■会社員(独身)……年収100万円以下

所得金額が45万円以下で住民税非課税。収入に換算すると年収100万円

【年収100万円】-【給与所得控除55万円※3】=【所得45万円】

■会社員,専業主婦,子ども1人の3人世帯……年収205万円以下

所得金額が136万円(35万円×3+10万円+21万円)以下で住民税非課税。

【年収205万円】-【給与所得控除69万5000円※3】=【所得135万5000円】

■会社員,専業主婦,子ども2人の4人世帯……年収255万円以下

所得金額が171万円(35万円×4+10万円+21万円)以下で住民税非課税。

【年収255万円】-【給与所得控除84万5000円※3】=【所得170万5000円】

※3給与所得控除額は年収によって変わります

限度額は自治体によって,4人家族で32万円の差!

 ただし,住んでいる地域によってこの均等割の非課税限度額が変わります。これは生活保護基準と関連しているから。生活保護基準の級地区分として1級地(東京23区,指定都市),2級地(県庁所在市,一部の市町),3級地(一般市・町村など)と分けられており,これに応じて均等割の非課税限度額の基準が変わります。

【均等割の非課税限度額】

■1級地:所得金額≦35万円×世帯人数+10万円+21万円(※4)

■2級地:所得金額≦31万5000円×世帯人数+10万円+18万9000円(※4)

■3級地:所得金額≦28万円×世帯人数+10万円+16万8000円(※4)

※4:21万円,18万9000円,16万8000円の加算は,控除対象配偶者または扶養親族を有する場合のみ

 上の年収試算は1級地での基準ということになります。2級地,3級地になると限度額基準が少し低くなります。例えば,3級地で4人世帯であれば,限度額は所得138万8000円。1級地では171万円ですから32万2000円の差がでてきます。お住まいの基準を確かめて限度額を計算してみてください。

 上記は令和3年度(令和2年1月1日から令和2年12月31日の間に得た収入)以降の個人住民税の例です。令和2年度までは基準の所得が10万円低くなりますが,給与所得控除が10万円高かったため,給与所得者の実質の非課税枠は同じです。

≪補足≫

 上記にあてはめて,年金暮らしの方も是非(均等割について)計算してみましょう。ここでいう所得金額は「総収入」ではなく「控除後」の所得になります。

 昨年12月10日現在,住民登録があり,住民税(均等割)非課税世帯は,臨時特別給付金(金10万円)の支給対象となります。

 なお,コロナの影響で家計が急変した世帯も要件を充足すれば,支給対象になります。要件について,市区町村の役所に問い合わせてみましょう。

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(50代で?)やっておきたい「老後生活のお金」の準備!

 以下は,All Aboutマネーガイド 深野 康彦 氏の記事のほぼほぼコピペです。最後に≪私感≫を記しました。

 老後のお金,もう準備を始めていますか? 老後までに考えておきたいこと「3W1H」について解説します。

老後は家計の支出を減らすダウンサイジングが必要

 老後の準備で最も気になるのは「お金」だということに異論はないはずです。ただし,老後を迎えるまでに準備(確保)することができるお金には限りがあることから, 一方では家計の支出を減らすダウンサイジングが必要なのです。

 では,いくら準備して,いくら減額しなければならないのでしょうか。残念ながら万人に共通の正解はありません。なぜなら老後の生活スタイルは1人1人異なるからです。

言い換えれば,我が家の老後のライフスタイルがわかれば,準備しなければいけないお金と減額しなければならない支出が見えてくるはずです。そのためのキーワードが「3W1H」なのです。

 我が家の老後の青写真(ライフスタイル)を描くためにまずは「3W1H」を考えることから始めましょう。

 3W1Hの3Wとは「WHEN(いつ)」「WHERE(どこで)」「WHO(だれと)」で,1Hは「HOW(どんな風に)」です。具体的に見ていきましょう。

WHEN(いつ)は完全リタイアする年齢

 WHEN(いつ)は,完全リタイアする年齢のこと。公的年金とリタイアまでに蓄えたお金だけで生活していくのは何歳からですか?ということです。

現在,50代後半の人は65歳以前から部分年金を受け取ることができますが,男性は1961年4月2日,女性は1966年4月2日以降生まれの人は公的年金の受け取りは65歳からになります。

 仮に65歳未満で完全リタイアして老後生活に入るとすれば,65歳で完全リタイアする人より多額のお金を準備しておかなければなりません。逆に元気なうちは65歳以降も働くと考えるならば,65歳で完全リタイアする人より準備するお金は少なくて済むことでしょう。

 50歳代で決めるのは難しいかもしれませんが,老後の準備という意味では完全リタイアする年齢を決め,その年齢から逆算して準備するべきなのです。

 注意すべき点は,準備を怠った結果,やむを得ず生涯現役(働き続ける)となり,豊かな老後を過ごすことができなくなることです。

WHERE(どこで)は老後はどこに住むのか

 WHERE(どこで)は,老後はどこに住むのかという「終の棲家」のことです。老後住む家は,現在住んでいる家か,あるいは夫婦どちらかの田舎で暮らすUターン,旅行や仕事の転勤などで行ったことがある地方へのIターンということもあるでしょう。

 住むところが重要なのは,住む場所によって物価水準が異なるからです。日常の買い物のほか,水道光熱費なども違ってくるのです。

 仮に買い物や水道光熱費で月3万円違ったとすれば,年間36万円。老後の生活を20年とすれば720万円,30年とすれば1080万円も異なるのですから,その分準備するお金がやはり違ってくるというわけです。

WHO(だれと)は何人で1つ屋根の下に生活するのか

 WHO(だれと)は,正確には何人で1つ屋根の下に生活するのかということです。

夫婦2人だけ,あるいは子ども世帯と2世帯,親世帯との2世帯もあるでしょう。場合によっては,子ども世帯,親世帯と同居の3世帯もありえないことではありません。

 住む人数が増えれば増えるほど,1人当たりの食費や水道光熱費が減少する反面,収入は増えることでしょう。つまり生活は楽になるというわけです。

HOW(どんな風に)は,老後の過ごし方

 HOW(どんな風に)は,老後の過ごし方のことです。老後は晴耕雨読という人もいれば,現役時代にできなかったボランティアに勤しむ等々,過ごし方によって日々の生活費が異なるはずです。

 晴耕雨読で過ごすことを考えている人は,生活費は大してかからないでしょうから,ボランティアなどに勤しむ人より準備するお金は少なくて済むことでしょう。

 簡単に言えば,老後にやりたいことがたくさんある人の方が多額のお金を準備する必要があり,やることが少ない人ほど準備するお金は少なくて済むようです。お金の準備が大変だから,老後は極力やることを少なくしようなどと決して考えないでください。

 確かに準備するお金は少なくて済み,生活費もかからないでしょうが,現在仕事に割いている時間が全て自由になるのです。自由,または毎日が日曜日と言い換えるのは良い響きかもしれませんが,やることがないと数日で時間を持てあましてしまうことでしょう。

 「3W1H」のいずれもが大切ですが,最も大切なのはHOWの過ごし方です。そのためには,老後もある程度は忙しく過ごすことです。自宅にばかりいると,奥様に粗大ごみ扱いされるかもしれません。それと最低限の家事はできるようにしておきましょう,世の男性諸君!

【参考文献】55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣(明日香出版社)

 

≪氏は1Hを重要視しているようですが,退職なさった方を見ているとそうとばかりは言えないように思います。仕事に割いていた時間がすべて自由になることはなく,自宅にいて奥様に粗大ごみ扱いされないためにも,今度は奥様のための「仕事」をすることになるようです。通勤時間はマルマル自由になるとしても,まあ仕事に費やした時間の半分でも自由になれば,いい方かも。その時間内でできることは限られるでしょう。したがって,大金を費やす時間もないのかもしれません。

私が言えることは,現役時代に仕事に一生懸命で,誠実に?工夫を怠らなかった方は,その老後も……。そして,1日,1週間,1か月,1年がとても早く感じられることだけは確かなようです≫

お読み頂き,有り難うございました。そして,皆様,よいお年をお迎え下さい<(_ _)>

 

退職金と年金を同時に準備できる制度(iDeCoや確定拠出年金など)(2)

3 不足分を補うためのiDeCoや小規模企業共済

 前述のように退職金・公的年金の減額が続くので,自分でその不足分を補う必要があります。そして,退職金と年金という別々の制度を利用するには,手間暇を要することになります。また,定年退職のころに,まとまったお金を必要としている(住居のリフォームや海外旅行),長期間給付される年金を受け取る方がいいのかどうか,現段階では判りません。

 そうだとすれば,制度を利用する側にとっては,退職金と年金の両方をじゅんびすることができ,かつ,定年退職時の状況に合わせて,柔軟に選択できる制度が理想です。

 それを充たす制度としてiDeCo(個人型の確定拠出年金)があります。なぜなら,60歳以上になると,その老齢給付金は,「一時金(退職金)」「分割(年金)」「一時金と分割との併用」の中から,受給方法を選択できるからです。

 小規模企業の役員,個人事業主の退職金制度として小規模企業共済があります。この制度も共済金の受給方法を,iDeCoと同様,前述の三つの中から選択できます。また,その掛金もiDeCoと同様,所得から控除の対象となります。

 次に受給した場合について,税制から考えます。

 iDeCoの老齢給付金を分割で受給した場合,「公的年金等控除額」として差し聞くことができます。結果,所得がゼロになると,所得税や住民税は課税されません。そうだとすれば,分割と一時金を併用し,「公的年金等控除額」と「退職所得控除額」を活用した方がいいと思います。なぜなら,後者は掛金の積立期間が20年を肥えると20年以下より増えるからです(下記参照)。したがって,できるだけ課税(所得税・住民税)を回避するためには,20年を超えるまで掛金の積立を続けることでしょう。

勤続年数(X)

退職所得控除額

20年以下

40万円×X *80万円未満は80万円

20年超

800万円+70万円×(X-20年)

 なお,小規模企業共済も,一時金を受給した場合の「退職所得控除額」について同様です。

 また,退職金を受け取れない方も,老齢給付金や共済金から「退職所得控除額」を差し引くことができます。

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退職金と年金を同時に準備できる制度(iDeCoや確定拠出年金など)(1)

1 非正規社員が退職金を受け取るのは至難の業

 2020年10月13日の最高裁は,非正規社員に賞与や退職金が支払われなかったことは,不合理な格差ではないとの判決を下しました。賞与は正社員基準の60%,退職金は正社員基準の25%の支払いを認めた高裁の判決を覆されました。

正社員の退職金の額は減少傾向(厚労省

 

2008年の調査

2018年の調査

大学卒(管理・事務・技術職)

2,491万円

 2,173万円

高校卒(管理・事務・技術職)

2,238万円

 1,954万円

高校卒(現業職

2,021万円

1,629万円

 以上によれば,減少傾向が明らかです,また,退職金制度がない事業所が増えているので,正社員であっても,正社員であっても以前のようには受け取れなくなっているようです。

2 退職金だけでなく公的年金も減少

 その理由は,現役世代から徴収する保険料の引き上げは,2004年から毎年一定率ずつ実施され,2017年9月に規定の上限に達してしまい,これ以上の引き上げは困難です。したがって,公的年金を減額するしか方法がありません。

 そのため,今後は公的年金の減額を「マクロ経済スライド」で実施することになります。最近では,2019年度に0.5%,2020年度に0.1%の減額が実施されました。

 また,厚労省は5年に一度のペースで,年金財政検証公的年金の定期健診みたいなもの)を実施し,2019年度のそれによれば,公的年金の減額が終わる時期は2050年度前後,つまり,今後30~40年,公的年金の減額が続くことになります。

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「マクロ経済スライド」の年金制度(賃金・物価による調整)とは?

 All About 編集部(監修・文:ファイナンシャルプランナー深川弘恵氏による)記事のほぼほぼコピペです。

 今回は,年金の給付額を決める際に用いられる「マクロ経済スライド」という仕組みについてです。老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが,年金制度にまつわることは,難しい用語が多くて,ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に回答します。

 今回は,年金の給付額を決める際に用いられる「マクロ経済スライド」という仕組みについてです。

Q:「マクロ経済スライド」って何?

「年金額を決める際には,マクロ経済スライドという制度が,使われていると聞きました。どんな制度なんでしょうか?」(30代後半・会社員)

A:賃金や物価の改定率を調整して,緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです

 「マクロ経済スライド」とは,平成16年(2004年)の年金制度改正で導入されたもので,賃金や物価の改定率を調整して,緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みのことです。

 基本的に,賃金や物価が上昇すると年金受給額も増えますが,これは年金給付の財源が,現役世代からの保険料が主なものであるからです。少子高齢化が進行すると,保険料を負担する現役世代の人数が減り,年金を受け取る高齢者の人数が増加していきます。

 賃金や物価が上昇して,年金受給額も増やすと,少子高齢化が進むにつれて,多くの年金財源が必要となり,その財源の多くを担っている現役世代の保険料負担が重くのしかかってしまいます。

 これを防ぐために一定期間,年金給付額を,賃金や物価が上昇するほどは増やさず,緩やかに年金の給付水準を調整し,財源の範囲内で年金の給付を行うという仕組みです。つまり,年金を受給している人も,一部負担しているということになるのです。

 具体的には,賃金や物価による「改定率」から,現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって,年金の給付水準を調整します。「現役世代の人数の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」をマクロな視点で見て,給付水準を自動的に調整するため「マクロ経済スライド」と名付けられたのです。

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閲覧の御礼,1,000超⁉

 先日,ブログ『悲喜こもごも』の閲覧回数が1,000回を超えました。

 閲覧下さった皆様に御礼申し上げます。

 また,数あるブログの中から読者登録して下さった皆様にも,改めて御礼申し上げます。

 9月から,本業の行政書士・FPのほかにバイトも始め,これまでになく幾分?多忙です。それをいいことに,自前で作文することなく,記事を拝借してアップしておりますことをご容赦下さい。

 この機会に,記事を拝借させて頂いている各位に御礼申し上げます。

 今後も概ね,このパターンでブログを構成したいと考えております。なぜなら,私自身が目にすることができる記事はごく一部にしかすぎませんが,本業上読むに値すると思う記事を皆様に少しでもご紹介したいからです。

 知ることは大事なことですが,必ずしもそれが「幸せ」とは言えないのが世の常です。

 それで『悲喜こもごも』(紆余曲折はありましたが)という題になっています。

 今後とも宜しくお願い申し上げます。

 なお,以下のブログも開設しております。冷やかしや好奇心等で構いませんので,覗いて頂ければ,幸いです。

巷(ちまた)の学校blog

ohenstuff.hatenablog.com

≪それって本当!≫年金は65歳からもらわない方がいい?

 以下は,All About生命保険ガイドの小川千尋氏の記事を編集部が最新情報に加筆したものです。なお,各理由の最後に逆の見解ともいえる私見を記しました。ご自身の選択の参考にして頂ければ幸いです。

65歳からもらえる老齢基礎年金を繰り下げ受給したい理由

 老齢基礎年金は、原則、65歳からもらえるようになります。でも、もらえるようになっても、もらわない(繰り下げ受給した)方がいいと筆者は考えています。その理由は3つあります。

理由1:60代・70代は若くて元気! まだまだ働ける!

 今の60代・70代は若くて元気です。だから、働く体力・能力・気力は十分にあるので、働かないともったいない! 少子化で若年層の労働人口が減っているので、その不足を補うためにシニアパワーを社会が求めています。そして、社会保険料や税金などの義務的負担も行う社会の支え手になることも。その傾向は、これからも当分の間は変わらないでしょう。

 ですから、65歳間近の人やそのあとに続く50代・40代の人も、65歳でリタイアして年金生活に突入する(できる)なんて考えないで。大病をしたなどで働きたくても働けない人は、その限りではありません。

 65歳を過ぎても働き続けて収入が得られれば、年金をもらわなくても生活できますよね? 年金は70歳まで繰り下げられるので、そこまで繰り下げを。そして、70歳になったら、年金をもらいながら働き続けましょう。

≪2022年4月からは,75歳までの繰下げ受給が可能。「働く体力・能力・気力は十分にある」と思っているのは自分だけで,傍からみているとその衰えは隠せません。「シニアパワーを社会が求めて」いることと,企業が求めているということとは,別問題のようです。それは,ハローワークの求人検索をすれば明らかです。もちろん,求職者の方にも問題はありますが……。散見すると,強い意志と高い能力とそれを支える体力を有したごく一部の方に限られているようです≫

理由2:現役時代に匹敵する長い年月、年金を給付し続けるのは大変なこと を肝に銘じよう!

 人生100年時代になり、65歳から年金をもらい始めると、30~40年と年金をもらう期間が長くなります。これは、現役時代に匹敵する長さです。そんな長期にわたって、現役世代からの仕送り(保険料)で年金を給付し続ける年金制度は成立しないと思いませんか?

 現役世代の人数が多ければ成立するのでしょうけれど、残念ながら、少子化の日本では現役世代はどんどん減っていき、現状でも、基礎年金に税金を投入している状況です。

 こんな状況を考えると、せめて、年金開始を遅らせて年金をもらう期間を短くするくらいのことは実行したいものです。

≪申し訳ありませんが,それは氏や編集部が言うことではないような……,行政府が政策として国民に信を問うべきものです。個々の努力でしか現行の年金制度が維持できないのであれば,それこそ理由3との整合性がありやなしや≫

理由3:年金を繰り下げると増える!

 「もらえるものはもらう」「早くもらわないと死んでしまうかもしれないから」と、年金がもらえるようになると、すぐにもらい始める人がほとんどのようです。でも、前段で説明した理由やその他の理由でもいいのですが、もらわない選択もアリだと思います。

 もらい損ねを心配している人は、そう簡単には死なないので心配には及びませんよ。仮に、もらう前に死んでしまったり、もらい始めた直後に死んでしまったら、「自分の年金は長生きする人にくれてやる!」くらいの気持ちでいればいいのです。

 現状では、70歳まで年金を繰り下げられます。筆者は、65歳になっても年金はもらわず、70歳まで繰り下げます。

 年金の繰り下げを申し出ると、その日の年齢に応じて月単位で年金額が増えます。増倍率は、月あたり0.7%です。70歳まで繰り下げると、65歳からもらい始める年金額の1.42倍になります。さらに、2022年4月からは、75歳まで繰り下げることができます。倍増率は1.84倍となります。

 ちなみに、年金額を増やすために、65歳からもらわない方がいいといっているのではありません。1と2の理由が主で、年金が増えるのは、オマケみたいなものです。

≪多くの方が年金額を増やすために,繰り下げているようです。また,少なくとも老齢厚生年金は自身が積み立ててきたもので,とても「自分の年金は長生きする人にくれてやる!」気持ちにはなれないでしょう。受給者が支払った額に達しなくても,死によって受給権は消滅します。かつてのグリコのオマケは魅力でした。それと年金増加をオマケと同視することには「難」がありそうです≫

 

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今年5月離婚してひとり親世帯の年末調整

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

 2020年改正後,一人で子を育てている人(合計所得金額が500万円以下)に対して一律35万円のひとり親控除(所得控除)の適用があります。したがって,所得税35万円・住民税30万円の所得控除があります。

 

離別事由等

扶養の要件

控除額

本人の所得要件

寡婦控除(女性)

離婚

子以外の扶養親族がいる

27万円(住民税26万円)

合計所得金額が500万円以下

死別,生死不明

扶養親族要件なし

ひとり親控除

死別,離婚,生死不明,未婚

生計一である子(総所得金額等が48万円以下)がいる*

35万円(住民税30万円)

*子は他者の同一生計配偶者または扶養控除の対象となっていないこと。

 年の途中で離婚している場合,既に提出している「R3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を変更する必要があります。C欄の「ひとり親」欄にチェックを入れましょう。

 ただし,事業所に知られたくない場合には,確定申告で適用を受けることも可能です。

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

年末調整,親に「12月のバイト代を来年1月に受け取るようにバイト先に交渉してほしい」と言われた場合

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

 そ(タイトル)の理由は,扶養控除の有無からでしょう。扶養親族の合計所得金額が48万円(給与収入なら103万円)を超えると扶養控除の適用がなくなります。

 例えば,20歳大学生の場合,所得税63万円(住民税45万円)の扶養控除を受けられなくなります。仮に,親の所得税の税率が10%であれば,所得税と住民税併せて約11万円の増税になります。

 なお,12月に受け取るべき給与を来年1月に受け取ったとしても,今年分から除外できるとは限りません。給与所得金額の計算上,今年中に収入が確定した給与の総額です。そして,収入の確定日は,通常の場合,契約または慣習により定められた支給日です。したがって,12月に受け取ることになっていれば,翌年1月に先延ばした場合でも今年分に合算されることになります。

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会社から在宅勤務(テレワーク)に関する補助・手当を受けた場合の年末調整

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

 

 このような補助・手当は給与課税の対象となるものとそうでないがあります。

 

課税対象とならない

課税対象となる

手当等

通常必要な費用を,実費相当額を精算する方法により支給

例えば,毎月5,000円と渡し切りで支給

事務用品や環境整備の物品の支給

PCや自宅に設置する間仕切り等を貸与し,使用しなくなった場合に返還する

左記の物品等を支給し,従業員が自由に処分できる

通信費・電気料金

業務のために使用した部分を合理的に計算・精算するなどの方法により支給

支給した金銭のうち,業務使用部分を超過した金銭を変換しない場合の超過部分

 

 これらの判断は,事業所が行います。給与となれば,源泉徴収されて年末調整の対象となります。

 

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初めての年末調整(新卒で,2021年4月入社の場合)

 以下は,『日本版FPジャーナル』11月号掲載の,備順子氏による記事等を再編集・加除訂正したものです。

勤め先から年末調整時に配付される申告書は,以下の3通です。

①R4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

②R3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調

      整控除申告書

③R3年分 給与所得者の保険料控除申告書

各申告書の注意点

① 扶養親族や配偶者がいない場合でも提出します。複数の勤め先があった場合でも,  

 1事業所でしか提出できません。提出先で年末調整を受けることになります。事業所 

 は,2021(R4)年1月以後の給与天引きの源泉徴収税額を決定し,R4年の年末調整

 を行います。

  なお,R3年分扶養親族等申告書の提出時(入社時)から扶養親族等の増減があれ 

 ば,申告書を返してもらって書き直します。

② 基礎控除は合計所得金額が2,400万円を超えると逓減し,2,500万円を超えるとゼロ 

 になります。従業員に給与以外の所得があるかどうかは,事業所にはわからないた 

 め,基礎控除申告で合計所得金額の見積額を年末調整時に申告しなければなりませ

 ん。

他)2年目からは住民税に影響あり

  入社2年目は昇給したにもかかわらず,手取りが少なくなることがあります。これ 

 は住民税が前年所得課税であり,入社年の給与については住民税が徴収されていない 

 からです。

  来年度からは,住民税の負担を念頭に家計の管理が必要です。一般的には,扶養親

 族がいない場合,年収約60万円までは所得税より住民税の方の負担が重くなります。

 

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60歳以降に厚生年金に加入せず働きたい場合、週何時間までならOKですか?

 ファイナンシャルプランナーの深川弘恵氏による監修・文のコピペです。

60歳以降に厚生年金に加入せず働きたい場合の注意点

 老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、60歳以降に厚生年金に加入せず働きたい場合の注意点です。

Q:60歳以降に厚生年金に加入せず働きたい。週何時間以下ならいい?

 「60歳以降は、厚生年金に加入せずにパートをしたいです。しかし働き過ぎると厚生年金に入らなければならないと思います。週何時間以下であれば、入らずにすみますか? パート先の会社規模にもよるのですか?」(58歳)

A:働く時間が週20時間未満なら加入する必要はありません

 厚生年金保険とは、会社員や一定の条件で働くパート・アルバイト等の給与から天引きされる社会保険料の一つです。

 2021年(令和3年)現在では、常時500人を超える事業所(特定適用事業所)で一定の条件のもとで働くパート・アルバイトは厚生年金に加入しなくてはなりません。労使での合意があれば、500人以下の事業所でも適用されます。

 パート・アルバイトが厚生年金に加入する要件とは、以下のすべてに当てはまった場合です。

【1】週の所定労働時間が20時間以上であること

【2】雇用期間が1年以上、見込まれること

【3】賃金の月額が8万8000円以上であること

【4】学生でないこと

 2020年(令和2年)5月に、年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立したので、パート等の短時間労働者が厚生年金保険に加入することになる要件が、段階的に引き下げられます。

 この制度改正により、特定適用事業所の適用要件(パート等の短時間労働者を除いた被保険者数)が、現在の500人超から、2022年(令和4年)10月に100人超、2024年(令和6年)10月に50人超となります。

 あわせてパート等の短時間労働者となる要件が、2022年(令和4年)10月からは、雇用期間が1年以上見込まれることから、2カ月を超えて見込まれること(通常の被保険者と同じ)になります。

 厚生年金に加入すると、給与から厚生年金保険料が天引きされますので手取り収入が少なくなりますが、将来もらえる老齢年金が増えることになります。

 現在は、人生100年時代といわれるほどの長寿社会ですので、老後の年金生活が楽になりますよ。

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