悲喜こもごも

読むと得も損もあり!

民法改正 意思と法律行為(3) 代理人

代理人の行為

   経済活動に欠くことのできない代理人の権限濫用について明文化。利益相反

  ついても改正。

土地売却を頼んだ代理人が代金を着服した場合でも,売主に土地引渡義務は生ずる 

 か?

無権代理行為とみなされる場合には,土地を引き渡す必要がない。

【改正前】

 判例では,代理人の権限濫用の意図を相手方が知り得た場合,契約は無効。土地の売主に引渡義務ないものの,条文なし。

 

【改正後】

 代理人による権限濫用は「無権行為とみなす」と明文化(107条)。代理権を有する人が自己または第三者の利益を図る目的で権限を濫用した場合も無権代理行為と同視されます。無権代理行為の場合,契約の相手方は代理人に対して損害賠償等の請求ができます。

無権代理行為:代理権のない人が本人の代理人と称して勝手に契約する行為など。

 

代理人と本人との利益相反

【改正前】

 自己契約,双方代理のみ禁止。

【改正後】

 改正前に加えて,それ以外の利益相反行為についても無権代理行為とみなします(108条2項)。例えば,Aから土地の処分(売却だけでなく,賃貸や担保供与など)を任された代理人Bは,自分の事業用の融資を受けるためAの土地に抵当権を設定する契約をC銀行と締結した場合です。ただし,本人が追認すれば,いずれの代理行為も有効になります。

 

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民法改正 意思と法律行為(2) 意思表示の2

意思表示が問題となるケース

要 因

内  容

事  例

心裡留保

(93)

わざと真意と異なる意思を表示

退職する意思がないのに,反省の意を強調するために退職届を提出

通謀虚偽表示(94)

相手方と示し合わせて真意と異なる意思表示

財産を債権者から隠すために,知人と書くの土地の売買契約締結

 

 

錯誤

(95)

間違って真意と異なる意思表示(表示の錯誤)

売買価格を1.000万円と表示すべきところ,100万円と記載した契約書作成(売主に錯誤)

真意どおりに意思表示したものの,その真意が誤解に基づくもの(基礎事情の錯誤)

新駅ができると聞き,土地を購入したが,駅はできなかった(買主に錯誤)

詐欺(96)

騙されて意思表示した

騙されて無価値の壺を高値で買わされた

強迫(96)

強迫されて意思表示した

強迫されて不要な土地を買わされた

 

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民法改正 意思と法律行為(1) 意思表示の1

改正のポイント

1 意思能力

 自身の法律行為の結果(メリットやデメリット,リスク等)を判断できる精神的能力。

 その能力が欠如している状態での法律行為は無効であることを明文化。

契約行為についての影響は?

本人の意思を正確に確認することが求められる。

【改正前】

 認知症などの理由で,契約内容を理解しないままに締結した売買契約は,後で契約の無効を主張して代金の返還請求ができる(判例による)。

【改正後】

 意思能力をしない者による法律行為は無効(明文化,3条の2)。しかし,意思能力の定義はなく,解釈による。

 未成年者は制限行為能力者として一定の保護を受けるので,意思能力を主張する場面は限られます。

 一方,意思能力のある成人は,自らの法律行為に責任を負うことになります。著しく判断力が衰えた高齢者などが契約を結んだ場合には,意思無能力を主張して無効とする必要があります。超高齢社会が進む今後は,そのような場面が増加するでしょう。

 売買契約における売主は,相手方の意思能力を正確に把握しなければなりません。

2 意思表示

 意思能力を持つ人の意思表示であっても,その有効性が問題になるケースが多々。特に,錯誤(誤り,間違い)による意思表示を大改正。

新駅ができるとのうわさ聞いて,その近辺の土地を購入したが,その事実が

 なかった。

 キャンセルできないか?

契約をする基礎事情を売主に表示していた場合には,取消しできる可能性がある。

【改正前】

 誤解に基づく意思表示(錯誤)は無効でしたが,条文は「表示の錯誤」に適用され,Qのような「動機の錯誤」には,判例の要件を充足する必要がありました。

 【改正後】

 「表示の錯誤」に加え,「動機の錯誤」も明文化しました(95条1項2号,「基礎事情の錯誤」「事実の錯誤」)。併せて,錯誤(表示・基礎事情とも)による意思表示の効果については,①重要な錯誤(95条1項)であり,②本人に重大な過失(重過失)がなければ,「無効」ではなく,取り消すことができます。また,基礎事情の錯誤による取消しを主張する場合には,③相手方にその基礎事情を表示する必要があります(95条2項)。

 なお,本人に重過失があった場合でも,a相手方に悪意や重過失あった場合,b相手方も本人と同様に錯誤に陥っていた(共通錯誤)場合には,取消しの主張が可能です(95条3項)。

 したがって,買主が売主に対し「新駅ができる」という基礎事情を示して,土地購入の意思表示をした場合,その基礎事情に錯誤があれば契約の取消しを主張できます。ただし,表示方法等の法律的有効・無効は今後の判例の蓄積が必要でしょう。

 

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高齢の親を持つ方のために,知っておきたい制度(3)

制度の問題点は他にも!

 後見人は被後見人が亡くなるまで継続し,何ら業務をしなくても毎月報酬を受け取ることになります。なお,後見人は不動産の売却ができ,通常の業務以外の法律行為について別途報酬が支払われることになります。「資産価値が下がるため」と作文すれば,後見人は報酬を増やすことも可能です。

 被後見人は,立派な施設に入るために,高額な預貯金を有していましたが,後見人はそんな施設に入る必要はないとして,安価な相部屋に入居させられる場合も。

 夫の介護をしている妻(老老介護)が,夫名義の家を売却して介護がしやすい住居に住み替えようとしたところ,後見人に「本人(夫)のためですか」と拒否。

 

自由度の高い「民事信託」

 本人の判断能力が著しく低下した場合,家族はもちろん,成年後見人でもできないことが,「民事信託」ならできること。

①収益のための不動産の購入・新築

②不動産を担保とした借入れ

③生前贈与や貸付け

④事業に伴う契約行為

⑤後継者の指名

⑥株式や投資信託の運用継続

 

 逆に,成年後見人ならできるものの,「民事信託」ではできないこと。

①遺産分割協議

②相続の承認・放棄

遺留分減殺請求

 

 上記を比較しただけでも,「民事信託」の自由度,使い勝手の良さがお解り頂けると思います。

 しかしながら,「民事信託」においても,『本人のため』という点に関しては,争いが起きる可能性があります。

 

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高齢の親を持つ方のために,知っておきたい制度(2)

成年後見制度の問題点

1 後見人に全財産管理を任せる

 家族は,介護にお金が必要になるたびに後見人に請求し,お金を渡して貰うことに

なります。

2 後見人や裁判所が「本人のための支出でない」と判断すると,お金をもらうこと

  ができず

 子どもが母親の髪を染めてあげたいと考えて,後見人に白髪染めの代金を請求して断られたケースもあったとか!

3 後見人に,報酬を毎月支払う(家族なら無料も)

 基準額は,月額2万円。管理財産が高額になると報酬額を上げる家裁もあり。

4 制度利用の申立書作成を他に依頼すると,費用が生じます。

 

 その他に,当初は家族・親族が後見人になるケースが約9割でしたが,不正が頻発して現在は3割に。家裁も後見人の選任に慎重にならざるを得ませんでした。

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高齢の親を持つ方のために,知っておきたい制度(1)

 親が認知症を発症,病気や事故で判断能力が不十分・喪失した場合,本人だけでなく,実の子でも親名義の預貯金の引出しや生命保険の解約などもできなくなります。介護費用を捻出しようとして,実家を売却したり賃貸したりすることもできなくなります。

 現在,判断能力が不十分・喪失した高齢者のための制度としては,「成年後見制度」と「民事信託」とがあります。

 今回は,「成年後見制度」について考えます。「財産管理」や「身上監護(生活に必要な身の回りの契約や諸手続など)」を代わりにやってもらう人(後見人)を選任する制度です。

 この制度には,二つの制度「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。

 前者は既に判断能力の低下が認められる場合(に分けられる)にその親族などが家庭裁判所にその程度により,後見人・保佐人・補助人を選任してもらう制度です。

 後者は将来に備え,予め信頼できる人と契約して,判断能力が低下した場合に,契約した相手が家庭裁判所に申立てをして後見人になります。

  一見素晴らしい制度のようですが,利用可能な方(462万人)のうち,実際に利用されている方(約22万人)はわずか5%弱に過ぎないようです(厚労省の調査)。

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70歳定年法と年金制度改正(2)あなたの老後は?

 前回の年金制度の改正とともに,下記3の法改正が加わることになりました。選択肢が増えることは,必ずしも良い結果を生むとは限りません。換言すれば,それだけ自己責任の範囲が増え,その結果も甘受しなければなりません。

 

3 確定拠出年金の加入可能要件の見直し(2022年5月)

 現在,企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入できるのは原則60歳未満です。60歳以降今までと同一事業所に雇用される場合には,規約の定めがあれば65歳未満の年齢まで加入することができます。改正後は,加入している企業で規約変更があれば,60代後半でも企業型DCに加入できるようになります。

 また,個人型確定拠出年金iDeCo)も,加入可能な年齢が現行の60歳未満から65歳未満に引き上げられます。

 ただし,60歳以降でも加入できるのは国民年金の任意加入被保険者(被保険者期間が40年に満たない人)や厚生年金の被保険者に限定されます。例えば自営業者・フリーランス,専業主婦で国民年金の被保険者期間が40年に達している人は加入できません。

 また,前述(2の(1))した公的年金の受給開始時期の拡大に併せて,企業型DC,iDeCoの受給開始時期も現状の60~70歳から60~75歳に拡大され,選択することができます。

4 被用者保険の適用拡大(2022年10月,2024年10月)

 パート・アルバイトのうち,厚生年金に加入できるのは,原則正社員の4分の3(概ね30時間)以上勤務する人でしたが,適用拡大が図られ,現在では従業員501人以上の企業で週20時間以上働き,報酬が月8万8千円以上等の要件を満たす人も加入対象となっています。  

 この短時間労働者の適用対象が段階的に拡大され,2022年からは従業員101人以上,2024年からは51人以上の企業も対象になり,パート・アルバイトも加入できます。

 年金制度の機能強化(財政基盤の安定)を目的として行われるものですが,定年後にパートタイムで働き厚生年金の被保険者となっていない人が,改正後には再び被保険者となる可能性があります。このような場合,保険料負担が生じるので手取り収入は減りますが,将来の年金額は増加することになります。

 

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70歳定年法と年金制度改正(1)あなたの老後は?

  近年,会社員は定年後の再雇用も含め65歳までは給与収入、65歳以降は年金収入を柱として考えてきました。しかしながら、2019年の総務省労働力調査」によると、60代後半の就業率は10年間で36%から48%に増加しており、長く働く人が増えています。そこで,昨年、年金制度改正法と改正高年齢者雇用安定法が成立し、長く働ける社会の仕組みを整得ようとしています。

 

 そこで,法改正の内容と高齢期の働き方について考えみましょう。

A 年金制度改正法の概要

1 在職中に受給できる年金の増加(2022年4月)

2 年金受給開始時期の選択肢の拡大(2022年4月)

3 確定拠出年金の加入可能要件の見直し(2022年5月)

4 被用者保険の適用拡大(2022年10月、2024年10月)

以上,年金制度改正法による主な改正点は4点です。

 次に、それぞれの改正内容を紹介します。

 1 在職中に受給できる年金の増加(2022年4月)

(1)65歳以上の老齢厚生年金

 厚生年金の適用事業所で働いていれば,原則70歳まで厚生年金保険加入が義務となります。そして,加入した期間と給与の額が受け取る年金額に反映されます。しかしながら、すでに老齢厚生年金を受給している場合、65歳以降に働いた分が年金額に反映されるのは退職時または70歳到達時になります。

 したがって,65歳で厚生年金の受給を開始して70歳まで厚生年金の保険料を支払いながら働いていても、70歳になるまでの5年間年金の額は変わりません。

 これでは働く意欲が削がれるということで、年金額が毎年見直されるよう改正されました。納めた保険料が在職中に年金額に反映されるため、年金を受給しながら働く人は、毎年少しずつ受け取る年金額が増えていきます。

(2)60代前半の特別支給の老齢厚生年金

 60歳から64歳時に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度については、支給停止とならない範囲が拡大されます。現在は賃金と年金の月額相当が合計28万円以上なら支給停止の対象となりますが、これが47万円に引き上げられます。

 ただし、そもそも特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができるのは支給要件(加入期間1年以上など)を満たす1961(昭和36)年4月1日以前生まれの男性と1966(昭和41)年4月1日以前生まれの女性に限られます。

 したがって,その恩恵を受けられる方は限定されます。

2 年金受給開始時期の選択肢の拡大(2022年4月)

(1)繰下げが75歳まで可能に

 老齢基礎年金・老齢厚生年金は、65歳より前に(繰上げ)受給を開始すると年金額は減額され、65歳より後に(繰下げ)受給を開始すると増額されます。そして,改正により繰下げ受給は65歳から75歳までの最長10年間可能になります。

繰下げによる増額率は1月あたり0.7%のまま変わりませんので、10年繰り下げると

0.7%×120ヵ月=84%

の増額となり、増額された年金額を生涯にわたって受け取れることになります。

 (2)繰上げ受給率が0.5%減額➡0.4%減額に

 年金を繰上げ受給すると1月あたり0.5%減額されましたが、改正により減額率が0.4%となります。したがって,最長5年間(60ヵ月)繰上げた場合の減額率は30%から24%に緩和されます。

<次回に続きます>

 

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法人の設立後に注意!過料,そして解散・清算にも費用が(2)

補足

(1)清算について

解散手続きは、正確には「解散」と「清算」の2つの手続きを行うことを指します。

解散とは、今まで行っていた業務を停止して、法人を消滅させるための手続きに入ることです。法務局へ解散の登記を行っただけでは法人は消滅しません。

解散後、法人を消滅させるための手続きを行うことを「清算」といいます。

具体的には、下記の清算手続きを行います。

  • 解散時における財産の現況を調査する

  • 解散時にまだ終わっていない業務があれば終了させる

  • 法人名義の財産があれば売却する

  • 売掛金などの債権があれば回収する

  • 買掛金などの債務があれば返済する

  • 残余財産があれば引き渡しをする

(2)清算人について

この清算手続きを行う人を「清算人」といいます。

清算人を定款で定めていた場合は、その人が清算人になります。定款に清算人の定めがない場合は、社員総会で選任された者が清算人になります。

(3)債権者保護手続き

債務があれば返済しなければなりませんので、清算人は解散後遅滞なく、債権者に対して2ヶ月以上の期間を定めて、その期間内に債権を申し出るべき旨を官報に公告し、法人が把握している債権者には個別に催告をしなければなりません。これを「債権者保護手続き」といいます。

もし債権者がいつまでたっても確定しなければ債務の弁済ができませんので、2ヶ月という期間を設けてその期間内に申し出をしなければ、清算から除斥することを書き加えます。

そして、清算手続きを行った結果、残余財産があれば定款の定めに従って処分します。

「非営利型一般社団法人」では、定款に残余財産の帰属先について国・地方公共団体公益法人などに贈与することが定められていますので、決められたところに残余財産を引き渡します。

定款で残余財産の帰属先を定めていない場合には、社員総会決議でどのように処分するかを決めることになります。

(4)清算結了の登記について

清算手続きが完了して、一般社団法人の財産が無くなったところで、法務局へ清算結了の登記を行うことにより法人格は消滅します。

 

(5)一般社団法人の解散事由について

一般社団法人は次に掲げる事由によって解散します。

  1. 定款で定めた存続期間の満了

  2. 定款で定めた解散の事由の発生

  3. 社員総会の特別決議

  4. 社員が欠けたこと(社員が一人もいなくなった場合)

  5. 合併をしたとき

  6. 破産手続開始の決定があったとき

  7. 解散命令または解散を命ずる裁判があったとき

 

(6)例:特別決議によって解散する場合の流れ

  1. 社員総会による解散の特別決議

  2. 法務局で解散及び清算人選任の登記申請→解散後清算手続き開始

  3. 財産の現況を調査(財産目録・貸借対照表の作成)

  4. 債権者保護手続き(2ヶ月以上)

  5. 残余財産を処分する

  6. 社員総会による決算報告書の承認

  7. 法務局で清算結了の登記申請→法人格が消滅

 

*書類等の確認

過料(罰金)の不服申し立て?

登記事項証明書

届出印

税務関係書類 *清算の登記後,届出必要

  法人税 税務署

  住民税 県税事務所

定款

  解散事由の規定

  残余財産の帰属先の規定(個人への帰属の可否)

 

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法人の設立後に注意!過料,そして解散・清算にも費用が(1)

 2年前に農地の譲渡に関わった方から,一般社団法人を解散したいので,お願いできないだろうか?との連絡がありました。

 その方は,退職を機に社会貢献をするため(一社)を設立したものの,

2年ごとの役員等の更新(総会決議を経てそれを登記申請)の手続を行っていなかった

ことから,過料の通知が届いたのです。もちろん,即,異議申し立てを……。

 そんなこともあって,(一社)を解散したいと申し出たようです。

 

Ⅰ法人の解散・清算の手続きの流れは,以下のとおりです。 

1 社員総会の決議(解散・清算人の選任)

2 主たる事務所を管轄する法務局へ解散及び清算人選任の登記

3 財産目録・貸借対照表の作成

4 債権者保護手続き(2ヶ月以上の期間)

5 税務署等へ解散の届出・解散確定申告

6 清算手続き終了(残余財産の確定)

7 社員総会の決議(決算報告書の承認)

8 主たる事務所を管轄する法務局へ清算結了の登記

9 税務署等へ清算結了の届出・清算確定申告

  ※4債権者保護手続きの期間は2ヶ月以上を要しますので、8清算結了の登記まで    

   の一連の手続きには、最低でも2ヶ月以上かかるということになります。

※法人が解散したこと、清算したことの届出を税務署等に行います。また、解散・清算 

 のそれぞれ確定申告が必要です。

 

Ⅱ解散及び清算人選任登記に必要となる書類は,以下のとおりです。

一般社団法人解散及び清算人選任登記申請書

定款 *解散事由の有無

社員総会議事録

清算人の就任承諾書

別紙(登記すべき事項)

清算人の印鑑届出書

清算人の印鑑証明書

 

清算結了登記に必要となる書類は,以下のとおりです。

一般社団法人清算結了登記申請書

社員総会議事録

決算報告書 *税理士

別紙(登記すべき事項)

 

Ⅳ解散及び清算結了登記に必要な登録免許税等は,以下のとおりです。

登録免許税:解散の登記及び清算人選任登記 39,000円

登録免許税:清算結了登記 2,000円

官報公告費用(40,000円程度)

    *公告掲載にかかる費用は、1行につき単価が決まっていて行数により計算さ   

     れます。

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賃貸物件の退去時のトラブル

敷金を返してもらえなかった,清掃費などで高額請求された,クロスやふすまの張替え費用を請求された,などのトラブルがあった場合の対応策を考えます。

 

1 見積書を請求しよう

 自分が度を超すような汚し方をしなかったにも拘わらず,管理会社から「原状回復」費用として,敷金と相殺された場合には,貸し手側に「見積書」を請求しましょう。

 

2 ガイドライン(1998年制定)

 ガイドライン前は、「原状回復=借りる前の状態に戻すこと」が原則でした。しかし、ガイドライン後は、「原状回復=通常の使用以外で生じた問題箇所を修繕すること」としました。

 つまり、「通常の使用や経年劣化の修理費用は、入居者の負担ではない」としたのです。

 したがって,敷金から修理費用を請求されたら、それが「通常の使用」や「経年劣化」かを,ガイドラインに沿って見積書の内訳から調べましょう。

 

3 具体的な事例

 例えば、「クロスは減価償却的に6年で価値がなくなるもの」と位置付けられています。あなたが6年以上住んでいる部屋を退去するとき、クロスの張替え費用を請求された場合は、「ガイドラインでは6年でクロスは償却すべきものと規定されており、クロスは経年劣化として、修繕は貸し手負担とすべきと思料します」と主張することができます。

 ただし、「通常の使用」「経年劣化」の判断は難しい面もあります。一番気を付けたいのは「タバコ」と「ペット」です。タバコのヤニや、ペットによる汚れや破損は「通常の使用」と規定されていません。ガイドラインによっても、入居者の責任とされることが原則です。

 また、いくらクロスが6年で価値0円になるとしても、たとえば壁面にいたずら書きしてしまうと、入居者の責任とされ、修繕費用を請求されます。

 他にも、釘やねじによるクロスや壁の破損も、修繕費は入居者の負担になります。一方で、がびょうの穴は「通常の使用」になるので、貸し手側から請求されることはないはずです。がびょうでポスターを貼っても、ガイドラインは「通常の使用」と規定しています。

 ちなみに、ポスター跡がクロスに残った場合、テレビなどのすぐ裏にあった壁が黒ずんでしまう、いわゆる「電気やけ」の場合などは「経年劣化」とガイドラインでは規定されていますので、修繕費を請求されたら、異議を唱えることができるでしょう。

 ただし、もし入居者が置きっぱなしにしていた段ボールの山の裏の結露などで、カビが発生していたとしましょう。この場合の黒ずみの修繕費は、入居者の負担となります。壁にずっと物を置いておくのは、敷金的には危険といえるでしょう。

 このように、クロス1つとっても解釈は多岐に渡ります。見積書をみて、「これはおかしいのではないか?」と感じた場合は「原状回復ガイドライン」と検索して、国土交通省の様々なケースの判断例をチェックしましょう。

  ガイドラインで貸し手側の負担と規定されていても、100%敷金が戻ってくるものではない、という点に注意しましょう。

 たとえば賃貸契約書をよく見ると、クロスの張り替えについて貸し手側に都合のいい「特約」が含まれているケースもあります。ガイドラインは法令ではない、ということです。

 ただし、ガイドラインの内容を口にしただけで、貸し手側が態度を軟化させる場合もあります。また、「黒ずみ」などが入居時点であった場合、それを写真に撮っておくなどの「予防措置」を取ることも可能です。

*賃貸人・賃借人の修繕分担表なるものもあるようです。検索してみましょう。

 

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自宅は賃貸・購入,どっちがお得(戸建てとマンション(以下Mと略))(4)?

まとめ

  かつて,Mは戸建てまでの過渡期と考えられていましたが,現在,「終の棲家」として居住なさっている方がたくさんいらっしゃいます。そうだとすれば,損得で考えると同時に,どのようなライフスタイルを選択するかも重要な要素になりそうです。

 なお,今後も経済状況や税制等で損得にも変化がありそうです。また,ライフスタイルも年齢により考え方に変化が……。

 

 人生が仮の姿のように,その住まいも仮のもののようです。

 

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自宅は賃貸・購入,どっちがお得(戸建てとマンション(以下Mと略))(3)?

【シミュレーション】

*40歳,3LDK(家賃:12万円/月,購入:4000万円)

賃貸

  家賃(月額)     12万円

  入居費用(5か月分) 60万円

  引越費用       10万円

  駐車場代        1万円

 

 

購入

                M         戸建て

  取得価格            4000万円

  取得費用(取得価格×5%)     200万円

  頭金(20%)           800万円

  住宅ローン借入額        3400万円

  住宅ローン返済(金利2%,25年  月14.4万円×12か月

返済元利均等,ボーナス払い無し)   =172.8万円/年

固定資産税(概算)         10万円/年

駐車場代          12万円/年     0円

火災保険料          1万円/年    2万円/年

 

1賃貸の場合

 例1 家賃12万円/月に生涯住み続け,引越が1回

   a:70万円,b:13万円×12か月×(100歳-40歳)=9360万円

   a+b=9430万円

 例2 例1で3回引越なら,a:210万円,b:同

   a+b=9570万円

 例3 例1で2回引越,2回目の引越は65歳で,家賃6万円/月の賃貸

   a:70万円+(6万円×5か月+10万円)=110万円

   b:65歳まで 13万円×12か月×(65歳-45歳)=3900万円

    65歳以降 7万円×12か月×(100歳-65歳)=2940万円

    3900万円+2940万円=6840万円

   a+b=6950万円

 

2購入の場合

 例1 a:頭金+取得費用+引越費用=800万円+200万円+10万円=1010万円

    b:改修リフォーム費×回数=150万円×5回=750万円

    c:居住中支出×ローン返済期間=250万円×25年=6250万円

     内訳 ローン返済173万円,管理費修繕積立金24万円

        駐車場代12万円,火災保険料1万円

    d:完済後支出×(100歳-ローン完済年齢)

=77万円(100歳-65歳)=2695万円

    a×b×c×d=1億705万円

 例2 aはそのままにb・c・dを以下のとおり

    b:改修リフォーム費×回数=250万円×5回=1250万円

    c:居住中支出×ローン返済期間=215万円×25年=5375万円

    d:完済後支出×(100歳-ローン完済年齢)

=42万円(100歳-65歳)=1470万円

    a×b×c×d=9105万円

 

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自宅は賃貸・購入,どっちがお得(戸建てとマンション(以下Mと略))(2)?

【生涯の住居関連支出額】*100歳まで

1賃貸=a+b

a(引越+入居費用)×引越回数

b入居中支出×(100歳-現在の年齢)

 

2購入=a+b+c+d

a頭金+取得費用+引越費用

b改修リフォーム費用×回数

c居住中支出×ローン返済期間

d完済後支出×(100歳-ローン完済年齢)

 

【各費用の設定】

1入居費用・取得費用

①賃貸(入居費用) *火災保険料は居住中の支出に含める

  敷金礼金0~4か月分

  保証料0~1か月分

  手数料0~1か月分

  雑費(鍵交換・清掃等)3か月分

②購入(取得費用)

  新築(M・戸建て):購入価格の3~5%

  中古(  同  ): 同   6~10%

③引越費用

  量・距離・時期により異なります。

④引越回数

  就職・結婚・家族構成や大切な節目に基づいて,計画してみましょう。

 

2居住中の支出

  家賃・共益費・駐車場代,Mの管理費・修繕積立金等です。住みたい地域や物件を検索してみましょう。

①住宅ローン

  金利・手数料は,金融機関のHP等で調べて下さい。

  ネットで公開されているシミュレーションツールで計算できます。

②固定資産税

  固定資産税や不動産取得税の正確な金額は,購入後の市町村の通知によります。

  シミュレーションでは,物件取得価格4000万円×60%を固定資産税評価額とみなし,1.7%(税率)を掛けて概算額を出します。

③火災保険料

構造や地域や保障内容、契約年数、保険会社によって保険料は大きく異なります。

シミュレーションでは、Mなら年1万円、戸建てなら2万円で試算。1年契約の場合,割高になります。

④修繕費

シミュレーションの設定金額としては、参考記事や実績を基に戸建ての修繕費を10年ごとに250万円、Mの場合は修繕積立金とは別に10年ごとに150万円とします。

 

お読み頂き,有り難うございました<(_ _)>

自宅は賃貸・購入,どっちがお得(戸建てとマンション(以下Mと略))(1)?

【入居・取得】*〇印:要,×印:不要

           賃貸    購入M   購入戸建て

①敷金・保証金    〇      ×      ×

②家賃保証料     〇      ×      ×

③仲介手数料     〇      〇      〇

④登録免許税     ×      〇      〇

⑤専門家報酬(登記等)×      〇      〇

印紙税       ×      〇      〇

⑦融資手数料     ×      〇      〇

⑧団信保険料     ×      〇      〇

⑨不動産取得税    ×      〇      〇

 

【入居中】*〇印:要,×印:不要

           賃貸    購入M   購入戸建て

①家賃・共益費    〇      ×      ×

②住宅ローン元本   ×      〇      〇

③ 同   利息   ×      〇      〇

④固定資産税     ×      〇      〇

⑤管理費       ×      〇      ×

修繕積立金     ×      〇      ×

⑦駐車場代      〇      〇      ×

⑧修繕費       ×      〇      〇

⑨火災保険料     〇      〇      〇

 

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